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「ハナニアラシノタトエモアルゾ/〈サヨナラ〉ダケガ人生ダ」(訳詩「勧酒」)。諧謔と哀愁に満ちた言葉を自在に駆使し、独自の詩世界を切りひらいた井伏鱒二(1898―1993)。「散文が書きたくなくなるとき、厄除けのつもりで」書いたという詩を集めた『厄除け詩集』に、初期の作品を加えた決定版全詩集。解説=東郷克己/穂村弘。
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Posted by ブクログ
無骨で老獪な小説の印象の強い井伏鱒二の詩集はどのようなものかしら、と手にした。 無知で恥ずかしいが、あまりにも有名な「サヨナラダケガ人生ダ」の「勧酒」は井伏の訳だったか。 吐き出されるように書かれた詩は情緒的ではないが、不思議と「詩的」である。
有名な「勧酒」と、他の詩も読んでみたくて購入。 のどかでありながら、どこか醒めた感じも受ける詩が多かった。 高校時代に教科書で読んで印象に残っていた「秋夜寄丘二十二員外」が収録されていて、懐かしい気持ちになった。
1937年(昭和12年)。 訳詩が素晴らしい。孟浩然『春暁』を直訳と井伏訳で比較すると(カッコ内が井伏訳)、 春眠暁を覚えず (ハルノネザメノウツツデ聞ケバ) 処々啼鳥を聞く (トリノナクネデ目ガサメマシタ) 夜来風雨の声 (ヨルノアラシニ雨マジリ) 花落つること知んぬ多少ぞ (散ッタ木ノ花イカホ...続きを読むドバカリ) 直訳の格調高さも良いけれども、井伏訳の大らかな自然体も捨てがたい。 そして何と言っても、于武陵『勧酒』の訳の完成度は一頭地を抜いている。いつか自分がこの世に別れを告げる時もこんなふうに飄々と去っていけたらいいな、なんて思ったりする。 君に勧める金屈巵(きんくっし) (コノサカヅキヲ受ケテクレ) 満酌辞するを須(もち)いず (ドウゾナミナミツガシテオクレ) 花発(ひら)けば風雨多く (ハナニアラシノタトヘモアルゾ) 人生 別離足(おお)し ( 「サヨナラ」ダケガ人生ダ)
死んだ後で何といってもらいたいかという石川淳の質問に「詩人」と答えたという逸話を記憶してます。これを読むと詩の方が寿命が長そうな気がします。いいです。岡山出身の内田百間は中世が現代に顔を突き出したという評言(種村季弘の言葉だったか)がありますが広島出身の井伏も同じ気配があります。中国地方の文学風土は...続きを読む江戸戯作を通過してないのかな?
好きな詩 『春暁』『聞雁』『田家春望』『紙凧』『泉』。 特に好きな詩の抜粋 『田家春望』p.56 ウチヲデテミリヤアテドモナイガ 正月キブンガドコニモミエタ トコロガ会ヒタイヒトモナク アサガヤアタリデ大ザケノンダ 『勧酒』p.59 コノサカヅキヲ受ケテクレ ドウゾナミナミツガシテオクレ ハナニア...続きを読むラシノタトヘモアルゾ 「サヨナラ」ダケガ人生ダ 『花に嵐のたとえもあるぞ「サヨナラ」だけが人生だ』は、何度考えても自分なりの解釈が思いつかない。しかし、つい口ずさみたくなるお気に入りの詩。 岩波文庫3/100冊目。次は、『黒猫・モルグ街の殺人事件 他五篇』を読む。
かの有名な「勧酒」目当てで購入した1冊。 前半から漢詩の訳のあたりまではわくわくしながら読めたけれど 後半は少しだれてしまったような印象。 あまりリズムとか韻にはこだわらずに書かれていたからかな。 散文を書きたくなったときに、厄除けのつもりで書いたとは、よく言ったものです。
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