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危機に瀕する都市国家テーバイを救うためオイディプス王は神託を請う。結果は、「先王ライオス殺害の犯人を罰せよ」だった。真相が明らかになるにつれ、みずからの出生の秘密を知ることになる彼を待ち受けていた運命とは? 「エディプス・コンプレックス」のもとになるなど、後世の文学、思想に大きな影響を与え、今も全世界で読み継がれ、上演されつづけるギリシャ悲劇の最高傑作。
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Posted by ブクログ
2000年前に紡がれた、これは短編でありつつも緻密でおぞましく、逆転と認知の悲劇的なストーリーです。 辻褄があっているのか、疑問点を読み返して咀嚼してみたくなります。 最大の疑問は使者がオイディプス王に謁見した際、お互いにライオス殺害の現場に居ながらその時の場面について追求せず、それより遥か昔に両...続きを読む足を拘束された子どもについて固執し続けたことと、使者が複数人の犯行と証言したことがうやむやにされたことです。使者が王を殺された現場にいながら王を助けられなかった言い訳で虚偽の報告をしたんでしょうけど、その一点を頼りにしていたオイディプス王なのでキチンと回収されないと読み手としてはしっくりこないです。 翻訳もギリシャ語を英語に訳したものからの日本語訳とはいえ、かなり原作に配慮しながら訳したものであるとのことで安心しました。 そもそも我が子を預言者の言いなりに殺してしまおうと思う母が悲劇の元凶ではあるが、フロイトが提唱した、男子には近親相姦の本能があるかもしれない(エディプスコンプレックスの語源とされるのだと思い当たる)恐ろしさとともに深く考えさせられるミステリーでした。
ギリシアを学ぶに、ホメロスとプラトン、アリストテレスで足りるわけはないと思いつつ、でも、全部は無理やん フロイトとかに繋げれることも思うと、とも思うし、ギリシア悲劇を完全無視とはいかんでしょう 結論はしっているのに、この迫力、思わず涙が滲む 徹底した凋落と、全ては過去のこと、ということ 真実が明...続きを読むらかになるその瞬間まで、過去が語られる以外、何一つたいした出来事は起こっていない 預言が現実になる、という構造を、この悲劇そのものが預言となって繰り返される構造になっているので、結論を知っているとは別にその都度体験ができるのだろう 凄まじい
戯曲 かかった時間50分 父を殺し、母と交わる運命を追った王オイディプスを描いたギリシャ悲劇の傑作。 解説によると、アリストテレスはこの作品について、「逆転」と「認知」が見事に描かれていると評したそうである。アポロンの神託を受けて、自分ではない罪びとに憤るオイディプス王が、ライオスが亡くなった状...続きを読む況やテーバイの神託、捨てられた子についてなど、新たなことを知るたびに動揺し、最後には絶望するという物語の運びが、いっそう悲劇的である。 何より、物語としても、語り方を考えても、抜群に面白い。2400年も前に書かれたものに、異なる言語や媒体であってもアクセスできるって、改めてすごい。 訳者の方は、音にこだわって日本語にしたらしく、あとがきも興味深かった。 古典おそるべし。
随分前に岩波文庫で読んだような気がするけど、改めて再読。古典中の古典な訳で、内容は分かっている。そもそもこれが悲劇として上演された古代ギリシャにおいても、観客たちはオイディプス伝説について現代の我々以上によく馴染んでいたはずだ。それでも読み始めると「世帯で最初の推理小説」と言われるだけある緊張感のあ...続きを読むる展開からのオチのわかっているどんでん返しに翻弄されてしまう。人間と神を使ってドラマを作る、そしてそれを楽しむ感性がいつになっても変わらない普遍的なものであることを再確認する。
