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二万年前に惑星コブナントに移住し、聖ベアトリスを信奉する社会を築いた人類の子孫たち。そこで微小生物の研究を始めた敬虔な信者マーティンが知った真実とは? ヒューゴー賞・ローカス賞を受賞した表題作、バックアップ用の宝石を頭のなかに持った人類の姿を描いた「ぼくになることを」ほか、遙かな未来世界や、仮想現実における人間の意志の可能性を描く作品までをテーマにしたヴァラエティにとむ全十一篇を収録
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Posted by ブクログ
2017/08/07-2017/08/09 星5 2017年10月18日にこの感想を書いている。サボっていたので随分遅くなってしまった。帰省する際の暇つぶしに途中の本屋で買ったこの本は、とてもおもしろかったことだけ覚えている。この文庫本は短編・中編集だ。1つとして面白くない話はなかった。多くの話を...続きを読む読み終えた後、僕は不安になった。自分とは何か、自己同一性とはどのようなことか、考えていたのだと思う。良いSFだった。
もうイーガンの短編集はぜんぶ★5でいい気がする。 アイディアといい、そこから展開される物語といい、圧倒される。 本作でとりわけ好みなのは、「ぼくになることを」、「繭」、「祈りの海」
ハードSFの大家グレッグ・イーガンの11の短編を収録した本書は、文中の言葉を借りるならば、「きみがきみであること」「自分が何者であるか」、すなわちアイデンティティを共通したテーマに据えている。 SFの手法でアイデンティティを語る作品としては、個人的にはロボットを題材にした作品が多い印象を受けるのだ...続きを読むけど、本書においてはそれに依存することなく、多彩な視点からアイデンティティを捉えている。 ヒューゴー賞/ローカス賞を受賞した表題作もさることながら、次の2作品が特に素晴らしかった。 ・『ぼくになることを』 衰退する脳を排出し、その代わりに衰えることを知らない"宝石”を移植することが一般化した未来社会。"宝石”を移植しても、その人物の思考は従前までと何も変わらない(移植するまでの間、脳と"宝石”は常にシンクロナイズされているからだ)。だけど、脳のない人間は、果たして"人間"と呼べるのだろうか… "宝石”の移植を頑なに拒む主人公の顛末。それが、とにかく割りきれなくて、心に刻まれるほど気色悪い。 ・『百光年ダイアリー』 未来には行けないが、知ることはできる社会。主人公をはじめとした一般市民は、"未来の自分が記した日記"により、将来を理解していた。"自分という存在"は、過去と未来の自分によって形作られる。そんな社会を甘受していた主人公だが、ある日、歯車が狂い始め… アイデアとなにより展開が秀逸!これは面白かったなぁ。 全作品を通じて、とにかく後味は良くない。 心を覆い尽くすのは、不安。だけど一抹の希望が潜んでいることを否定できない。 そんな不透明な心境に陥るのだけど、でもアイデンティティを認識した時って確かにそんな気持ちかもね。決して爽快な気分じゃないと思うんだ。 そう考えると、微妙なセンチメントを表現してくるグレッグ・イーガンは、流石と言わざるを得ない。
進みすぎたテクノロジーと、それに置いていかれた人の精神を取り扱う、イーガンならではのセンスが光る短編集。 あらすじを語ること自体がネタバレになってしまうので、実にもどかしいのですが…。 短編集の一話一話の密度が濃く、どれも考えさせられます。 「ぼくになることを」を読んだショックは相当なものでしたし...続きを読む、 「貸金庫」は今まで読んだSF小説の中で一番ほろりと来ました。 紙面には、幾何学や量子力学の話題がばらばら出てくるので、一見読みづらいと思うかもしれませんが、そんなのは雰囲気作りの装飾です。本質はもっと分かりやすくて、不可解なところにあります。最初は苦痛に感じるかもしれませんが、是非読み通してみてください。
イーガンさんの短編です。 キューティを読むたび、 肉体は弱いもので魂だげ不滅だ っていう某映画の台詞が頭に浮かぶ。 しかしながら、人間というやつは魂だけでは触れ合えなくてイレモノも必要なんです。 だから貸し金庫の主人公は自分自身について彷徨い続ける。 この人の物語からはプラトニック過ぎるというか、バ...続きを読むカ正直すぎるものが詰まっている。数学者のさだめなのかな?
