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妻子と別れ、孤独な日々を送るシナリオ・ライターは、幼い頃死別した父母とそっくりな夫婦に出逢った。こみあげてくる懐かしさ。心安らぐ不思議な団欒。しかし、年若い恋人は「もう決して彼らと逢わないで」と懇願した……。静かすぎる都会のひと夏、異界の人々との交渉を、ファンタスティックに、鬼気迫る筆で描き出す、名脚本家山田太一の独自の小説世界。第一回山本周五郎賞受賞作品!(解説・田辺聖子)
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Posted by ブクログ
読み始めると、吸い込まれたように、時間を忘れ読み終えてしまった。読みやすい、怖そうで怖くない、共感できる終わり方がいい。
冒頭のひと段落で心が掴まれた。「妻子と別れたので、仕事場に使っていたマンションの一室が私の住居になった。テレビドラマの脚本を書くのが職業である。多くの時間、一人で部屋にいる。少し前には、やって来る女がいたが、妻と別れ話をしているうちに離れて行き、それはそれでよかった。離婚で多量の感情を費やし、人間と...続きを読むの接触は、快楽を含めて、しばらくは沢山だった。」
離婚したばかりのシナリオライター。浅草をぶらついていると12歳の時に亡くなった両親と会う。しかし、彼らと会うたびに痩せていき…同じマンションの新しい恋人は引き留めようとするが。 真夏の怪談、とも言える傑作。すごく日本風で、懐かしくもあり、心地よくもある。ラストのどんでんも無理がなく、さもありなんと...続きを読むいう感じ。 ホラーでもあり、ラブストーリーでもあり、親子愛の話でもある本作。映像化もされているので、そちらも楽しみ。
映画化されたのをテレビで観て、原作を読んでみたかった。 映像が浮かぶような描写がとても良かった。 あのすき焼きの場面はやはり切なくていいですね。
大人になって、今日明日ばかりを見ながら一日一日を送り、家庭を持ち、子供たちも大きくなると、色褪せたはずの過去が懐かしく思い起こされる。 一言で言うなら、子供時分に亡くなった父母たちが現れる怪談話でホラー染みたシーンもあるけど、ランニングシャツ姿で両親に囲まれて卓を囲むほの温かい思いが全体を包んでいる...続きを読む。 子供時代の何とも言えない温かさに触れたくなった時に再読したい。(o^^o)v
再読。 昭和63年に刊行された小説だが、好きな作品なんで、これまでに何度も読み返している。 作品全体に漂う夕暮れ時の描写というか、セピア色のけだるい色彩もいい。 両親との最後の食事シーンは、やっぱり泣けてしまった。 僕にとっては一押しの、毎年、夏になると決まって読みたくなる作品である。
人は、1人では生きていけない・・・ 自分一人で何かしているようであっても、後ろには多くの人がいて、その人たちの支えがあって生きている。 山田太一氏の作品はいくつか読ませてもらっているが、この作品は非常に好きな作品の1つです。 主人公の男性は、離婚を機にマンションの1室で1人生活を始める。 家族...続きを読むを失っただけでもこたえるのに、仕事を一緒にしてきた男性が、自分の奥さんに惚れていたこともあり 彼とも疎遠となってします。 小説の題名の異人たちとは、なくなった人たちと言い換えられると思います。 そんな中、彼の前に、なくなったはずの両親が現れます。 彼らと過ごすうちに、家族の大切さや、親のありがたみなどが、随所に垣間見られます。 現実の世界での葛藤、異人たちとの出会いで訪れる心の変化。 失ったことから1歩1歩前に進む、静かだけど人の心が通う作品だと思います。
タイムトラベルもので、浅田次郎の地下鉄に乗ってと相似しているが、心にぐっとくる名作であることに変わりない。さすが名脚本家。
型にはまったシンプルなストーリーだ。でも、親として、子として、人としての意味をストレートに考えるきっかけを与えてくれる作品。
現代のロンドンを舞台に同作が映画化されたとのニュースを見て、読み始めました。 離婚して妻にも息子にも遠ざけられる中年の主人公が12歳で事故で亡くした当時の若かった両親に再会?、同時に同じマンションに住む胸に傷痕のある若い綺麗な女性と恋に落ちるも、周りの人からは会うたびにやつれていくと主人公は言われる...続きを読むが、本人は鏡を見ても気づかない。 怪談めいた話なのに妙に引き込まれ、自分が主人公になった気分で、一気読みの様に読んでしまいました。 幼少期の自分を包み込むように温かい親の愛、自分の存在意義の半分を形成する親の深い存在、そんなことを思い起こすストーリーでした。 脚本家の名手山田太一は人物の描き方、話の運び方がやはり上手いのかなあと感じました。
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「異人たち」
2024年4月19日公開 出演:アンドリュー・スコット、ポール・メスカル、ジェイミー・ベル
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異人たちとの夏(新潮文庫)
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山田太一
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