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これは、山ではないか。 シナンは、その巨大な石の建造物の前で、そう思った。 この積みあげられた石の量感は、まさしく山であった。その山の量感が、そこに立った瞬間、シナンに襲いかかってきたのである。 山を、人間が作ることができるのか。 シナンは、感嘆の声を心の中で洩らしている。 一六世紀、壮麗王スレイマン大帝のもとで繁栄を誇るオスマントルコ帝国に、工兵から宮廷建築家へと昇りつめた男がいた……。「石の巨人」と呼ばれ、史上最大のモスクに挑んだ天才建築家シナンの生涯を描く。
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Posted by ブクログ
全く知識なく手に取った「シナン」。 オスマントルコの宗教建築家の話。 実在の人物でありながら物語仕立てになっているので、入口としてはとても入りやすい。 上巻では、シナンはまだまだ建築家として活躍はないが独特な考え方や人柄がクローズアップされ主に来歴と人ととなりが描かれている。 絶版本フェアで見つけ...続きを読むた本だったが、大当たり、
スレイマン大帝の頃のオスマントルコの建築者の話。 物語として分かりやすく、時代背景をつかみやすい。 シナンのような経緯でオスマントルコに仕えた人々のことも ふと垣間見える。
夢枕獏の本は初めて読んだが、分かりやすく物語に引き込まれた。 NHKドキュメンタリーでシナンのセミリエモスクが特集されていて気になって読んだ本。下巻がたのしみ。
16世紀、その百年の生涯で、477もの建造物を手がけた石の巨人・シナンの軌跡を辿る。 ゼミのために再読。 実は、これが私の夢枕氏の初読本で、とっても思い出深い本である。 今では文庫になっているが、単行本のほうが作りが凝っていて素敵な装丁で、その装丁に引かれて、いわばジャケ借りで手に取ったのだった。...続きを読む 読み返してみて驚いたのは、シナンの生涯と同じぐらいの比率で、オスマン帝国の歴史が詳しく書かれていたこと。 トルコの歴史を熟知している人なんてほとんどいないだろうから、基礎知識としてそれを頭に入れるために説明は必要なのだが、それにしてもこんなにページが割かれていたとは驚きだった。 この本を読めば、16世紀前後のトルコの歴史がかなり詳しくわかって、そういう面でもかなりお得。 物語の感想は下巻にて
時代小説。オスマントルコ時代に実在した建築家の人生を小説仕立てで綴る作品。トルコに興味があり、モスクに惹かれるなら読んでみると面白いかな。
シナンより周りの人達の人間関係や利害関係などが、物語で感じられて面白かった。シナンから見た時代絵巻な感じ。
奇しくも、先日読んだ塩野七生の『小説 イタリア・ルネサンス』と同時代。 塩野七海の方は、ヴェネツィア視点の話で、こちらはオスマン視点で面白かった。 スレイマンが、イブラヒムが、ミケランジェロにアルヴィーゼが!もう、奇跡の時代。 世の理について何か一本通っている話。
イスタンブルに旅行に行く人には是非この本を読んでから行って欲しいと思う本。想像力の乏しい私の代わりに、シナンの生きた時代や背景を夢枕さんがとても美しく善意に満ちた表現で補完してくれます。イスタンブルのモスクやトプカプ宮殿に行き、思いを馳せるとき、イキイキとしたイメージでそこに生きていた人のことを思い...続きを読む浮かべることができると思います。
オスマントルコで活躍した建築家シナンのお話。 カッパドキア地方に生まれ、少年徴収制度で兵士団に入団しイスタンブールへ、以後宮廷建築家となり、いよいよベネチアへ向かうこととなる。
「仕事をしなさい、シナン。その仕事が君を救ってくれるだろう」 文中で1度、ラスト近くでもう1度繰り返されるこのミケランジェロ(!)の言葉はあるいは作者のメッセージなのかもしれない。私はこの本を読むまでイスラムやムスク、トルコに興味なんてなかった。でも今、シナンの建てた美しい建造物をいつか見たいと思...続きを読むう。
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