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児童書や古典の名作に欠かせない、魅力的な脇役である動物たち。「動物物語」と「ファンタジー」が共通して持っている、心を惹きつける要素とは…? ファンタジー作家として人気抜群、本の読み手としても一流の荻原規子が、動物をキーにさまざまな本を紹介し、自分自身についても語ります。徳間書店PR誌「本とも」で人気を博したエッセーに新原稿をプラス。荻原ファンはもちろんのこと、ファンタジーや児童文学の読書案内としてもオススメです。
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Posted by ブクログ
荻原さんの勾玉三部作にはまって以来、彼女のおすすめを道しるべに児童文学ファンタジーを読みあさってきました。 ほぼ外れなく面白く読めました。豊かな読書体験をされてきたんだなぁと羨ましく思います。
一章ごとに一つの動物を取り上げ、それぞれの動物にまつわるファンタジーについて語られている。 ファンタジーの手引書としても軽い評論としても読める、まさに読む価値のある本である。 クマやライオンなどの現実にある動物から始まり、「ライラの冒険」シリーズのダイモンで終わる心憎い構成。 特に、佐藤さとる...続きを読むの「コロボックル」シリーズのマメイヌやダイアナ・ウィン・ジョーンズの『ダークホルムの闇の君』のグリフィンが出てくるところなど感涙ものであった。
物語に出てくる動物だけじゃなく、実際に飼っていたヒヨコやおもちゃのカエルの事まで書いてあって面白い。 猫,グリフィン,白鳥,ドラゴン,ダイモン,の回が特に好き。 グリフィンの回で、DWJの「ダークホルムの闇の君」について書かれてて、どれも共感出来る事だったのが嬉しい。 反対に、ユニコーンの回で絶賛...続きを読むされてる「最後のユニコーン」は、昔読んだ事があるけど、なんだか難しいって印象しかなくて、内容も朧気にしか覚えてないのが残念…。読み直してみようかなぁ。
神話とか民俗的な話題とか。 自身の動物と本にまつわる体験を通して、その辺を熱く語る1冊。 荻原規子好きには、そういう面で最高に面白い本。 僕のような、「ファンタジーに馴染みが薄いけど、荻原規子は大好き」って人にとっては、古典・名作ファンタジーへの架け橋、読書のススメになります。 誤魔化しや茶化し...続きを読むを混ぜずに、物凄く冷静に真剣に語られてます。 参った。色々読みたくなった。
ファンタジーや神話民話に登場する有名無名の動物たちを、章段ごとに作者の思い出を絡めながら語る一冊。 私は未だに、自分が幼少〜中高生時代にファンタジー含む日本・世界名作にあんまり触れてこなかった(専ら漫画と星新一)のがちょっとコンプレックスなのだが、 それでも「本に登場する動物」という存在には心ときめ...続きを読むくものがある。 『大造じいさんとガン』の残雪とか名前ひっくるめてかっこよすぎる。 この本はその辺をいい感じにくすぐってくる良書であった。 椋鳩十は取り挙げられてないし、鳥で出てくるのは白鳥くらいだけど。 以下、特に響いた箇所を引用。 「私の一番の財産は、結局これしかないと思うのだ。子ども時代に、子どもの感性で児童文学を読んだこと。そして今でもおぼえていること。」 (p.108) 「デフォルメした動物キャラクターを動かすことは、動物をよく観察して忠実に写すこととは別の範疇にある。観察するべきは、私たちの内面、私たちの神話のありかなのだろう。動物が語る言葉は、動物の持つ言葉ではなく、人間から抽出された、人間が持つよりもピュアな何かなのだろう。 そんなふうに人間から外部に抽出されてしまったものは、ほとんど『神』とも呼べるものではないだろうか。」 (p.155) 「私は、J・R・R・トールキンやC・S・ルイス以後に文学ジャンルとなったファンタジーとは、この系統であり、太古の語り物の末裔なので、近代からの意味で言われる「小説(ノヴェル)」と同列ではないと思う。 子どもだましと見下げるのはまちがいだが、小説と同じ手法の文学論で論じるのもまちがいだ。同じものさしで測るから、小説仕立ての奥に持つ真価にうまく手が届かず、ファンタジーの優劣に的を射た批評が生まれないのだ。」 (p.213)
古典文学や現代文学で登場するクマ、馬、ニシキヘビ、ユニコーンなど、物語の重要な名脇役である動物・怪物たちに焦点を当て、その魅力に迫った本作。 児童ファンタジー作家として有名な著者が、物語を違った角度で楽しませてくれます。
荻原規子ファンにはたまらないと思います。彼女に影響をあたえた本、出来事がかかれています。 エッセイですが、小説のような語り口で、たのしめました。
徳間書店のWebサイトで連載されていたエッセイが元の本です。 連載中から、1冊の本になるのを楽しみにしていて、やっと読みました。 テーマが動物で、そこから連想される本の紹介みたいな感じでお話が進んでいきます。 「ジャングル・ブック」とか、読みたくなります。
まじめなレポートのような1冊。 固い感じがしたが、それもまた一興。 彼女とファンタジーの出会いのいきさつなどもわかってよかった。
心に残ったエピソードは三つ。古事記に現れる馬の皮。カエル漫画を描きつづけた理由が読者の存在だという話。何故ファンタジーが中世欧州風世界で展開されるか。 馬の皮は何か養蚕と結びつくようなのだが、何を意味するのかが現代では明らかでないというところでエッセイは終わる。この分からなさが妙に心に残った。 カ...続きを読むエルの漫画は弟が読者として存在したことが続けられた理由だとしたもの。作者と読者の関係について色々考えていたのでタイミング的にはまった。 最後のファンタジーの舞台については(いま本が手元にないのでうろ覚えだけど)「中世には現代と同じ問題が全てある」からだという中沢新一氏の説が紹介されていた(ような気がする)。 いわれてみると確かに現代とは異なる環境で貧富の差、家族問題、戦争、都市と辺境、各種産業、知識欲や名誉欲などを描くことができ、魔法やエルフやゴブリンが現れても許容されるのは中世欧州風世界だよなぁと思う。 本自体は一章ごとにファンタジーに登場する動物のタイトルを振り、タイトルの動物をキーに自分の思い出や動物が登場する作品について語ったウェブ連載をまとめたもの。そういえばダイアナ・ウィン・ジョーンズにはまったのは荻原さんのエッセイの影響も大きかったよな、と改めて思ったり、中沢新一氏の著作を改めて読んでみたいなと思ったり。
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