作品一覧

  • 技術革新と不平等の1000年史 上
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    生産性を高める新しい機械や生産方法は新たな雇用を生み、私たちの賃金と生活水準を上昇させる――これが経済の理屈だが、現実の歴史はしばしばそれに反している。中世ヨーロッパにおける農法の改良は飛躍的な増産を実現したが、当時の人口の大半を占める農民にはほとんどなんの利益ももたらさなかった。船舶設計の進歩による大洋横断貿易で巨万の富を手にする者がいた一方で、数百万人もの奴隷がアフリカから輸出されていた。産業革命にともなう工場制度の導入で労働時間は延びたにもかかわらず、労働者の収入は約100年間上がらなかった。なぜこのようなことが起きるのか? 圧倒的な考究により、「進歩」こそが社会的不平等を増大させるという、人類史のパラドックスを解明する。
  • 自由の命運  国家、社会、そして狭い回廊 上
    4.0
    1~2巻2,860円 (税込)
    ポピュリズムの伸張や専制国家の台頭により、世界各地で脅かされている「自由」。この権利を勝ち取り、経済的な繁栄を成し遂げた国々が、人類史上まれなのはなぜか? 繁栄の前提条件となる個人の自由と安全は、強力な国家=「リヴァイアサン」なしにはあり得ない。しかし国家が強くなりすぎれば「専横のリヴァイアサン」(独裁国家)が生まれ、逆に弱すぎれば「不在のリヴァイアサン」(無政府状態)に堕してしまう。専横と不在のふたつのリヴァイアサンに挟まれた「狭い回廊」に入り、国家と社会のせめぎ合いをへて「足枷のリヴァイアサン」を生み出した国だけが、自由と繁栄を維持できるのだ。では、その道筋とは? 内戦下のシリアから、古代ギリシア、建国期のアメリカ合衆国、現代中国まで、古今東西の豊富な歴史研究をもとに、ますます貴重になりつつある自由を保ち、「狭い回廊」内に留まる方策を論じる。世界的ベストセラーとなった前著『国家はなぜ衰退するのか』をしのぐ傑作。
  • 国家はなぜ衰退するのか 権力・繁栄・貧困の起源(上)
    4.1
    1~2巻1,100円 (税込)
    世界にはなぜ豊かな国と貧しい国が存在するのか? 『銃・病原菌・鉄』のジャレド・ダイアモンド、ノーベル経済学賞の歴代受賞者が絶賛する全米ベストセラー! 上記の問いに答える鍵は、地理でも、気候でも、文化でも、あるいは為政者の無知でもない。問題なのは政治・経済上の「制度」なのだ。 ジョン・ベイツ・クラーク賞を受賞したMIT教授のダロン・アセモグルと、気鋭のハーバード大学教授ジェイムズ・A・ロビンソンが、15年に及ぶ共同研究の成果をもとに国家の盛衰を決定づけるメカニズムに迫る。本書から明らかとなるのは―― ○メキシコとアメリカの国境で接する2つのノガレス、韓国と北朝鮮、ボツワナとジンバブエ――これほど近いのに発展の度合いに極端な差があるのはなぜなのか? ○現在の中国はこのまま高度成長を続け、欧米や日本を圧倒するのか? ○数十億人の人々を貧困の連鎖から脱出させる有効な方法はあるのか? etc. 古代ローマから、マヤの都市国家、中世ヴェネツィア、名誉革命期のイングランド、幕末・明治期の日本、ソ連、ラテンアメリカとアフリカ諸国まで、広範な事例から見えてくる繁栄と衰退を左右する最重要因子とは? 21世紀の世界を理解する上で必読の新古典、待望の邦訳。
  • 自由の命運  国家、社会、そして狭い回廊 下

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    同じ著者による前著「国家はなぜ衰退するのか」では、リベラル・デモクラシー+自由主義経済が発展するために必要である一方、強権的政治による収奪的な経済制度が衰退に繋がることを説明したが、続編である本著は同様な主張をさらに精緻化して提示している。具体的には後者にも集権的独裁制度や社会主義計画経済、農奴制、無政府状態といった様々なパターンがあり、強権的政治による収奪的経済制度と一括りに説明するには無理があるということである。そこで本著では「国会」と「社会」の力関係の組み合わせという枠組みを提示している。この枠組みにより「衰退する」国家の様相を精緻に説明するととも、「繁栄する」リベラル・デモクラシー+自

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    2023年05月27日
  • 自由の命運  国家、社会、そして狭い回廊 上

    Posted by ブクログ

    同じ著者による前著「国家はなぜ衰退するのか」では、リベラル・デモクラシー+自由主義経済が発展するために必要である一方、強権的政治による収奪的な経済制度が衰退に繋がることを説明したが、続編である本著は同様な主張をさらに精緻化して提示している。具体的には後者にも集権的独裁制度や社会主義計画経済、農奴制、無政府状態といった様々なパターンがあり、強権的政治による収奪的経済制度と一括りに説明するには無理があるということである。そこで本著では「国会」と「社会」の力関係の組み合わせという枠組みを提示している。この枠組みにより「衰退する」国家の様相を精緻に説明するととも、「繁栄する」リベラル・デモクラシー+自

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    2023年05月27日
  • 自由の命運  国家、社会、そして狭い回廊 下

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    ネタバレ

    人類の歴史において稀有な「自由を獲得した社会」が、どのように生まれるのかについて考察した本。

    誰もが自由を享受したいと思っているが、享受できない国・地域で暮らす人は多いし、享受できている国で暮らす人も、それが続く保証はどこにもない。(本書で紹介される不自由を強いられる人々の話を読むと、自由がいかに稀有かを痛感させられる)そう考えると、本書のテーマは非常に意義深い。

    自由を獲得した社会は、国家と社会の力が均衡する狭い回廊内にしか存在しないという本書の結論は、国家が暴走しないように社会が監視し続けなければならず、自由の獲得は不断なく続くプロセスであることがよく理解できる。
    一方、本書末尾の『解

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    2023年03月05日
  • 自由の命運  国家、社会、そして狭い回廊 下

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    国家による暴力・専制や、社会による規範の押し付けや差別などから”自由”を構築するための要件は何かをまとめあげた大作。

    上巻では、自由が成立するためには国家と社会の力学が相互に干渉しあいながらバランスする”狭い回廊”の状況下において、自由を圧制しようとする国家と社会の双方の力が制約された”足枷のリヴァイアサン”をいかに生み出すかが自由において重要であるという本書の理論フレームワークが描かれた。

    下巻にあたる本書においては、このフレームワークを用いて、国家の暴力・専制が行きすぎた”専横のリヴァイアサン”、及び社会の規範・差別が行きすぎた”不在のリヴァイアサン”から抜け出すためのアプローチについ

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    2020年04月26日
  • 国家はなぜ衰退するのか 権力・繁栄・貧困の起源(下)

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    社会の繁栄と貧困の差は、政治と経済の制度の違いによって生まれたと説明する。

    多数の資源を少数が搾り取る収奪的制度では、所有権が保護されず、経済活動のインセンティブも与えられない。少数は、自らの利益のために収奪的制度を維持し、手に入れた資源を利用して政治権力を強固にする。収奪的制度の下でも、政治的中央集権化化によって、ある程度の成長が可能だが、創造的破壊によるイノベーションが起こらないため、成長には限界がある。また、政治権力をめぐって闘いが発生するため、社会は不安定になる。

    包括的政治制度では、政治権力が幅広く配分され、法と秩序、所有権の基盤、包括的市場経済が確立される。有史以来、収奪的制度

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    2018年10月31日

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