定食屋「雑」

原田ひ香

真面目でしっかり者の沙也加は、丁寧な暮らしで生活を彩り、健康的な手料理で夫を支えていたある日、突然夫から離婚を切り出される。理由を隠す夫の浮気を疑い、頻繁に夫が立ち寄る定食屋「雑」を偵察することに。大雑把で濃い味付けの料理を出すその店には、愛想のない接客で一人店を切り盛りする老女〝ぞうさん〟がいた。沙也加はひょんなことから、この定食屋「雑」でアルバイトをすることになり——。個性も年齢も立場も違う女たちが、それぞれの明日を切り開く勇気に胸を打たれる。ベストセラー作家が贈る心温まる定食屋物語。

• カテゴリ: 小説・文芸
• ジャンル: 小説 / 国内小説
• 出版社: 双葉社
• 電子版発売日: 2024年03月21日
• コンテンツ形式: EPUB
• サイズ(目安): 3MB

[ブクログ · ★★★★★]

原田ひ香さんワールド♪
美味しい料理の数々にお腹空いてくる。
出てくる登場人物にも愛着が湧いてきて、本当にどこかにあって欲しい。

[ブクログ · ★★★★★]

ある日突然夫に離婚を切り出された沙也加と、その夫が通っていた定食屋の主人ぞうさん。
2人が出会うことで、それぞれに影響しあい、少しずつ人生や気持ちが変わっていく様がとても良かった。
1話1話は長くなく、読みやすい。
ぞうさんと沙也加の関係性が好きだし、ずっと読んでいたかった。

それぞれの人物がとても丁寧に描かれていて、いつのまにか感情移入して泣いてしまった。
1人でじっくり読むのにおすすめ。
やさしく、でもそっと背中を押してくれるような作品でした。

[ブクログ · ★★★★☆]

街中の古い定食屋さんに、離婚問題を抱えながら働く事になった沙也加。
定食の味付けは本当に雑。
すき焼きのタレ一辺倒の様な。
初めは受け入れられるなかった定食の味も、これもありと思える様になる。
店主ぞうさんと沙也加の取り合わせも中々良い。
食事店にコロナは避けられず、最後の苦闘はちょっと辛かった。

[ブクログ · ★★★★☆]

定食屋「雑（ざつ）」どんなに雑な料理が出るのかいな？（笑）

三上沙也加は、夫に離婚を切り出される。
決定的な理由はないけれど、食に対する考え方が合わない。
・・・案外、それは決定的理由な気もする。
気楽に食事をしながら、グビグビ酒で流し込みたい健太郎。
料理上手な沙也加は、そんな食べ方は料理人に失礼だと思う。
実家の父も、きちんと母の食事を味わってから、後でウイスキーなどを嗜んでいた。
健太郎の方は、沙也加が自分を見下しているのが透けて見えて我慢ならないと言う。
実際、沙也加も、飯を酒で流し込むなんて下品だと思っていた。

健太郎が、沙也加の食に対する考え方を窮屈だと思うのは少し分かるが、何かにつけて「ほら、そういうところが嫌なんだよ」「そういう顔するよね」「そういう態度良くないよ」と言ってくるのはモラハラではないだろうか？
こんな男とは早く別れた方がいいのに、とホント思ったんだけど。

沙也加は、会社の帰りに夫が寄っていたという定食屋「雑」に行ってみる。
店主はコロッとした老婆。
これが、沙也加と、「ぞうさん」こと雑色みさえとの出会い。

孤独な老婆と若い娘の交流を描く、原田ひ香さんの作品は良い。
おひとり様老婆の孤独がひしひしと迫るのである。
みさえは一度、若い娘との関わりに失敗して臆病になっていたが・・・
みさえと出会って沙也加も変わる。
人は自分の行く先を自分で選んでいくもの。
しかし、その「選ぶ意志」や生き方は、やはり関わっている人たちの影響を受けている。
みさえが沙也加にひとつ、「雑」の料理を教えるたびに、二人をつなぐ結び目が一つずつできていくような気がした。

第1話　コロッケ
第2話　トンカツ
第3話　から揚げ
第4話　ハムカツ
第5話　カレー
第6話　握り飯
エピローグ

[ブクログ · ★★★★☆]

