作品一覧

  • 大江健三郎と「晩年の仕事」
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    1巻3,135円 (税込)
    1994年にノーベル文学賞を受賞した大江健三郎は、その受賞後に数々の傑作・問題作を書きつづけた、世界的に稀有な小説家だが、とくに2000年の『取り替え子』から東日本大震災を経て2013年に完成した『晩年様式集』へと至る「晩年の仕事」(レイト・ワーク)は、透徹した知性で時代を見据えた予言的で豊饒な作品群である。この、さまざまな文学的技巧やたくらみに満ちた難解な作品群を、ときにセルバンテス、フローベール、プルースト、ジョイス、エリオット、ナボコフ、渡辺一夫、埴谷雄高、大岡昇平らの作品や言葉に触発され、ときに大江の盟友サイードとの友情と文学に導かれながら繙いていく。大江健三郎の真の偉大さを明かす、力作評論。
  • わたしの修業時代
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    1巻770円 (税込)
    華麗なベル・エポックのパリを舞台に、若き日の愛と別れ、作家としてのデビューを鮮やかに描いた回想録。田舎出の20歳のコレットはパリで14歳年上の流行作家と共同生活をはじめたが、奇癖を持ち放蕩者でもあった夫との愛は破局へ。そして文壇への単独デビューを果たす。社交界を彩る高級娼婦、作家、芸術家たちの面影を存分に描き、往時を眼前にほうふつさせる一代の回顧録。
  • カルメン/タマンゴ
    4.0
    1巻869円 (税込)
    純情で真面目な青年ドン・ホセは、カルメンの虜となり、嫉妬にからめとられていく。そして軍隊を抜け悪事に手を染めるうちに、カルメンの情夫を殺し……(「カルメン」)。黒人奴隷貿易を題材に、奴隷線を襲った反乱の惨劇を描いた「タマンゴ」。傑作中編2作を収録。
  • 宗教VS.国家 フランス<政教分離>と市民の誕生
    3.9
    1巻770円 (税込)
    共和国はなぜ十字架を排除したのか? 権力をめぐって対峙するカトリック教会と<共和派>の狭間で、一般市民は、聖職者は、女性たちは何を考え、どう行動したか。『レ・ミゼラブル』などの小説や歴史学文献を読み解きながら、市民社会の成熟してゆくさまを目に見える風景として描き出す。
  • 世界の名作を読む 海外文学講義
    -
    1巻880円 (税込)
    時を超え、世界中で読み継がれる文学の古典は、21世紀を生きる私たちにとってなお身近な感覚や切実な問いを突きつけている。 『ドン・キホーテ』『罪と罰』『ボヴァリー夫人』『失われた時を求めて』などの大作から、チェーホフやカフカ、メルヴィルの短篇まで、フィクションを読む技法と愉しみを知りつくした4人が徹底解説。 放送大学でロングラン9年の大人気講義に原典の名訳・新訳を交えて再構成した、海外文学案内の決定版。 ※本書には、紙版の第16章に収録されている下記3作品の抜粋は、版権上の理由により収録されておりません。   イタロ・カルヴィーノ『魔法の庭』 (和田忠彦訳)   イタロ・カルヴィーノ『楽しみはつづかない』 (和田忠彦訳)   イタロ・カルヴィーノ『ある夫婦の冒険』 (和田忠彦訳)
  • プルーストからコレットへ いかにして風俗小説を読むか
    3.0
    1巻662円 (税込)
    世紀末から一九二〇年代、パリの文壇にあった二人の作家は、政治思想や倫理道徳の価値基準とは無縁の世界を生き、書き綴った。それが過ぎ去った時代の証言としてたえず読み返されるのはなぜか。小説だけがすくいとることのできる時代精神のありよう、すなわち「風俗」があざやかに映し出されているからである。本書は「風俗を反映しつつそれ自体が風俗的存在でもある文学」という観点から作品を読み、時代の中に位置づける試みである。
  • カルメン/タマンゴ

    Posted by ブクログ

    カルメンといえば魅惑的な女性の代名詞だが、実は原作もオペラも映画も見たことがなく、正しいあらすじを知らなかったのでこちらを読んだ。色々ある訳本の中から新訳を選んだのだが、とても読みやすくて、非常におすすめだった。

    話はメリメと思われるフランス人考古学者が、コルドバ辺りのアンダルシアで、たまたまホセ・ナバーロという怪しい素性の男と知り合うことから始まる。ナバーロに貸を作る形になった作者は、罪を告白して死刑になろうという彼から最後に身の上話を聞くのだ。

    話の筋は周知の通り、ロマ人のカルメンに惚れてしまったナバーロが、彼女と一緒にいたいばかりに軍の出世は愚か、罪を犯して、今で言うところの、密輸や

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    2022年04月10日
  • 宗教VS.国家 フランス<政教分離>と市民の誕生

    Posted by ブクログ

    フランス史はおろか世界史の基礎知識不足の読者(私)にもわかりやすい。それは著者の専門領域であるフランス文学を引用しながら、史実とその背景を読み解こうとする試みにあると思う。
    フェミニストらしく、「その時女性の立場は」という視点を必ずいれているのも好感。
    政教分離と市民社会について、新書の範囲でよくまとまっていると思う。それ以上は巻末の参考文献をあたればよい。

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    2012年11月06日
  • 宗教VS.国家 フランス<政教分離>と市民の誕生

    Posted by ブクログ

    一読の価値アリ!!
    政教分離の問題、西欧(特にフランス)における宗教の扱いの近代史がわかりやすく解説されています。

    例のスカーフ事件も、フランスの歴史的な観点から解説されているのでなかなか興味深い。

    宗教問題というのは日本人には縁遠い感じなのでとっつき難い部分もあるかもしれませんが。

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    2009年10月04日
  • カルメン/タマンゴ

    Posted by ブクログ

    カルメンもタマンゴも黒人やジプシーのようなヨーロッパの当時における被差別階級の登場人物を題材にしたものだけど、意図的に貶めるような表現は見当たらなくてむしろ学術的見解をそのまま記しているような感じがした。
    目当てだったカルメンは、自由なカルメンに心を奪われた青年ドン・ホセの凋落を描いた作品ということは知っていたけれど、男の心を翻弄した末に自分は自分の心のまま死んでいったカルメンの誇りのようなものに感じ入ってしまった。誰のものにもならない女性は魅力的だと思います。舞台とか見に行く機会があればぜひ行ってみたい。

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    2024年05月12日
  • 宗教VS.国家 フランス<政教分離>と市民の誕生

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    フランスの女性参政権    -2007.04.18記

    1789年の人権宣言をもって革命の先駆をなしたあのフランスにおいて、女性の参政権が認められたのは、第二次世界大戦の終結を目前にした1944年であったという、工藤庸子の「宗教vs.国家」書中の指摘には驚きを禁じ得ないと同時に、おのれの蒙昧を嘆かずにはいられない。
    日本における女性参政権の施行が終戦直後の1945年なのだから、欧米の近代化に大きく立ち遅れた後進のわが国と同じ頃という、フランスにおけるこのアンバランスな立ち遅れはいったいなにに由来するのか。
    女性参政権において、世界の先陣を切ったのはニュージーランドで1893年。1902年にはオ

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    2022年10月16日

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