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NHK「SWITCHインタビュー 達人達」を書籍化! 日本で2人目の国際アンデルセン賞受賞作家・上橋菜穂子は、同賞受賞時に「さまざまなファンタジーの世界を作り出す類いまれなる才能を持ち合わせ、彼女の作品は優しさと、自然や知性ある生き物への大きな敬意を持ち合わせている」と評された。その作品の魅力に、「野生動物のお医者さん」として、つねに野生動物の厳しい現実に向きあってきた齊藤慶輔が迫る。
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Posted by ブクログ
人も自然の一部であることをはっきり仰っていてハッとさせられた。近代社会の中では忘れてしまいがちな視点を取り戻させてくれる対談本だと思いました。
獣医師を志しているものです。 これから動物の命を扱う者として、人間と動物の共生、お互いが良い形で生きていくためにはどうしたらよいのか、考えるきっかけになりました。 とても読みやすく、中身も深く考えさせられる内容でした。
ページ数はそんなになくても、内容はとてもとても深かった。 野生の獣の医術師と聞いたときは、病院だけで手当てやリハビリをする人だと思っていたけど、この本を読んでこの動物は何故死んでしまったのかと監視役になり、よりよく人間と野生の動物が共存できる道を日々研究し、森や山に入って野宿をし、 想像以上にハード...続きを読むな職業なんだとイメージががらりと変わった。 本という形になったのは大きな意味があると思うの。一人でも多くの人が沢山この本を手に取ってくれたら、後々の未来が少しだけ良くなるかもしれない。
他者の痛みが想像できること 境界線上に立つ人ー「中間者」シャガール シカ猟で鉛中毒 ピラミッドの頂点は猛禽類 -ライオンマン
NHK対談番組「Switch」の内容に往復書簡等を加筆して本にしました。斎藤慶輔さんは釧路湿原野生動物保護センターの獣医師でオオワシやシマフクロウなどの治療・保護をしてきた人。上橋菜穂子さんの「獣の奏者」の監修をしたことが奇縁で対談に至りました。 上橋菜穂子さんについては、あと1-2冊読めばコンプ...続きを読むリートになります。それほど寡作なのです。彼女の新居の書棚がチラリと出てくるけど、専門書関係だけで700冊ぐらいあるらしい。彼女の書くのはファンタジーですが、なんでもアリではない、「特に、命あるものの生き死にに関わることで、うそは絶対に書きたくない」と決意しています。最新作の「鹿の王」で大部分を占める医療行為のほとんどがリアルなのは、そういうわけです。もっととんでもない医療設定があれば、主人公ヴァンのラストも変わったのかもしれません。「作者の都合」からウソは書かない作家なのです。 リアル「獣の医術師」というべき斎藤慶輔さんと話すことで、上橋菜穂子さんは、様々な創作のヒントを貰ったに違いありません。 例えば、 ・人間の赤ちゃんを助ける保育器は、シマフクロウを助ける機器として転用している。 ・林道を歩いていると、子供がしゃがんでいると思って近づいたら、ふわっと飛んでシマフクロウだったと気がつく。 ・猛禽も人と同じ構造をしているところがあり、古武道のように関節技をかけることもある。 ‥‥やがて、彼女の作品に生かされる日が来ることを願います。 異分野の2人が、対話をすることで、大切なことの答えを見つけ出してゆく過程も書いています。 (1)ワシもフクロウも、治してくれた医者にお礼は言わない。医者も自分がしたいからしている。何故、人だけが、傷ついた他者を治したいと思うのか?いずれ死んでしまう命なのに、どうして見捨てることができないのか?(上橋→齋藤) (2)日本で生まれ育ったのに、どうして越境し、背景が異なる人たちが生きてゆく世界を描こうとしたのか?(齋藤→上橋) 1番目の問いに対して齋藤さんは丁寧に回答を試みようとします。いろいろ書いているし、齋藤さんは決してこういう言い方はしていないのですが、結局は「それは人間の業だ」と私は思う(←失礼)。詳しくは読んでください。 2番の問いに対して、上橋さんも丁寧に答えます。「もし日本を舞台にした物語を描いてしまったら、日本の読者はきっと、自分のよく知っていることと照らし合わせて読んでしまう」。そうしたら、ファンタジーの魅力が激減すると思っているのらしい(←私はそうは思わない。特に舞台が弥生等の古代ならば。けれどもそれは私の勝手な意見ですね)。彼女に影響を与えた本がトルーキン「指輪物語」と、ローズマリ・サトクリフ「第九軍団のワシ」「ともしびをかかげて」「運命の騎士」なのも関係するのかもしれない。そして境界線の人々に興味を持つ。 小学生高学年向きの本。これを読んで、獣医師や作家を目指す子どもが出てきたら僕も嬉しい。それから、これを読んでフィールドワークに出るような学問を目指したならば嬉しい。私にとっては、ともかく上橋菜穂子ワールドが広がってためになりました。
小説家・上橋の本業は文化人類学者、アボリジニ研究。齊藤は野生動物の医師、ニンゲンが関わって傷ついた獣(おもに猛禽類)を治療する。「ヒトは食物連鎖ピラミッドの頂点にいるのではない。いまやピラミッドを覆す力を持ってしまった」/「生まれたからには、死んでいく…生体というものを学者の目で眺めると、非情の世界...続きを読むが広がっている…なぜか情というものがあって、なぜ生まれてきたのか、生きている意味はなんなのかと問わずにはいられない」/瞳の外に白目があって視線を対峙者に教えることは生存に一時的に不利となるが、共感する能力のため
『精霊の守り人』の作者・上橋菜穂子さんと、野生動物の獣医師・齋藤慶輔さんとの対談。また、上橋さんが物語を書く上で大切にしていること、物語が生まれる瞬間のことなども語られます。齋藤さんは、上橋さんの『獣の奏者』に登場する「獣の医術師エサル」のような人で、野生動物と向き合う時の心構えや思いを静かに語られ...続きを読むます。 読み物としてもとても面白い本です。
作家で文化人類学者の上橋菜穂子氏と、獣医師で釧路湿原野生生物保護センターの猛禽類研究所で、絶滅危惧種の猛禽類と向き合いながら環境保全活動もしている齊藤慶輔氏がNHKの番組で対談したものと、お互いに聞かれたことの答えを文章にしたもので構成されている。番組の対談は、第1章の前に上橋氏が釧路を訪ねたもの。...続きを読む第4章の後に、齊藤氏が上橋氏の書斎を訪ねたものになり、1章は、どうやって物語を書いていくのか?2章は、なぜ治したいのか?3章は、鳥の目線で描く事、4章は、二つの世界の境界線で。となっている。 どんなに困難でも逃げるという道はとれず、今いる目の前の者に精一杯答える事しか選択できない。今、溢れている水をすくったところで、元栓を閉めなければ水はまた溢れていく、そこを考えると、環境問題も考えなければ、また、違う種や、考えの人も、同士なのだから、相手の気持ちを思いやるなど、考え深いとテーマが綴られている。
対談。動物。野生。NHK。 野生の動物を診る獣医師・齊藤慶輔さんと、作家の上橋菜穂子さんの対談。 共感する力が強い人は、自分から自分を切り離して見れる人なのかもな。あと、個人的にこの文言を今このタイミングで目にすることになるのか、っていうところがあって、読む時期が違えばまったく目に入ってこなかったろ...続きを読むうにと不思議な思い。
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