原田ひ香さんの新作ということで手にした一冊

定食屋『雑』が舞台となった物語です


突然夫から離婚を言い渡された沙也加が
夫の浮気を疑って、通っていた定食屋へ偵察に行くところから始まります


沙也加が定食を食べて美味しさに驚く！！！
みたいな展開を勝手に想像してたら違いました笑。
すいませんでした。笑。


やっぱり食べ物の描写が素晴らしいですね
あー読んでたらお腹空いてきた
近所にこういう定食屋さんあったら
絶対通うなー
コロッケもカレーもトンカツも食べたい…
あぁ寝る前に読むものじゃないな…



この沙也加なんですが
かなりこだわりが強くて
苦手なタイプだな…と思ってましたが
徐々に変わっていく姿は好感が持てます


他にも店主のぞうさん、常連の高津の物語も語られていくのですが
みんなちょっとクセがあってそれがまた面白い。

離婚問題、同居問題、飲食店経営の難しさなど
が語られていますが、本当にリアルで読んでいて切なくなるところもあります。人生は一筋縄ではいかない様子が原田ひ香さんらしいなと思いました。


人生そのものを描きつつ、でも少し前向きになれるお話です(^^)


コロナ禍での飲食店の様子も描かれていました。
ウイルスも怖いけど、それよりもっと人が怖いと思ったあの日々は忘れられないです。

戻ってきた日常に感謝せずにはいられないですね

[ブクログ · ★★★★☆]

なんでこんなに哀愁漂う作品なのに温かい気持ちになるんだろう。
不器用な女二人が営む定食屋《雑》。
相変わらず原田さんの表現力が凄い。
ホントおかずが美味しそうなんだよなあ。
ぞうさんのコロッケ、食べてみたい。
夫に離婚を切り出された沙也加と無愛想な店主・みさえは、一緒に働く中で少しずつ心を通わせていく。
お互いの胸の内も曝け出せるようになる頃、それぞれが決断を迫られる。
人生のほろ苦さと小さな幸福感が味わえる。
なんだか泣きそうになってしまった。

[ブクログ · ★★★★☆]

原田ひ香さんのグルメもの、間違いない。しかも定食屋の名前が「雑」！
なんとも美味しそうな装丁にも惹かれた。

夫との離婚はどちらが悪い訳でなく、価値観の違い。生まれ育った環境が違うので、価値観も違うのは当たり前。しかし、沙也加はこだわりが強く、夫の習慣や価値観を受け入れることができない。
食以外にも離婚の要因はたくさんあったのだろうなと思ってしまった。

この離婚危機をきっかけに沙也加は定食屋「雑」で働きだし、ぞうさんと出会う。
一緒に働いていく中で、沙也加は色々な人や考え方、価値観があることを受け入れ、前に進むことができるようになる。
沙也加とぞうさんの程よい距離感や関係性がすごくいい。

料理もすべておいしそう。
みんなそれぞれに悩みや不安を抱え生きている。ぞうさんのごはんはそんな人々に優しく染み渡り、生きる活力をくれる。

とても温かいお話。

[ブクログ · ★★★★☆]

この方の話は、
何だか胸がざわざわする人間関係を描かれている。
上品かというとそうではない。
単に良かったねーで終わらない。
でも、不幸ってわけでもない。

[ブクログ · ★★★★☆]

心が離れていった夫が安らぎを覚えた定食屋の名前が、「雑」。
妻が偵察に行ってみると、ホッとするおふくろの味かと思いきや、すべてが市販のタレの味だった、、、という予想外の展開だった。
登場人物が、みんないい人ではなく、現実にいそうな人ばかり、飛び交う本音が共感できる物語だった。

[ブクログ · ★★★★☆]

コロナ禍もすでに遠い過去の出来事のようだけど、町の飲食店は大変だったろうな｡飲食店めぐる、あの騒ぎはなんだったんだろう｡次は、もう少し賢い対応できるかなぁ｡それにしても、ここまで世間知らずのお嬢さん…｡未練がましくしないで、サッサと貰うもの貰って別れればいいでしょ！