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大災厄に見舞われ、外来語も自動車もインターネットもなくなり鎖国状態の日本。老人は百歳を過ぎても健康だが子どもは学校に通う体力もない。義郎は身体が弱い曾孫の無名が心配でならない。無名は「献灯使」として日本から旅立つ運命に。大きな反響を呼んだ表題作のほか、震災後文学の頂点とも言える全5編を収録。
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Posted by ブクログ
完全に打ちのめされてしまった。 震災後のいつかの日本という設定はフィクションだけどフィクションじゃない。 物語から漂うやるせなさを私は知っている。 これからの日本のことを考えながら読んだ。 表題作は勿論、「彼岸」が凄かった。 どうして原子力発電所の上に飛行機が落ちてこないと言い切れる? 鈍器で殴ら...続きを読むれたような衝撃があった。
多和田葉子氏の著作は初めてです。「震災後文学の頂点」という売り文句に惹かれ、そのまま読過していました。 著者はノーベル賞の時期になると村上春樹氏と共に名前が挙がる程、海外では評価されている方。私はかなりハードルを上げていましたが、それを容易く超える作品でした。1つ1つの美しい表現の洪水に感動し、そ...続きを読むの度に友人にその文を送りつけるほどです。 私のお気に入りは大厄災に見舞われた日本列島に暮らす家族を描いた表題作『献灯使』と、人類滅亡後の世界を戯曲で描いた『動物たちのバベル』です。 「当たり前」は「当たり前でない」ということが認識されつつある現代で、両作品は輝きを増してゆくでしょう。
友達にお知らせしてもらった多和田葉子の作品。 独特な表現と底知れない不気味な感情が押し寄せてくるんだけど、惹きこまれてどんどん読み進めてしまった。 5編あったけど、全部が表題作に結び付いていて、色んな視点から震災後、鎖国状態になった日本というものを描き出していて、とても面白かった。
ディストピア小説。 環境問題、高齢化問題、エネルギー問題など先が見えないまま、想定外を言い訳にして何が起こるかわからない。
東日本大震災が起きる直前の、2010年の夏は、とても暑かった。2009年の夏も暑かったけど、2010年の夏の暑さは異常だった。本当に毎日、夜遅くまで、休みなく暑かった。コンビニで棚卸をしていると、真っ黒に日焼けをしてぐっしょりになった作業服のおじさんが、「ガリガリくん、無い?」と言って空になったアイ...続きを読むスケースを見ていた。そんな2010年の夏を、「人生でいちばん涼しい夏だった」と村上春樹さんが言ったのを知って、それは震災前に言ったんだけど、まるで震災直後に言ったかのように、嫌悪した。その嫌悪は、大災害前夜に生まれたので、私の中で固まって、溶けることがない。 多和田葉子さんの文章は、今回も楽しく、無名は魅力的に描かれている。無名が献灯使となって、世界を旅することができたら、それはそれは楽しい冒険譚になりそうだ。でも、たぶんそれはかなわない。無名は、献灯使になることは出来ずに死ぬだろう。私は、忘れかけている。震災後の、壊れた信号や、ストーブのご飯や、スタンドの渋滞や、節電の街や、崩れた塀や、テレビの木支里予やシーベルトや、南三陸の娘と連絡が取れずに静かになって便秘になった母や、パンとコーヒーしか口にしない伯父と東北に行ったことや、琵琶湖で高笑いしながら左に曲がった友人を。 夜中に、思い出そう。
終末期の淵に立たされた世界の中で、生きる力をすでに見失った子ども達と相反して現実世界を生き抜こうとする老人達。 表現というのはこんなにも多様なのかと驚いた。 読み終わった後に私自信がこの小説の言葉や世界から抜け出せなくなりました。