初イーガン。難しいけど面白かった。表題作「祈りの海」がすごい。科学と宗教の折り合いはいつの時代もつきにくいんでしょうね…。「貸金庫」「キューティ」も印象深かったです。
文明が発達した未来社会。 肉体や魂の存在すらも限りなく物質化・経済化された世界における人間の生を描く短編集。 SF小説としてはかなりオススメ。
イーガン二冊目、引き続き読みやすいと評判の短編集を手に取りました。読めば読むほど、イーガン好きだなあと思いました笑。とりあえず次は『宇宙消失』を読もう。 イーガンを調べている中で、最近「文藝」で特集が組まれたとのことで、その刊読みたいな~と思っていたところ、あれこの表紙は…と家にあることが判明笑。...続きを読む特集の一つにアニメ平家物語があって、それで買っていたんですね。今年一年ハマった平家物語から、イーガンにバトンが渡されたような、そんな気がしました。2023年はイーガンイヤーになるのかな? イーガンは日本で謎に人気が高いということで、え~こんなに面白いのに、、と思いつつ、英語でおすすめSF記事を探すと、イーガンがあげられてるところほぼ見たことがなく、そういうことかあと少し納得。 さて『祈りの海』ですが、「キューティ」、「繭」、「放浪者の軌道」あたりは特に好きでした。その他の「貸金庫」、「ミトコンドリア・イヴ」、「イェユーカ」、「祈りの海」あたりも面白かった(基本全部じゃんという) 今回収録されているものは、特にどの作品も、アイデンティティとは何か?を様々な角度から取り扱ったもので、こんなにいろんな角度で考えられるのか…と驚きながらどんどんハマるイーガン…。とはいえ短編集としては、『しあわせの理由』の方が好きだったかな? 「繭」の、「…大衆はそこまで想像力を欠いちゃいけない。だれだって記号論は幼稚園で学んでるんだ、メッセージの解読法くらい知ってるさ」にしびれた笑
ハヤカワ文庫 グレッグイーガン 祈りの海 科学とアイデンティティの対立を描くハードSF短編傑作集。共通テーマは「科学の時代に自分のアイデンティティを確立できるか」 各短編 SFでしか描けない状況のアイデンティティを描いている *霊のアイデンティティ *DNA操作により生まれた赤ちゃんのアイデンテ...続きを読むィティ *自身のバックアップがいる人間のアイデンティティ *母胎システム管理により消滅させられる同性愛者のアイデンティティ *決められた未来を生きる人間のアイデンティティ *医師不要の時代における医師のアイデンティティなど 感動したのは 同性愛者のアイデンティティ「生まれつきのものであり、それを 誇りに思うことも 恥に思うこともない」 終盤2編「イェユーカ」「祈りの海」は読みとりにくい。職業倫理や宗教観が アイデンティティという捉え方でいいのだろうか? 貸金庫=自分の意識を保存する肉体 *意識(精神)と肉体 は別 *意識が 転々と人間(宿主)の肉体に憑依して 記憶を形成していく キューティー *親の愛は 子どもが人間として存在することを前提としている *人間として存在する=赤ちゃんが親へ意思表示(パパと言うなど) *DNA操作により生まれ、4歳で死がセットされた赤ちゃんに 親の無償の愛は存在するのか ぼくになることを *人間は バックアップ用の能に経験を同期し、30歳くらいにバックアップ用の能にスイッチし、永遠に生きられる世界 *同期により自我と意識は1つになる→一人の人間しか存在していない 繭 *母体子宮を管理し同性愛者を発生させない細胞(繭)の研究 *分離主義〜同性愛が病気の一種にされる→一つの人種が地球から姿を消す 百光年ダイアリー *決められた未来を生きる人間にアイデンティティはあるのか *不変の未来〜歴史は過去も未来も決定済 *歴史はつねに勝者が書いてきた〜歴史の作者の干渉〜誰もが操られている 誘拐 *自分のスキャンファイルにより、自分の死後、仮想現実に コピーを復元できる *私たちはお互いのことをコピーとしてしか知ることができない。私たちに知ることができるのは、自分の脳の中にいる、お互いの一部分でしかない 放浪者の軌道 *放浪者=倫理的単一文化の居住者の道徳律から外れた自分 *一つの思想体系は 信奉者から周辺の人へ広まり、無秩序な集団を取り込んでいく ミトコンドリアイブ *アイデンティティを確立するために 人間のルーツを規定しようとする誤り *男性も女性も、民族主義も〜捨てるべき。そのとき「幼年期の終わり」がくる。先祖を冒涜せよ 無限の暗殺者 *無限とアイデンティティの対立 *主人公のわたし=無限=無限の数のバージョンのわたし〜死ぬことなど気にする必要はない→わたしは 無にすぎない、測度零の集合 *アイデンティティ=わたしが死ぬときに わたしが引き返さないことで 恥辱に まみれずにすむ イェユーカ *医師が不要となるヘルスガードという装置。主人公である医師がヘルスガードを付けること自体、医師が病気に負けている世界 *理解できれば どんな病も癒せる医師としてのアイデンティティが生まれたラストシーン 祈りの海 人生を価値あるものにしているものが〜無意味である可能性に面と向かう気構えがあれば〜その奴隷になることはない 最後のやりとりが印象に残る 「神ってのは なかなかいい思いつきだが、まるで意味をなさん」 「でも生きることがつらすぎませんか?」 男は笑って「四六時中って わけじゃないさ」
読んでみたかったグレッグ・イーガンを初めて読んだ。ハードSFの大家の短編集。日本向けに選ばれたらしい。 かなり難しいSFでよくわからないのが多いが、なぜか癖になりそう。 以下は読書メモ: 貸金庫 宿主を転々と移る人。目がさめると意識が違う人に移っている。その間の記憶を書きとめて貸金庫にしまう。そ...続きを読むして、名前が死ぬまで変わらないことを夢見る。 キューティ キューティキット(の安物のコピー商品)で妊娠して、キューティを産む男性。 ちょっと狂ってて気持ち悪い。 ぼくになることを 「宝石」を埋め込んで脳を学習させ、「スイッチ」して永遠の頭脳を得る。自分とは何か。 繭 ゲイ、レズビアン。その発生を胎児期に防ぐ技術。その製品化が繭。 百光年ダイアリー 未来が決定している世界。将来に起こることがあらかじめわかっている。その通りに行動する。未来に従うのも「自由」だ。 …かなり難しい話。 誘拐 妻の身代金要求の映話が突然かかってきた。 スキャン アイランド コピー 放浪者の軌道 アトラクタ(吸引子) メルトダウン うーん、よくわからない。 ミトコンドリア・イヴ 量子古遺伝学 量子の相関性の理論を用いてミトコンドリアの遺伝子の相関性を分析し、真のミトコンドリアイヴを特定する。…よくわからん。 無限の暗殺者 平行世界 パラレルワールド S 世界間転移 〈渦〉カルト イェユーカ 血液センサーと薬物合成ができる指輪 祈りの海 位相教 深淵教会 ベアトリス 橋のやりとり 神を信じるとはどういうことか。難しい。
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