約2400年前に書かれたギリシャ悲劇が本として読めることに驚きです。 本によって訳し方など内容が若干違いがあるようですが現代でもとても読みやすかったです。 冒頭の怪物スフィンクスの件だけ、物足りなさを感じました。 「朝は四本足、昼は二本足、夜は三本脚。これは何か」という謎をかけてテーバイの住民...続きを読むを苦しめてた怪物スフィンクスの謎を解いてテーバイを解放した。 調べてみると 怪物スフィンクスは人々になぞなぞをかけて答えれなければ食べてしまっていたそうです。 オイディプスが謎を解いて答えは「人間」でした。 謎を当てられたスフィンクスはショックで山の上から身投げしたそうです。 物足りなさのおかげで色々調べてオイディプス王を更に楽しめたので結果的に良かったです。
齋藤孝さんの「読書する人だけがたどり着ける場所」で紹介されていて読んでみた。 自身、文学に限らず古典にはこれまで全くと言っていい程触れる機会がなかったが、良いきっかけだと思って読んでみた。 まず何より、これだけのストーリー性のある話が、紀元前の時代に作られ、現代にまでその形を残している点に非常に感動...続きを読むした。 ストーリーはある程度わかった上で読んではみたが、それでも楽しく読ませていただいた。 オイディプス王自身が真実に気づいた後の狂気に満ちた行動もさる事ながら、解説にもある通り妻であるイオカステ妃が、いつどのタイミングでその事実に気づいたかという点において、諸説あるというところは非常に興味深かった。これは古典ならではの醍醐味であるのかもしれない。 もちろん現代の小説に比べれば、読みづらい点、理解しづらい点はあるものの、自身の古典への入り口として読むには、非常に良い本だと感じた。
作者の後書きを見ると分かるのだが、英訳されているオイディプス王はたくさんあり、どれも解釈がばらばらだったそうだ。 それに伴い、訳者はたくさんの文献を探し自分が納得のいくような日本語訳にしたそうだ。 また、オイディプス王は元々は演劇に使用される作品であり、小説ではなく台本であったのだ。なので、日本語訳...続きを読むもそれに忠実に従いながら訳したようです。 この訳者の丁寧な訳により、非常に読みやすく面白い作品となっていました。
高校一年生のとき(30年以上前)、担任兼世界史の先生が、この作品のあらすじをプリントで配ってくれて、衝撃を受け、ずっと記憶には残っていたものの、作品そのものは読んだことがなかったので、今回お気に入りの光文社古典新訳文庫で読んだでみた。 紀元前にこんな込み入った話を書いて劇をしていた、というのは正直驚...続きを読むきだ。 ギリシャ人が、「元祖ヨーロッパ人」面をして、EUから財政支援を受けてもまだ文化的には貯金がある、という感覚であるのも、気持ち的には分かるような気がする。かな。。
「オイディプス王」は演劇の原点と言われるギリシャ悲劇だ。舞台には3人の役者しか登場しないので簡明だ。訳者がこだわった翻訳セリフはリズムがある。オイディプス王の舞台があるなら見てみたい。 人生において読んで知っておいて損はない古典の1冊だ。
アイスキュロス、ソフォクレス、エウリピデス、ってギリシャの三大悲劇詩人、っていうのをたぶん世界史の最初の方で習うと思うけど、そのソフォクレスが書いた父殺しの『オイディプス王』。すごく短いので、あっという間に読めてしまう。シェイクスピアの翻訳で有名な河合祥一郎先生の訳。 もともとは数冊前に読んだ...続きを読む、トルコの小説の『赤い髪の女』で、父殺しがテーマになっていたので、河合先生が訳していることもあり、読んでみた。おかげでシェイクスピアを読むように台詞が読めて、分かりやすい。というか読みつつ、その台詞を役者が喋る感じで頭の中に響いてきて気持ちよく読める。けど、あらすじをだいたい知って淡々と読んでしまい、あんまり印象に残ったところがなかった。もう少し味わって読むべきだった。でも2500年?くらい前の人たちもこんなドラマチックな話を作って共感したりできるって、なんかすごいなあ、とか小学生みたいな純粋な感嘆の念は常に持ってたけれど。(24/03/09)
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