加賀乙彦の作品一覧
「加賀乙彦」の「錨のない船」「愛する伴侶を失って 加賀乙彦と津村節子の対話」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「加賀乙彦」の「錨のない船」「愛する伴侶を失って 加賀乙彦と津村節子の対話」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
Posted by ブクログ
約1500頁にわたる圧巻の作品でした。入獄から16年目、遂に他家雄にその時がやってくる。彼は迫る死の中にあってキリスト者としての『喜び』や『愛』を感じる。実感としてそれをもたらしてくれたのは文通相手の女子大生・恵津子だった。信仰とは頭であれこれと考えることではなく、『愛』に他ならないことを本書を読んでしみじみと感じました。また拘置所に務める人達のやり切れなさ、歯車の1つとして動かざるを得ない立場の苦しさ、死刑囚を見送る時の何とも言えない後味の悪さ……。看守や医官らの葛藤も、死刑囚の苦悩や死を見つめる静かな眼差しも、圧倒的な熱量を伴って迫ってきます。殺人犯、極悪人と言えども皆至って普通の人間なの
Posted by ブクログ
大東亜戦争、幼年学校の独特の文化と規律、上級生や同輩との関係、戦時中の思想、死、玉砕、不滅の皇軍と神州、苦しくなる食糧事情、父母からの空襲のたより、疎開先の苦労。少し不器用で感受性豊かな省治が、他人のように無心に思想に入り込めず、逆に終戦で24時間前と真逆のことを出来ず言えない。彼らは彼らなりの論理で戦争と勝利を信じて疑わず、若くして死ぬことを受け入れていて、ひたすら異常な戦争思想の真っ只中に入った、若さと純粋さそしてそれを表す言葉の強さと美しさ、読んでいて戦争を肯定も擁護もできないけど、そういう教訓めいたことも考える余裕はなく、小説にどっぷりと浸かってしまった。死を是と信じ切る閉ざされた環境