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天賦の才を持つ岩壁登攀者、羽生丈二。第一人者となった彼は、世界初、グランドジョラス冬期単独登攀に挑む。しかし登攀中に滑落、負傷。使えるものは右手と右足、そして――歯。羽生の決死の登攀が始まる。
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Posted by ブクログ
漫画から入ったので、大まかなストーリーは知っていた でも、やはり文章にするとその重みが違うなと感じた 一人の男の、孤独で意地で、夢が詰まっていた
山が好きで手にとった本だったけれど、単なる山岳小説ではなく、主人公の生き方に引き込まれ一気に読んでしまった。
熱くて不器用すぎる、けどそれがまたカッコいい山男たちの物語。 カメラの謎も気になって、下巻の展開が楽しみ。
男による男のための、実に男くさい小説。 エヴェレスト南西壁、極限に挑んだ羽生や山男達の物語のようで、実はカメラマン深町がただひたすら、もんもんとする、実に青臭い男の物語でもある。 「なぜ登るのか」は「なぜ生きるのか」に通じる問いかけ。 登場する男たちは、山頂に到達した時の達成感、高揚感、清々しさとは...続きを読む無縁で、その高嶺にある幻影を求め、悩み、うめき、歯を食いしばり、這うように歩き、まるで胃袋のものを吐き出すように言葉を絞り出していく。 深町も言っているけど、あの場所、あの濃い時間を一度体験してしまったら、もう日常と言う、ぬるま湯の世界では生きられないんだな。取りつかれた者たちの物語。
※上下巻共通のレビューです 実写とアニメの映画を鑑賞した後に読みました。上下巻通してかなり引き込まれました。物語の骨組みがしっかりしているし、細かい所もかなり考えられています。 上巻は下巻のために舞台設定をした感じですが、ミステリー小説のように楽しめました。これからどうなる?と言う期待感を持ちな...続きを読むがら、また情景を感じつつ読みました。 万を期した下巻は、精神的哲学的な要素が強く、一言一言に考えさせられました。上巻は登録フレーズ0でしたが、下巻は11登録しました。「薄い時間」と「濃い時間」の考え方、そして「何故、山にゆくのか。何故、山に登るのか。それには答えがない。それは、何故、人は生きるのかという問いと同じであるからだ。」とか、「登れるのがはっきりわかっているルートなんか、地面を歩くのと同じじゃないか。それだったら、岩なんかやらずに、通常の登山道を歩いてればいい」とか身に沁みます。 ラストも最高の締めくくりでした。
映画を見てから読んでるけど、面白いやん! う~ん、映画も忠実だったとは思うんだけど、薄い、軽い、重みがないなんだよなあ・・・ 原作ファンの人は映画は見ない方がいいと思います。映画見てても、小説は早く後編読みたい!
