作品一覧
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3.6
ユーザーレビュー
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Posted by ブクログ
「徳は教えられるか」、それ以前に「徳とはそもそも何か」という問いに導かれて、
それらの問いに答えることはできるのか、そのような問いにどうすれば多少なりとも答えられるか、という方法の問題にも話題がおよぶ。
想起説、仮設の方法、行動における正しい思わく、など、色々な話題が出て来て面白かった。
また、岩波版の先行訳と比べると、ソクラテスのモノローグとして対話篇を読むのではなく、ソクラテスが相手に合わせて話題や議論の進行に彩をつけている部分にまで注意をはらう近年の研究成果をふまえて、解説や訳文が作られている。
そのため、先行訳とは読んだ時の印象が思った以上に変わったことに驚いた。 -
Posted by ブクログ
上巻では人柄に関す徳の話が続いたが、
下巻では下記の内容でバラエティに富んでいる。
6章「知的な徳」7章「欲望の問題」
8~9章「愛について」10章「幸福論の結論」
6章では魂自身の性向として
「技術」「学問的知識」「思慮深さ」「知恵」「知性」
の五つの性向に分けてそれぞれ解説している。
正しい行動のためには「思慮深さ」が必要だが、
「思慮深さ」は全てを支配下に置くわけではなく、
各々の性向は別物であるという結論を出している。
7章では抑制のなさと快楽を追及して、
抑制の無い人の快楽には苦痛が伴うが、
美しいものを愛したり、立派な行動をしたり、
という快楽には苦痛が伴わないと結論を出してい -
Posted by ブクログ
アリストテレス先生「幸せって何だっけ」の巻
「幸せとは何か?」というテーマの講義だが、
早々に「徳に基づいた魂の活動」と結論を出している。
徳とはある性向における中間性のことであるとし、
例えば「勇気」なら超過すると「向こう見ず」になり、
不足すると「臆病」中間が「勇気」であるとしている。
「向こう見ず」は勇気に似ているが、
必要の無い時は勇敢に振る舞い、
本当に恐ろしいものに耐えられない。
「勇気」は普段は穏やかだが、
必要な時は恐れるべきものにも立ち向かう。
「臆病」は恐れる必要の無いものでも恐れる。
このように様々な性向に関して検証していっている。