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パンデミックに深く影響を受けたのはカミュの『ペスト』だけではない。ペスト、コレラ、結核、エイズ――紀元前の古代ギリシアの時代から現代にいたるまで、文学者や哲学者がいかに感染症=病のイメージを自らの思考に取り入れてきたか。病とは人にとって何なのか。病気とともに生きてきた人間の一側面を、文芸批評家の著者が圧倒的な知識と手際で鮮やかに切り取る病の文化史。
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Posted by ブクログ
戦争を題材にした文学はなじみ深いが疾病・医学をモチーフにした哲学、文学の馴染みは余りない。 一般向け 「医学・疾病等にまつわる諸々の諸説の海」に乗り出す羅針盤的叙述。私には決して平易とは言えなかったが、次々と知らないトリビアが出てきて面白かった。 哲学者 文学者に医学の家柄に生まれた、或いは医学へ...続きを読むの道を変更してペンを持った人物が結構多い事も面白かった~かつては医学を目指すものは下位の者として蔑まれていたとはびっくり。 医術は算術になって行った現代で姿を変えたのか、はたまた社会の要請か。 パンデミック・エピデミック・エンデミックの違い すべからく「健康に輝く人物」を目指すのではなく、「不健康な人間がそこそこうまくやって行く」社会になるのがベターとはユニーク・・一理あり。 フローベルは「ボヴァリー夫人」でしか知らぬが「漁色に耽りすぎた挙句、梅毒に罹患し 身体をぼろぼろにして・・」そしてラブレーとの異なりをフーコーが分析しているのは面白い。 人体は膨大な微生物(380兆個とも!)との共生で成立しているのであり、「コロナに戦いを挑み、勝つ」と言うのはおかしく、「病と共に生き、知はジグザグな迷宮の中を進む事になる」と言うのが命題の答えかと。
哲学と感染症の連関は、並列される文学ほど濃くはないように思えたが 感染症および医学と病を軸にして、文学と哲学の広範な主義主張に光を当て施策としては成功していると思われる。
そうそう、この3年くらい、こういう本を読みたかったんだった。 さらに映画も追記していきたい。ex.ヴェルナー・ヘルツォーク「ノスフェラトゥ」、ジョージ・A・ロメロ「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」etc... さらに読み継ぐなら、平凡社ライブラリーの「病短編小説集」「疫病短編小説集」「医療短編小説...続きを読む集」。 @以下、コピペしたものに、目次に反映した人名のみを●で追記。 ◎目次 序章 パンデミックには日付がない 第一章 治癒・宗教・健康 【1】癒すこと、患うこと 【2】疫病と宗教 【3】健康の哲学 ●イマニュエル・カント 第二章 哲学における病 【1】古代――プラトンからルクレティウスまで ●プラトン ルクレティウス ヒポクラテス 【2】近代I――デカルトとその批判者 ●ルネ・デカルト パラケルスス アンドレアス・ヴェサリウス ウィリアム・ハーヴェイ 【3】近代II――カント・ヘーゲル・ニーチェ ●イマヌエル・カント ヴォルテール ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル フリードリヒ・ニーチェ 【4】近代III――フロイトの精神分析 ●ジークムント・フロイト アンドレ・ブルトン ジャック・ラカン 第三章 疫病と世界文学 【1】古代――ホメロス・ソフォクレス・ヒポクラテス ●ホメロス ソフォクレス ヒポクラテス 【2】ペスト――額縁・記録・啓示 ●ジョヴァンニ・ボッカッチョ ダンテ・アリギエーリ ダニエル・デフォー エドガー・アラン・ポー アルベール・カミュ 【3】コレラ――西洋を脅かす疫病 ●フョードル・ドストエフスキー ミハイル・バフチン ブラム・ストーカー トーマス・マン ギュスターヴ・フローベール ガブリエル・ガルシア=マルケス 【4】結核――ロマン主義の神話とその終焉 ●フランツ・カフカ トーマス・マン 梶井基次郎 堀辰雄 【5】エイズ以降――疫病と文学の分離 ●ドミニック・フェルナンデス 第四章 文学は医学をいかに描いたか 【1】小説は薬か? 毒か? ●ミシェル・ド・モンテーニュ フランソワ・ラブレー ジャン=ジャック・ルソー 【2】解剖学的想像力――ラブレーとフローベール ●フランソワ・ラブレー ギュスターヴ・フローベール 【3】解剖学的SF――H・G・ウェルズとJ・G・バラード ●クロード・ベルナール エミール・ゾラ メアリ・シェリー ハーバート・ジョージ・ウェルズ ジェームズ・グレアム・バラード 【4】病院としての社会 ●安部公房 ウィリアム・シェイクスピア イワン・ツルゲーネフ アントン・チェーホフ イワン・ソルジェニーツィン 終章 ソラリスとしての新型コロナウイルス 【1】感染モデルと衛生モデル ●エルンスト・テオドール・アマデウス・ホフマン レフ・トルストイ 【2】ソラリスとしての新型コロナウイルス ●ジャン・ボードリヤール スタニスワフ・レム 【3】病という戦略 あとがき
ペスト、コレラ、天然痘、結核、エイズなど。文学は疫病のイメージを利用し、変形し、哲学者も文学者も、疫病や医学のイメージを戦略的に操作してきた。個人的には、種痘に対する視点が興味深い。ヴォルテールは種痘を評価し、カントは道徳的に批判した。リスクや確率を基準にして推奨するのか、道徳を基準にして批判するの...続きを読むか。両方とも間違ってはいないだろうが、どちらか一方だけを重視することが最善とも思えない。
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感染症としての文学と哲学
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