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出版社勤務の沙羅は40歳を過ぎ、かつて妊娠中絶した相手の川島と再会。それ以来、子供が欲しくてたまらなくなってしまった。非合法のベビー・スークの存在を聞きつけ、友人・優子とドバイを訪ねた。そこで、少女「バラカ」を養女にしたが、全く懐いてくれない。さらに川島と出来婚をしていたが、夫との関係にも悩んでいた。そんな折、マグニチュード9の大地震が発生。各々の運命は大きく動き出す。
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Posted by ブクログ
震災のため原発4基がすべて爆発! 警戒区域で発見された一人の少女「バラカ」。ありえたかもしれない日本で、世界で蠢く男と女、その愛と憎悪。ノンストップ・ダーク・ロマン。
神の恩寵という意味のバラカ。飲んだくれで自己中心的な父親と神にすがる母親に連れられて行ったドバイで母親を失い、人身売買組織に売られ、そこを訪れた日本人の女に買われ、最後は原発事故を起こしたフクシマで行方不明になり、お爺さんに拾われた女の子。日本にたどり着いてからは、周りの人間の自己実現や社会正義の実...続きを読む現のために利用されつつ、自分を見失わずに生き延びた女の子。親代わりになったお爺さんの豊田さんでさえ、バラカに娘のような愛情を抱いていたのか、それとも自分の正義のために彼女を連れていたのか、結局のところはよくわからない。でも、守ってくれる人や見方になってくれる人との途切れ途切れに現れては消えていく儚い繋がりのようなものが、彼女を生き延びさせてきた。神の御加護なのかもしれない。 読者である私の現実の生活などはつまらないもので、冒険も挑戦もなく毎日淡々とすぎていくのだが、桐野さんの書く女はいろんな理由で生き延びるために、それぞれのやり方で戦っている。こういうハードボイルドな女たちを見たいから、私はこの人の本を読むのかなあとぼんやりと考えた。こういう登場人物に、私は耳元で囁いてもらいたいのかもしれない。がんばろう、やっていこう、たたかおう、と。バラカはミロに次ぐヒロインだと思う。 桐野バージョンのフクシマ後の日本では、原発4基が爆発して首都は遷都となっている。8年前の大事故はなかったように全てがコントロールされ、反対派はひっそりと確実に消されていく。東京の高所得層は関西や外国に逃げているため、東京には多国籍の外国人の居住区となっている。被曝した地域は農業もままならないが、同時に帰還地域では、子供たちが学校で楽しく過ごす様子などを広報している。ディストピアではあるが、そんなに驚きがないということに少し驚いた。
桐生夏生ってホラーチックという先入観があるのか、その存在も知ってるし過去に読んだ作品も面白かったしはずれのない作品を書ける人というイメージをもっているにもかかわらずあんまり読んだことがない。久しぶりにたまたま見かけた『バラカ』という小説を読んでみた。 震災で原発事故が起こった日本が舞台になっている。...続きを読む作品自体も2011年夏頃、つまり東日本大震災と福島第一原発の事故から間もないうちに「小説すばる」での連載が始まり2015年まで続いた。だから途中から震災後であり原発事故である世界は、実際の世のなかとはちょっと違う方向に動いている。いや、あえてより悲惨な状況を描いたのだろう。そんななかを数奇な生まれ育ちの少女バラカ(薔薇香)は生き抜いていく。相関関係が狭すぎる気はするけど、それを凌駕するようなスケールの大きい面白さ。そして、人間関係のもろさと不可解さを感じる。相当過酷な運命を背負った少女の目を通して、人は信じ合えるのかといった命題を問われているよう。そしてどちらかといえば否のような空気を感じてしまう。
最初は東北大震災の現場から始まり、どんな展開になるのかと訝る気持ちばかりだったけれど、読み進めるうちに気分が更に重くなる。 なんて気持ちの悪い男なんだろう… 途中から気分が重いに加えて気持ち悪くなる。 後半どうなるのか… 2022.4.6
登場人物が、なんせヒドイ。 どいつもこいつも、クズ野郎だ! どこまで勝手なヤツらなんだ。 まともな奴が出てこないぞ! でも、そのクズさが凄いために、不愉快になりつつ読むのがとまらなくなった。 そういう意味では、作者の策にハマったのかもしれない。 カワシマとヨシザキのくだりは、読みながら は?と思...続きを読むわずと固まってしまった。 読書で、声出してツッコミしてしまうなんて初めてかもしれない笑
先週、イギリスで起こった悲劇的な事件にも触れるように、今世界には知らないだけで数限りないくらいの人身売買が繰り広げられている。 自分の生き方を選べる現代だからこそ起こった悲劇。そして、メディアや政府のいうことを信じることの愚かさを教えてくれた気がした。
先を読み急ぎたくなるような小説。最初の三分の二を経過しても主人公が誰かわからないような、これまでにない面白さがあり、また途中から気持ちが悪くなるような展開も、読む意欲を掻き立ててくれる。
リアルとデストピアのない交ぜの小説だ。あの東日本大震災を題材に・・・と思って読むと肩すかしのような、だからこそ、そこはかとなく怖いのだけど。桐野さんは相変わらず筆運びが勇敢で、叙情に流されないところがいい。ハンサムウーマンたるゆえん。さて、結末があるかどうか。
スピード感が速い。久々一気に読んだ小説。 まだ上巻の為、何がどうなっているのか?これからどうなるのか?全く予測不可能。 出版社に勤める沙羅は独身のまま40歳を超え、子供を望むようになっていた。友人の優子にドバイで養子を購入出来るとの情報をもらい、優子と共にドバイを訪ね、バラカという少女を幼女に...続きを読むし、日本に連れ帰る。 日本に住む日系ブラジル人のパウロとロザにはミカという幼い娘がいた。 酒に飲まれるパウロ。 「精霊の声」教会にのめり込むロザ。 このままでは駄目になると、ドバイに家族で移住するが、パウロは厳しい暑さに身体を壊し、ドバイで働けなくなり、単身ドイツに渡る。 ロザはナニーの仕事が気に入り、ミカと共にドバイに残る。 しかしロザは隣の家の運転手と家を出てミカと共に行方不明になる。 全く先が想像出来ないが、非日常的な世界に一気にのめり込んでしまった。 この先一体どうなるのだろう。。。
久々電車乗り過ごすレベルに面白い本読んだ。なんていうかわかんないけどこういうジャンル好き。人間の醜い部分を普通のことのように書いてる小説が好き。
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