私たちは、どうしたって社会という名の集団の中で生きている。
その人生のうちに、他人との関係性から悲しみや苦しみを感じたり、逆に幸せを感じたりする。
その結果、互いに傷つけ合ったり助け合ったり…
日々どうしてこんな行動を取ってしまうんだろうと、自分自身でも疑問が湧くことがあるかと思う。
かくいう私もそうだ。
本書は、どうして他人と関わるうちにそういった様々な感情を得るのか?その結果どのような行動を取ってしまうのか?またどうしてそのような行動を取ってしまうのか?などなど…私たちの身近な日常生活に寄り添った話題を、社会心理学の観点から論じていく。
本書はオールカラー・分かりやすい図や写真、グラフを用いて、1項目4ページ構成で50のテーマについて語る。
「うわさはなぜ発生するのか」「人は死への恐怖をどのように克服しているのか」など、昔から変わらないよねというテーマから、「キラキラネームは子どもにどんな影響をもたらすか」「SNS上のコミュニケーション」など、今時だからこそなテーマまでさまざまに取り上げられている。
社会心理学の研究対象は、言うなれば私たち全て。身近なものであるからこそ、必ず本書の中に気になるテーマが見つかるはず。
個人的に「世界に一つだけの花になれない私たち」という題と内容がとても印象深かった。
自分を客観的に見て将来を見据えようと思ったら世界に一つだけの花にはなれないですね…ちょっと切ない。
また文章と構成があいまって、とても読みやすい。
項目ごとに番号が振ってあるので、何度も出てくる用語については、その用語について一番詳細に語った項目の番号が示されているため、簡単に用語の意味を遡れる。
巻末にはたくさんの参考文献、索引があり社会心理学のカジュアルな入門書としては最高では。
初学者から読めますし。
読み方も、一気に読むのもアリだし、1日1項目ずつ読んでいくのもアリだなと思いました。
ちょっとした辞典代わりに持っておくのもいいかも。
以下備忘録がてら目次をば。
備忘録ではありますが、自分が気になる話題があるか、目次を見てぜひ参考にしてください。
01 社会心理学とは何か
Ⅰ 社会の中の自分と他者
02 他人の印象はどのように決まるのか
03 他人をさげすむことで有能感を得る
04 鏡に映った自分を愛してしまう
05 弱い心を守るために
06 人は死への恐怖をどのように克服しているのか
07 世界に一つだけの花になれない私たち
08 本当に浮気はばれているのか
09 甘え上手は恋愛上手?
10 相性の良い人とめぐりあうには血液型を見るべきか
11 「公正」と感じる基準
12 キラキラネームは子どもにどんな影響をもたらすか
13 罪と罰を生み出すもの
14 ギャンブルにはまる心理
15 意識できない心の働き
Ⅱ 自分と他者はどう関わるか
16 身体の距離は心の距離を反映する
17 私たちはどうやって親しくなる?
18 自分にないものをもっている人が好き?
19 ドキドキ感が恋のときめきに変わる
20 心を開いて自分を伝える
21 愛には色や形がある?
22 男と女はそれぞれ恋人や結婚相手を何で選ぶのか
23 育ってきた環境が違うから愛のとらえ方が違う
24 2人きりの世界は恋人たちを幸せにするのか
25 ネガティブな思い込みが現実化する
26 言い争いになったらどうすればいい?
27 「仲間はずれ」は自分と他人を傷つける
28 恋愛関係や夫婦関係の闇
29 困っている人を助けたい。だけど……
30 追い求めるべきは「私」の利益か、「私たち」の利益か
31 SNS上のコミュニケーション
32 恐怖を引き起こす広告は効果的なのか
33 値下げプロモーションでお店がつぶれる
34 うわさはなぜ発生するのか
Ⅲ 「私たち」と「私」はどう関わるか
35 集団の発達と衰退、そして再活性化
36 なぜ人は多数派に合わせてしまうのか
37 集団に生まれる暗黙のルール
38 「普通」の人が悪魔に変わるとき
39 少数者の存在が集団や組織を動かす
40 「三人寄れば文殊の知恵」は本当か
41 集団は適切な意思決定を行えるのか
42 「裸の王様」現象はなぜ起こるのか
43 個々の合理的な行動が社会全体を蝕む
44 なぜ集団同士の争いが生まれるのか
45 集団を信じる心が大きな力を発揮する
46 チームワークを発揮する
47 チームを動かすモチベーション
48 集団を導くリーダーの力
49 リーダーを支えるフォロワーの力
50 社会心理学のこれから
参考文献・図表出典
索引