作品一覧

  • 台湾漫遊鉄道のふたり
    4.3
    1巻2,200円 (税込)
    炒米粉、魯肉飯、冬瓜茶……あなたとなら何十杯でも――。 結婚から逃げる日本人作家・千鶴子と、お仕着せの許婚をもつ台湾人通訳・千鶴。 ふたりは底知れぬ食欲と“秘めた傷”をお供に、昭和十三年、台湾縦貫鉄道の旅に出る。 「私はこの作品を過去の物語ではなく、現在こそ必要な物語として読んだ。 そして、ラストの仕掛けの巧妙さ。ああ、うまい。ただ甘いだけではない、苦みと切なさを伴う、極上の味わいだ。」 古内一絵さん大満足 1938年、五月の台湾。 作家・青山千鶴子は講演旅行に招かれ、台湾人通訳・王千鶴と出会う。 現地の食文化や歴史に通じるのみならず、料理の腕まで天才的な千鶴とともに、 台湾縦貫鉄道に乗りこみ、つぎつぎ台湾の味に魅了されていく。 しかし、いつまでも心の奥を見せない千鶴に、千鶴子は焦燥感を募らせる。 国家の争い、女性への抑圧、植民地をめぐる立場の差――― あらゆる壁に阻まれ、傷つきながら、ふたりの旅はどこへ行く。
  • 台湾漫遊鉄道のふたり

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    エンタメとしてめちゃくちゃ楽しくて、でも考えさせられて唸らせられる、とっても面白い本だった! 読めてよかった〜!

    台湾が日本の植民地だった時代に九州出身の女流作家・千鶴子が台湾に渡り、そこで出会った名前が一文字違いの台湾人・千鶴と旅をしていく物語。

    2人の心が通うシーンにはときめき、描かれる食べ物の数々にそそられて、読んでて楽しかったなあ。
    主人公はいきいきとして豪胆な性格で、そんな主人公の口語混じりの地の文で語られるエンタメ小説でありながら、千鶴子の都合よく台湾の美食や風景を消費しがちな側面も示されて苦く思う部分もあった。歴史から目を逸らせないこと、そして無意識にどこかでこういう態度を自

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    2024年05月04日
  • 台湾漫遊鉄道のふたり

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    ネタバレ

    6月に初めて台湾に行くのと、Twitterで面白いと話題になっていたのを見て興味を持ち、一気に読んだ。
    シスターフッド的小説で、美味しいものを食べて台湾を満喫するお話かと思ったら、日本人として何回も頭を殴られるというか、全く意識せずに大切だと思いたい相手の気持ちを、大切な文化を、下に見てしまう、見ていることにも気付かない傲慢さというか、とにかくなんかものすごく、悲しいとは違うんだけど、切なさに近い感情で胸がいっぱいになった。
    最後、後書きに現れた著者の名前に涙が溢れてしばらく止まらなかった。千鶴さん、夢が叶ったね。

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    2024年05月04日
  • 台湾漫遊鉄道のふたり

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    祝!翻訳大賞ノミネート。すばらしかった。読めて良かった。本当に。
    読んでいて感じたこと、思ったこと、悩んだこと、悲しかった、嬉しかったことはすべて、あとがきにかかれていた。盛大に頷きながら…答えの出せないことだということも。だからこそ、小説が書かれるのだということも。本当に素晴らしい方々だ。"台灣漫遊錄"のあとがき、日本版あとがき、翻訳者あとがき…さいごまで、本当にすばらしかった。

    ここからは自分語りで 大学時代、教授にくっついて観光学を学んだり、学会に出たりした時期がある。観光やら、万博やら、の歴史なんかを学んだりもして、なんて、なんて傲慢な、植民地主義的な行動なのだろ

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    2024年03月25日
  • 台湾漫遊鉄道のふたり

    Posted by ブクログ

    フィクションなんだから何とかならないかなぁと思いつつ、大変素晴らしい最後だった。あとがきも読むとなおぐっとくる。

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    2023年11月15日
  • 台湾漫遊鉄道のふたり

    Posted by ブクログ

    舞台は昭和13年の台湾。講演旅行に招かれた日本人作家と台湾人通訳。料理を通じて2人は心を通わせたように思われたが…支配する者される者、微妙な関係を描いた細部まで時代を再現した傑作。

    「神は細部に宿る」というが、まえがきからあとがきまで、復刻した作品と間違えそうな素晴らしき虚構の世界に感嘆。各章で取り上げられる台湾料理の描写も素晴らしい。
    これは傑作。

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    2023年11月04日

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