ブックライブでは、JavaScriptがOFFになっているとご利用いただけない機能があります。JavaScriptを有効にしてご利用ください。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで100万冊以上配信中!
来店pt
閲覧履歴
My本棚
カート
フォロー
クーポン
Myページ
5pt
事故で顔を失ったわたしは、裏切った婚約者に復讐するため旅に出る。交錯する過去と現在、境界をなくす男と女、聞こえない叫びと悲鳴、見えない殺戮と破壊…。超過激ノヴェル。
アプリ試し読みはこちら
Posted by ブクログ
「自分が愛する人と、その人が愛する人は、決して、決して一致しない」 『ファイト・クラブ』以前に書かれたチャック・パラニュークの処女作。事故で顔を失った元カバーガールの「わたし」は、美しきドラァグクイーン・ブランディに新たな人生を与えられる。性的倒錯者の男性セスを加えた三人は、富裕層の屋敷から盗んだ...続きを読む薬物を売りさばきながら旅を続けるが…… 本作は物語のラストシーン、燃え盛るウェストヒルズの大豪邸から幕を開ける。物語は現在の「わたし」が死の淵にいるブランディに対して過去の出来事を回想する形で語られるが、その時系列は錯綜しており直線的でない。作中で「ファッション雑誌のカオス」に例えられるハイパーリンク的な語りの手法は、現実世界の混沌を明確にする。我々は商用にパッキングされた出来事をインプットするのでなく、与えられたパーツを組み合わせ事実を読み取らなければならない。作中ではあらゆる物事が偽装され、見かけどおりの真実など存在しない。構成は細分化されているが、ストーリー自体はサスペンス調のロード・ムービーといった感が強く、物語が進展するたびに「わたし」の過去に関する真相が明らかにされるのでテンポよく楽しめた(中盤の叙述トリック的などんでん返しは確かに衝撃的だ)。 パラニュークの文体は非常に独特である。思考を許さず畳みかける短文の連続。固有名詞と猥語のマシンガン。頭の中のフォトグラファーが語り手の感情を代弁し、そのたびにフラッシュが焚かれる。狂った比喩が世界を侵食する。性差や人格の境界は取り払われ、読者は悪夢の閉回路へ追い込まれていく。恐ろしい出来事を冷静に描写する「わたし」は、その醜悪な外見を隠すためベールを身に着けている。膜を通じて世界と対峙するかぎり「わたし」は誰にも見られることなく、観察者として存在できる。 主人公がベール越しに過去からの逃避を試みるのと同様に、「わたし」を取り巻く人々も何かから逃避している。旅を続ける三人は固定的な存在でなく、八ヶ月で全ての細胞が入れ替わる人体のように名前や肩書を次々と交換する。両親は息子を失った事実から逃避し、元親友のエヴィも退屈な日常からの逃避を望んでいる。ただし逃避の先に待ち受けてるものは破滅でしかない。「人生の土台を過去や現在に置いてはいけない」のである。パラニューク作品には常に破滅への欲求と死の影がつきまとう。分割された出来事は加速し、やがて最期の瞬間へと収束していく。悪夢を超えた先の未来で“見えない怪物”である「わたし」が下した決断は、肥大化する現代的な自己中心主義への警鐘ではないだろうか。
顎が吹っ飛んだ描写位平気、という方は是非。死んだと思っていたお兄さんとの再会。最後のシーンが切ない。名作です。
レビューをもっと見る
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
新刊やセール情報をお知らせします。
インヴィジブル・モンスターズ
新刊情報をお知らせします。
チャック・パラニューク
池田真紀子
フォロー機能について
「小説」無料一覧へ
「小説」ランキングの一覧へ
アルマダ 上
石の猿 上
魔術師 上
ウォッチメイカー 上
ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ 上
エンプティー・チェア 上
クリスマス・プレゼント
グレイ 上
作者のこれもおすすめ一覧へ
▲インヴィジブル・モンスターズ ページトップヘ