プロフィール

  • 作者名:岩城けい(イワキケイ)
  • 性別:女性
  • 生年月日:1971年
  • 出身地:日本 / 大阪府
  • 職業:作家

2013年『さようなら、オレンジ』で第29回太宰治賞を受賞し、小説家デビュー。同作は第8回大江健三郎賞も受賞。

作品一覧

  • M

    3.6
    1巻1,815円 (税込)
    あなたを知ることは、あなたという人を選んだわたしを知ること。 多民族国家の生きた声を掬う在豪作家が贈る、力強くみずみずしい《越境青春小説》。 父の転勤にともない12歳でオーストラリアに移住し、現地の大学生となった安藤真人。憧れていたはずの演劇の道ではなく就職を選ぼうとしていたところ、デザイン科でマリオネットを制作しているアビーと出会い、人形劇の世界に誘われる。日本人としてのアイデンティティの問題に苦しんできた真人のように、「同じアルメニア人と結婚を」と刷り込まれてきたアビーもまた、出自について葛藤を抱えていた。互いを知りたい、相手に触れたい。しかし、境遇が似通うからこそ、抱える背景の微妙な差が、猛烈な「分かりあえなさ」を生み……。 話題の既刊『Masato』『Matt』につらなる、「アンドウマサト三部作」最終章!
  • ジャパン・トリップ
    4.0
    1巻924円 (税込)
    オーストラリアのローランド・ベイ・グラマー・スクールに通うショーンは、祖母の反対を押し切って日本の姉妹校への「ジャパン・トリップ」に参加する。ショーンのステイ先は和菓子職人の家だったが、そこにはショーンにとって未知の経験がたくさん待っていた! ステイ先のオトウサン・オカアサンも優しくて充実した日々を送るショーンだが、実は日本に来たのにはひとつ、大きな目的があって……? 一方、引率として八年ぶりに故郷・日本へ帰ってきた山中光太朗は様子のおかしい女子生徒ハイリーのことが気になっていた。同じ言語でも伝わらない想いを、違う言語でどう伝えればいいの? 期待の新鋭が描く、コミュニケーションを巡る大冒険!
  • Matt
    4.2
    1巻1,386円 (税込)
    日本から移住してはや5年。父と二人、オーストラリアに暮らす安藤真人は、現地の名門校、ワトソン・カレッジの10年生(16歳)になった。Matt(マット・A)として学校に馴染み、演劇に打ち込み、言語の壁も異文化での混乱も、乗り越えられるように思えた。そこに、同じMattを名乗る転校生、マシュー・ウッドフォード(マット・W)がやってくる。転校生のマット・Wは、ことあるごとに真人を挑発し、憎しみをぶつけてくる。「人殺し! おれのじいさん、ジャップに人生台無しにされたんだ!」。第二次世界大戦、日本とオーストラリアの、負の歴史。目をそむけてはならない事実に、真人――マット・A――は、自らの<アイデンティティ>と向き合う。人種が、言語が、国が、血縁が、歴史が、17歳の少年の心と体を離さない。
  • 大江健三郎賞8年の軌跡 「文学の言葉」を恢復させる
    4.0
    1巻1,881円 (税込)
    「情報テクノロジーの支配する社会で、もっとも痩せているのが「文学の言葉」です。私は永く「文学の言葉」で生きてきました。いまも注意深く見れば創られている、力にみちた「文学の言葉」を、知的な共通の場所へ推し立てたいのです」大江健三郎――2007年から8年間にわたり大江健三郎一人によって選考された「大江健三郎賞」の全選考過程と受賞理由、および受賞者との対談を収録した、完全保存版!
  • Masato
    4.6
    1巻506円 (税込)
    【第32回坪田譲治文学賞受賞作】「スシ! スシ! スシ!」いじめっ子エイダンがまた絡んでくる――。親の仕事の都合でオーストラリアに移った少年・真人。言葉や文化の壁に衝突しては、悔しい思いをする毎日だ。それでも少しずつ自分の居場所を見出し、ある日、感じる。「ぼくは、ここにいてもいいんだ」と。ところがそれは、母親との断絶の始まりだった……。異国での少年と家族の成長を描いた第32回坪田譲治文学賞受賞作。
  • さようなら、オレンジ
    4.1
    1巻1,265円 (税込)
    オーストラリアの田舎町に流れてきたアフリカ難民サリマは、夫に逃げられ、精肉作業場で働きつつ二人の息子を育てている。母語の読み書きすらままならない彼女は、職業訓練学校で英語を学びはじめる。そこには、自分の夢をなかばあきらめ夫について渡豪した日本人女性「ハリネズミ」との出会いが待っていた。第29回太宰治賞受賞作。
  • M

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    ネタバレ

    この島国に住み生きていると忘れがちになってしまうグローバルなこと、このMasatoシリーズは考えさせてくれます。
    アビーという女の子にとってもアルメニア人であるということが足枷になっているし、悩みでもある。
    民族、人種の違いって、ましてや他所の国に住んでいるということも人としてこれほど重くのしかかっているなんて。
    清々しいだけの青春小説でない、けれど未来をこれから切り開いてゆく若い人たちに読んで頂きたい。
    マリオットって隠喩の小道具も、とても効果的です。

    0
    2023年07月16日
  • Matt

    Posted by ブクログ

    MasatoからMattになっても日本人であることから逃れられない。日本人だけじゃない。それぞれの出自の刻印から逃れられない。収容所にいた刻印も含めて。違いが生み出す暴力や自殺。和解を安易に導かない。安易な昇華は求めない。名作です。

    0
    2023年01月22日
  • さようなら、オレンジ

    Posted by ブクログ

    ダイバーシティは孤独な戦いだ。その辛い現実を描くだけでなく、希望を描ききっている秀逸な作品だと思う。特に92頁から94頁の溢れる言葉に強く胸を打たれた。違うことを諦めない力強い宣言がそこにあった。

    0
    2022年11月03日
  • Matt

    Posted by ブクログ

    オーストラリアの名門校に合格し、新たな生活に入った真人。前作の「Masato」に続き、葛藤しながらも生活を楽しんで成長していく話 と思って読み始めたら、予測を上回るヘビーな内容だった。

    オーストラリアではジャップと嘲られ、日本にでは帰国子女と呼ばれ、日本人とは感覚が違うと退けられ、自らのアイデンティティに苦しむ。
    自国のコミュニティから脱することのできない親と、現地に馴染んでいく息子との広がっていくみぞ。
    悲惨な展開もあるけど、教育制度の違いも面白く、先が気になってやめられない一冊でした。

    0
    2022年01月23日
  • Masato

    Posted by ブクログ

    外国で暮らすことになった子どもとその家族の描写が良いのはもちろんのこと、プロットもとても良いのでちゃんと小説として楽しめた。
    子どものストレスも、母親の焦りもわかりすぎて、もっと早く読んでいたら辛くなっていたと思う。渡米から一年経って、自分もマサトと同じような経過をたどった今の時期に読んで良かった。数か月前に買っていたけど、今読んで良かった。
    子どもは吸収が早いから、英語ペラペラになった?、何か英語しゃべってみて。悪気なく子どもに言う人には、子を守るべき親として逆に問い返したい。ペラペラってどういう状態ですか?あなたは日本人にも、何か日本語しゃべってみてと言いますか?
    親がブレない信念を持って

    0
    2021年12月28日

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