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「年を取るとは、自分のセックスに忠実になることなのだ」――。カリスマ経営者として共同体の中心に身をおきながら、「異端者」である己との狭間で、精神の暗闘を繰り広げてきた見城徹。作家やミュージシャンなど、あらゆる才能と深い関係を切り結ぶことで得た官能的な体験とは。「個体」としてどう生きるかを改めて宣言した書き下ろしを収録。
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Posted by ブクログ
見城氏の作品って、いつもざらざらしているというか、一筋ではいかないというか、なんか異物が入っている気がしています。 作家たちとの対話の中で浮かび上がる、見城氏の作品を生み出すの執念を、異端者といい、快楽と表現しています。 読み進むうちに、物ごとを突き詰めていくと、中庸ではなく、社会の端っこのほうに...続きを読むいってしまうのかなあと感じました。 むき出しの感情と向き合い圧倒的努力を続けるものを、作者自身は、異端者とよんでいます。 自分の感性を信じ、作家にぞっこんになってしまう自分の姿を快楽といっているんです。 人と人とのつきあいというか接し方というか、見城氏の場合はそれはすさまじいものなのです。 見城氏が作家に出す手紙は、ラブレター、そうすさまじい感情がこもったラブレターなんです。 その作家に本を書いてもらうということは、女を落とすことと同じなんです。 気になったのは、以下のとおりです。 ・常に快楽と恍惚は死と隣り合わせだし、死の影を帯びている ・狂気じみていればリスクをリスクと思わない。率先してリスクを取り、そのリスクを果実を変えていく。毎日、それしか考えていなかった。 ・いい奴には大した作品は作れないと思っている。作品さえよければ相手が殺人者であろうと、性的異常者であろうと、誰だってかまわないと思っている。 ・傷つき、リスクを抱えて、七転八倒し、狂気のなかで闇を切り裂くときこそが、すべてを収穫できる瞬間なんです。 ・歴史は勝利によってのみ語られる。失敗は表にでない。本当は、死屍累々なわけです。 ・売れたり、ブレイクしたり、感動させるものには、必ず四つの要素があります。 ・それは、「明快であること」「極端であること」「癒着があること」「オリジナリティがあること」この四つを満たしていれば本は必ず売れる。 ・そうした心の振幅がその人の色気であり、セクシーさということ。ほとんど、心が振幅しない人には、誰も寄り付かない。魅力を感じないですよ。 ・誰にでもできることをやっても、ちょぼちょぼの結果しか出ません。誰もできないことを、圧倒的努力で可能にするんです。圧倒的努力をして不可能を可能にしていけば、ちゃんと結果は出ます。 ・女なしには生きていけないと言って女に溺れながら、君はどこかで女を信用していない。これだけ女と一緒にいても、君の中では女は遠景なんだ。 ・銀色夏生っていうのは、異物が混じっていると何もできない人なんですよ。拒否反応して貝のように閉じてしまう。だから紙も自分で選び、活字も自分で選び、デザインも装丁も全部自分でやって、帯も自分で書く。僕はそこに一点の他の染みも入らないようにするわけ。だから僕しかかわれない。 ・それはものすごく何度も何度も面接をして、一緒にめしを食って、それでも社員にはしないで、いいと思った人には来てもらって、それから六カ月して決めるというシステムをとっています。 ・これはとおもった作家の作品をとにかく読み込むことから始まるんです。過去の作品から、連載小成や新聞雑誌のコラム、対談まで全部徹底的に目を通す。そしてひたすら感想の手紙を書くんです。手紙の一番重要なポイントは、そこに相手を刺激する何かを必ず入れ込むということですね。 ・いかに相手の作品に魅力を感じているかを真摯に伝え続ければ、なんとかなるものなんですよ。 ・あらゆる新しいこと、素晴らしいこと、美しいことは一人の人間の「熱狂」から始まる。 異端者とは何か。はっきりしているのは、共同体の概念でいえば、「少数派」であるということだ。 異端者の哀しみは、一皮めくれば、異端者の恍惚に変貌する。人知れず異端者のエクスタシー。僕はそれに迫ってみたい。 目次 私的闘争の仁義―十年後の文庫版のための序章 異端者の祈り―序章 エッセイ 暗闇のピエロ(執筆年二〇〇八年) 発言 狂気じみていればリスクをリスクと思わない(発言年二〇〇七年) 発言 圧倒的努力は岩をも通す(発言年二〇〇七年) 対談 表現は自己救済の営み―さだまさし(ミュージシャン・作家/対談年二〇〇八年) 対談 現代文学の炎―中上健次(小説家/対談年一九八七年) 対談 震える魂のありかを求めて―石原慎太郎(小説家/対談年二〇〇三年) 対談 青春のカオスと熱狂―藤田宜永(小説家/対談年二〇〇七年) 対談 面白いヤツと仕事してなんぼ―鈴木光司(小説家/対談年二〇〇一年) 対談 死ぬときに口にする言葉―内館牧子(脚本家/対談年二〇〇三年) 対談 最高の化学反応こそ仕事の醍醐味―田島照久(アートディレクター/対談年二〇〇七年) 対談 すべて表現は「色っぽく」あるべし―杉山恒太郎((株)電通常務取締役/対談年一九九八年) 対談 生きる価値とは、働く価値とは―熊谷正寿(GMOインターネット(株)代表取締役会長兼社長 グループ代表/対談年二〇〇八年) 発言 幻冬舎は現代の八文字屋か―聞き手篠原進(青山学院大学教授)中島隆(早稲田大学教授)橋本孝(笠間書院/発言年二〇〇六年) 発言 常識との戦い―発言年二〇〇七年 エッセイ 焼き肉屋まで―執筆年一九八六年 絶望から快楽へ あとがきに代えて 解説 箕輪厚介 異端者の快楽 (文庫本) 見城徹/〔著〕 シリーズ名幻冬舎文庫 け-5-3 出版社名幻冬舎 ページ数357p ISBN978-4-344-42855-3 発売日2019年04月10日初版発行
著者は戦い続けている人物だ。ずっと戦っている。特に、共同体という既存のシステムに対して、個人で戦っている。ずっと戦い続けることはものすごく疲れることだろう。でも、戦いから得られる、刹那の快楽が、著者を未来へと動かしている。その様を見て(読んで)、心がとても熱くなった。
同じ著者の「たった一人の熱狂」を合わせて読むことをお勧めします。 リスクを「80%は圧倒的な努力でなんとかする」と、努力を肯定的に表現するところに、こちらも熱狂します。
『異端者の快楽』読む前から分かってたが、箕輪さん解説痺れた。 「見城徹という猛毒」を一度体内に入れ込むと、戻れない人生がある。 先日、箕輪さんに取材した時「メンタル別次元いかれましたよね?」と聞いたら、「まあ修行だから」と一言、無骨な表情で答えられてたのが忘れられない。
誰でも人とは違う所があり、そこがコンプレックスになったりするけど、 普通になろうとせず、普通でない事を誇れ、と言ってもらえた気がして救われる。 ユーミンの話がとても興味深かった。
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