汚れた手をそこで拭かない

芦沢央

もうやめて……ミステリはここまで進化した！

第164回直木賞候補作。

ひたひたと忍び寄る恐怖。
ぬるりと変容する日常。

話題沸騰の「最恐」ミステリ、待望の文庫化。

閉鎖空間に監禁された
デスゲームの参加者のような切迫感。──彩瀬まる

平穏に夏休みを終えたい小学校教諭、元不倫相手を見返したい料理研究家……。きっかけはほんの些細な秘密だった。

保身や油断、猜疑心や傲慢。
内部から毒に蝕まれ、
気がつけば取返しのつかない場所に立ち尽くしている自分に気づく。

凶器のように研ぎ澄まされた“取扱い注意”の傑作短編集。

解説＝彩瀬まる

※この電子書籍は2020年９月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。

• カテゴリ: 小説・文芸
• ジャンル: 小説 / 国内ミステリー
• 出版社: 文藝春秋
• 掲載誌・レーベル: 文春文庫
• ページ数: 288ページ
• 電子版発売日: 2023年11月08日
• コンテンツ形式: EPUB
• サイズ(目安): 1MB

[ブクログ · ★★★★★]

窮地に陥っていく人たちを描いた短編集。もしも自分だったら…と思うとヒヤヒヤするこの感じ、とても好みの作品。

[ブクログ · ★★★★★]

なんか全部怖かった。
特に最後の話の旦那さんがいちばん恐ろしい。

後悔のない人生なんてありえないけど
これらの小説は1歩踏み間違えて転落って感じで
自分にはありえそうで
ありえないかな。
と思った。

[ブクログ · ★★★★★]

ヒトコワSF短編集という感じ。すごく読みやすくて好みにピッタリとハマってくれた。予報も裏切られ終始読み飽きなかった。もう1回読みたい！

[ブクログ · ★★★★☆]

怖い。ミステリーではない。
こういうのはなんていうジャンルなんだろ？
失態をきっかけに転がるように堕ちていく現代版むかし話しって感じ。
嘘ついたり誤魔化したりせず、正直に正しくしないとバチが当たるよって。

文章も無駄がなくスムーズに読めてストーリーに没頭しやすい。それ故にえぐみもダイレクトに喰らう感じ。

小説としてはすばらしい、
でも、もう読まない、内容がしんどすぎる。

[ブクログ · ★★★★☆]

この作家さんの本を初めて読んだけど、面白かった。星4.5くらい。
非日常的な殺人が起こるミステリーなんかよりよっぽどハラハラした。他の作品も読みたい。

[ブクログ · ★★★★☆]

イヤミスーって感じでよかった。小さな嘘や選択の誤りで物事が大きくなってしまうのは往々にしてあることなので、なるべく正直に生きていきたいものだなぁと。

[ブクログ · ★★★★☆]

きっかけはささいな失敗や小さなミス。
きっと誰しもが「なんとか失敗を無かったことにできないか」と思ったことがあると思いますが、これらはミスを隠し通そうとしたばかりに、どんどん深みにハマっていく話。

「埋め合わせ」はプールの水を止め忘れたことを子どものせいにしようとした教師が、他の教師にはめられさらに大事にされてしまう話。
謝ってしまえばそれで済んだのに、、と思っても後の祭りで、取り返しのつかないことになってしまう。

冒頭の「ただ、運が悪かっただけ」を除いて、すべて心が重くなる、自分だったらと考えるとゾッとするような話でした。

[ブクログ · ★★★★☆]

いや、面白かった。

短編を好意的に評価することはあまり無いんだけど、よく出来た話群に舌を鳴らすものばかりだった。

ふとしたきっかけから話が綺麗に膨らんでいってパン！と弾ける様が気持ちいい。

企み事や隠し事をしていて心がぞわぞわする感じがよく表現されていて嫌な感じなんだけど感心しかりだ。

全部良かったけど、特に埋め合わせとお蔵入りが好きだったかな。

[ブクログ · ★★★★☆]

ミステリーというより精神的ホラー！怖い！
人物の心理や場面の描写が秀逸で引き込まれる
気づいて引き返せる点を越えて戻れなくなる展開
「志村！後ろー！」みたいな気持ちで一気読み

[ブクログ · ★★★★☆]

短編集なのもあって読みやすく、一気に読んでしまいました。が、どの話もこの先を読みたくない…と思いながらも手が止まらないという不思議な心持ちで読んでいました。

彩瀬まるさんの解説にある『不正を働く人間への解像度の高さ』というフレーズがこの本をよく表現してくれています。
テーマや風景があまりにも日常の風景で、さりげないもので、だからこそえげつないものを見た…という気持ちでいっぱいになりました。おもしろかったです。