作品一覧
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4.0雨そぼふる薄暗き午後,あるいは皓々たる月の夜,この世とあの世が交錯する.荒ぶる先帝の怨霊,命を賭した義兄弟の契り,帰らぬ夫を待つ妻の悲しき末路,男にとりついた蛇性の女の執念…….中国や日本の古典をさまざまに取り入れ,美しくも妖気ただよう作品に仕上げた上田秋成(1734-1809)の珠玉の短篇集.「白峰」ほか全九篇を,平明な注と解説で.八四年ぶりの新版.※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.
ユーザーレビュー
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Posted by ブクログ
現代語訳はついていないが、脚注が豊富でわかりやすく各ページ下部に配置してあること、原文自体が和漢混淆文でそもそもそこまで難解ではないことから、無理なく読み進められる。
古典文学を現代語訳を使わずに通読したのははじめて。「夢応の鯉魚」の説話っぽさや。「蛇姓の婬」の執拗な感じが好み。
解説を読むと、上田秋成が今まで書いていた浮世草子から読本にスタイルを移行させて『雨月物語』を著したとあり、両者は形式こそ異なるが、視点は共有するとあった(女性キャラクターの造形などに)。
おもえば現代でも作り物感の強いホラー映画って、コメディを見ているように笑えてきちゃったりもするもんな、と俗物的な現代人的発想でな -
Posted by ブクログ
この本を読んだ人の少なさにびっくりしちゃった。
いちからこんな話をたくさんつくれるなんてすごいなあ〜ってやんわり思っていたら、わりかし原本があるみたいで「あ、そなの」ってなってしまった。ただ、逆に教養に溢れていると捉えればポジティブに生きられる。
初の文語、古文の文章で大挫折するかと思ったら、意外とするする読めた。
『夢応の鯉魚』がいちばんオシャレ。ラストの絵の中の鯉は湖に泳ぎ出してしまったから残っていないんだ、みたいな部分に「あひゃ〜〜」となってしまった。良すぎる。
基本的に男と女の云々だっただけに、『夢応の鯉魚』がひときわ目立っていた。