読んでいる時、日々の仕事のメールの中にも発見があっておもしろかった。
たとえば、「due to~ は副詞的に使うのは誤りとする文法家もいる」と書いてあって、驚いた。
今日もまさに、rescheduled due to conflicts…なんてリスケメール書いたとこだよ~!と思った。思いっきり副詞として使っていた。
嘘でしょ?みんな使ってるよね?と思って調べてみたが、確かに日本人の同僚は使っているが、アメリカ人からのメールには形容詞的用法しか見つからなかった。
まあ、この本は完全には間違いとも断定はしてませんでしたが。
名著だという評価があったので通読した。1991年第三版、著者は2006年逝去だから、もう改訂はされない。参考文献は1988年のAlexanderの文法書が最新のようである。Jespersenの古典的研究もよく引いており、Bolinger(「同じ形態の言葉は同じ意味」というボリンジャーの法則の言語学者)なども引かれている。最近の認知言語学の成果は反映されていないが、それで価値はおちない。特長としては、名詞構文の重視(Jespersenのネクサス実詞、江川氏は名詞から筆を起こしている)、動詞を状態動詞と動作動詞に分類し相異を指摘(知覚動詞・私的動詞・遂行動詞なども)、助動詞could,might,wouldのちがい、5文型からもれるS+V+O+不定詞の解説、動詞と不定詞・動名詞の結合(toがつく不定詞は基本的に未来志向、ingの動名詞は経験済み)、疑問文や命令文を依頼・勧誘・提案・助言にわけ機能文法の立場から解説、などいくつかある。仮定法はもう少し分かりやすい教科書がある。古英語の意味を駆使して、語彙の中心的意味を理解させる所もよく、aはone、theはthat、willが意志、shallが義務、everがat any timeなどはとても面白い。こういう古義から〜will you?が、「知っていて当然」の意味をふくむので、依頼につかうと失礼にあたる場合があるなど実際の現象が理解できる。接続詞や前置詞の機能拡張の説明も分かりやすい。asが比較から様態・限定へ派生、forが向かって、求めて、「として」に派生、withがプラスの関係から道具・理由・関係・調和・比較・対立の意が発生などである。名著である。