読み進めるにつれて、未知の世界に引き込まれる感じがした。風景や様子など表現が細やか。義郎が荒廃した都心を想像していたが、とても寂しい風景なのにどこか幻想的に感じた。気持ちの揺れに対して潮の満ち引きなど、素敵な表現だなと思う。 義郎は、曾孫に知恵や財産を残してやろうとするのは傲慢だ、今できるのは一緒に...続きを読む生きる事。その為にはずっと信じていた事を疑える様な勇気を持たなければならない。と考えていて、歳を重ねるにつれて考えが凝り固まってしまう人の方が多いと思うが、そういった考え方の更新は、義郎の世界だけでなく、今の私達の世界でも必要なことかもしれない、と思う。 下心をもって結婚し、そんな自分を軽蔑したこともあったが、色々な事がありすぎて、今では間違いと正解の境目がぼやけて見えない。という文が何故か印象的だった。 無名の子供らしい発想は読んでいて楽しかった。 義郎の曾孫に対する愛情と葛藤が苦しい。 2人の日常を綴っているが、どこか切ない気持ちになる。 明日でなくても、今後数十年後、本書の様な世界に変貌しているかもしれない。そう思うと、今ある普通をもう少し噛み締めないといけないと思う。あの頃は良かったと思うことも多いだろうが、葛藤しながらでも未来を見つめられるだろうか。
初めてのディストピア小説。ちょっと私の想像力が足らないと反省。でも、新ジャンル開発になりそう。自分でも意外。
前回の本と同様なかなか読み進められなかった. でもこれは面白かった. 面白いというより読みすすめるたびに色々考える事がある内容. 言葉遊びと言い回しと独特なテンポがあるので本を読み慣れてない私にはググっと入り込めないけどジワジワとくるものがある. 献灯使の最後は え??なに??ここで終わり??え?ど...続きを読むういう事??ジョジョ並のぶった切りのような終わりに困惑したけれど 他4作の短編を含めて1つの作品という印象. .
大地震によって大陸から遠く離れ、原発事故の影響で放射能に汚染された日本。政府は鎖国政策を取り、往来での外来語使用はなんとなく憚られる空気のなか、人びとの生活と共にことばも形を変えていく。震災後に生まれた体の弱い曽孫・無名の看護をする"死ねない老人"義郎の物語「献灯使」ほか、大災害...続きを読むと原発という二つの〈爆弾〉を抱えた列島の物語五篇を収める短篇集。 あらすじを書きだすと真面目な反原発小説のようだし、実際真顔で書かれた反原発小説そのものなのだが、表題作の構造自体はSF。〈変わってしまった世界〉の姿が霧の向こうから少しずつ見えてくるのが楽しくもあり、恐ろしくもあるディストピア小説だ。ボリス・ヴィアンを連想させる生温かい終末観は、真綿で国全体が静かに締め上げられているような今現在の皮膚感覚にあまりにも肉薄している。 面白いのは言葉の異化作用をフルに使ってディストピアに順応してしまった人びとの暮らしをユーモラスに描くところ。開始2ページ目から「ジョギング」が「駆け落ち」と呼ばれるようになった経緯が語られるのを皮切りに、「四国スタイルのドイツパン」「若い老人」「老人がんばれの日」「子供に謝る日」など、おかしいけれど実際に使ってる人もいそうな絶妙なラインを突いて、鎖国日本の新語が畳み掛けてくる。作者の持ち味であると共に、ことば遊びの諧謔とSFの組み合わせに酉島伝法っぽさも感じた。 他の収録作について。「韋駄天どこまでも」は生け花教室で知り合ったというちょっとバブリーな設定の女性二人が、大地震によって非日常に逃げこむ破滅願望シスターフッド小説。漢字の解体と再構成によって視覚的に「一つだったはずのものがバラバラになっている/バラバラなものが一つになる」を表しているのが特徴。 「不死の島」「彼岸」の二つはより明白な風刺小説で、特に「不死の島」は「献灯使」の世界を海外移住者の視点から書いている。3.11後にヨーロッパへ移住すると言った人がどんな目で見られていたか、個人的な記憶が蘇った。ラスト一行の切れ味が鋭い。 「動物たちのバベル」は人間が滅んだ後の世界を生きる動物たちのおしゃべりを描いた戯曲。「ボスではなく翻訳者を選んでみたらどう? 自分の利益を忘れ、みんなの考えを集め、その際生まれる不調和を一つの曲に作曲し、注釈をつけ、赤い糸を捜し、共通する願いに名前を与える翻訳者」というリスの台詞が印象に残った。 ぼんやりとした不安を諦念で塗りこめた先に待つ未来。「献灯使」ということば遊びのなかに隠された〈灯〉を絶やさぬように、優しく揺すぶり起こされるような小説たちだった。
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