登山の知識が全くないので最初は話についていけるかが心配でしたが、後半に進むにつれて話の中に引き込まれていきました。羽生さんのことなどまだわからないこともあるので下巻を読むのがとても楽しみです。
久しぶりに上下2巻、1000ページを超える大長編を読みました。 山岳小説の白眉と言われる作品です。 中高生時代は山に登っていて、新田次郎さんの山岳小説にも嵌りました。単独行の加藤文太郎を描いた『孤高の人』、両足の大半の指を凍傷で失いながらもマッターホルン北壁の日本人初登攀を果たした吉野満彦を描いた『...続きを読む栄光の岸壁』。これらは実在の超人的な山のヒーローを主人公にした物語です。 そしてもう一つ『白きたおやかな峰』。北杜夫が自らドクターとして参加したカラコルムの未踏峰ディラン遠征隊の体験をもとに描かれた、一流であっても超人とは言えない人たちの、どこか哀切な物語。 この作品は新田次郎に近い作風です。超人的な体力・技術と偏執と言えるほどの執念を持った実在の人物をモデルにしていますが、あくまで下敷き、新田さんの作品のように伝記的では無いようです。 もう一つの違いはジョージ・マロニーのカメラというミステリー要素を持ち込んだことです。というか、あとがきにはこの閃きがこの作品を書かせたといった趣旨が書いてあります。 しかしどうでしょうね。新田作品でも主人公たちの日常生活は描かれます。ただ、それはどちらかと言えば添え物です。しかしこの作品では主題が2つになって逆に分散してしまったように思えます。 もう一つ、書き込みが長い。これでもかこれでもかと主人公たちの心情が言葉で語られる。しかも繰り返しも結構あります。それらが冗長感につながっているように思えます。 実は上巻の終わりぐらいで「何でこんなに有名なんだ?」と思いました。しかし下巻のエベレストのシーンは見事で、確かに傑作と呼ばれても良い作品だと納得しました。 すでに漫画化され、さらに今度は映画化もされるそうです(2016年)
【選んだ理由】 雑誌で山に登りたくなる本と書いてあったから 【読んだ感想】 本当に山に登りたくなった。生き方を考えさせられる本。
田部井淳子さんをモデルにした小説「淳子のてっぺん」からエベレストづいた流れで読むことに アクの強すぎる伝説の男が、登山家としては既に峠を越した年齢でありながら、前人未到の「エベレスト南西壁冬期無酸素単独登頂」に挑む(わかりやすく言うと、南西壁はエベレストの超難関登山ルート、かつ冬に酸素ボンベを持...続きを読むたず、さらにはシェルパなしの単独での登頂…あり得ない…) ひとことで言うとこんなストーリだ 主人公のカメラマン 40歳、独身、カメラで食っていけるのか…という生活 恋人との不幸な別れをし、エベレストへカメラマンとして挑戦するも、仲間の死という不運に見舞われる 何もかも捨ててしまいたいほどの脱力状態であった そんな時に世間から忘れかけられていた登山家、羽生と出会う 羽生は天才クライマーと言われるほどの実力を持ちながら、危険と分かっても前にしか進めない不器用で面倒くさい男である 家族もおらず、定職にもつかず(つけず)、生活は荒んでおり、無口だが、自己主張は強く、協調性に欠けるため人付き合いもまともにできないような男 そう、この男にはただただ「山」しかないのだ そんな不器用だが、情熱の暗い炎が消えない羽生の人生を追い求めることで、なんとか生きていく時間を埋めようとしているカメラマン 羽生は本当に人に好かれにくい男だ 近くにこんな奴がいたら関わりたくないと思う 自分の山へのキャリア更新のためなら手段を問わないくらい、イノシシのように突進するのみの姿勢 振り返ったり、回り道をするなんていう選択肢があることすら知らないのではないだろうか… まともな社会生活も送れず、人に対する思いやりにも欠ける だが山に対する情熱は凄まじい 恐らくすべてを捨ててでも山に賭けることができる男だ 何をするのか、目が離せなくなる カメラマンが追いかけたらやめられなくなるのもわからないでもない 自分の夢の代弁者のような気がするのかもしれない そして無口な羽生の心の葛藤や、後悔の念、心の叫びが見え隠れし始める エベレストの拠点、ネパール、首都カトマンドゥ 猥雑な喧騒と埃っぽさ、湿度や動物な香辛料などのあらゆる匂いを含んだ空気、人込みと騒音、素朴と混沌が渦巻く ヒンドゥー教の宗教儀式(ダイサンというお祭り 動物を供物とする儀式)や、人びとの生活をうかがい知ることができる 正直、行きたいとは思わないが、この地域の描写はなかなか興味深い 狡猾に、ある意味懸命に生きる人々の熱量を剥き出しの大地に感じる ここを舞台にミステリー要素も加わり、男たちのロマンや野心が広く展開していく 登山小説ではあるが、生きるというのはどういうことなのかを問うような、男のロマン小説という方が良いのかもしれない そしてとうとう、二人はエベレストへ… どこまでも男臭く、暑苦しく、暗い希望を持って後半へ続くのだ
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