永井龍男の作品一覧
「永井龍男」の「わが切抜帖より 昔の東京」「朝霧・青電車その他」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
中学生ころだったか、教科書に「黒い御飯」が載っていた。三人の男兄弟の末っ子が、小学校入学前を回想し、父や家族との思い出を語るという作品。
「頬のこけた、髭をはやした顔、そして自分で染め直した外套を着て、そろそろ、そろそろ、下駄を引き摺るようにして歩く父の影が、私の心へ蘇える。」
ある4月1日、父が突然、家の台所にある釜を使って兄の紺がすりを染め直し、主人公が新たに学校へ着ていく服にする、と言った。
その翌朝。「綺麗好きの母が、あれ程よく洗った釜で炊いた、その御飯はうす黒かった。
うす黒い御飯から、もうもうと湯気が上がった。
『赤の御飯のかわりだね』
誰かがそんなことを云う。」
国語の先生が
Posted by ブクログ
皿皿皿と皿の途中の章を読んでいる時、今すごいものを読んでいるという思いになった。それなのに後半、自分の気持ちが離れていって、そのまま読み終えてしまった。
惚れ込むほどに上手さのある作家だ。けれどもこの作家を上手い作家として見てはいけないように思う。皿皿皿と皿を肯定するためには、批評が必要だ。この作品解説では四季折々の季語を織り交ぜた、俳句的な要素のある作品だと書かれているが、それもそうとして、永井の奥底に迫るような切り口を見つけなければならない。コチャバンバ行きの終わり方には、作品全体を包み込むような(そのような終わり方を、終わりというのだと僕は思う)確かな力があった。だから好きだったのだ。僕