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  • ウィトゲンシュタインと言語の限界
    値引きあり
    3.7
    1巻1,193円 (税込)
    本書の著者ピエール・アド(1922-2010年)は、古代ギリシア思想や新プラトン主義の研究者として、コレージュ・ド・フランス教授を務めました。その著作は、古代哲学のみならず、フランシス・ベーコンやデカルトなどの17世紀思想、ゲーテ、ヘーゲルからニーチェ、ベルクソン、ハイデガーに至る19~20世紀の思想まで、幅広い知識に裏打ちされた類を見ない豊饒さをそなえています。その著作はヨーロッパの知識人に大きな影響を与えるとともに、アメリカでも多くの読者を獲得してきました。 ところが、日本では2020年に『イシスのヴェール』(法政大学出版局)が出版されるまで、訳書は1冊も存在せず、それゆえ注目を浴びることもなかったというのは、豊かな翻訳文化を育ててきた国では奇妙な欠落だったと言わざるをえません。2021年には『生き方としての哲学』(法政大学出版局)の邦訳が出版され、ようやく日本でもこの碩学の思想に触れる準備が整いつつあります。今こそ、アドがフランスで初めて本格的にウィトゲンシュタインを紹介した人物でもあること、そして唯一無二の解釈を残していたことを伝える本書を読むべき時だと言うことができるでしょう。 研究者にさえ顧みられずにきた本書に収められた論考は、『論理哲学論考』と『哲学探究』しか出版されていなかった時期に書かれたものにもかかわらず、後続の者が見出すことのできなかった側面を明確に浮かび上がらせるものにほかなりません。アドは深い教養に導かれて、ウィトゲンシュタインの思想の中に古代のストア派や懐疑主義、新プラトン主義とのつながりを、あるいはショーペンハウアーとのつながりを見て取ります。その結果、ウィトゲンシュタインの著作は独自の「哲学」を記述しただけのものでなく、第一級の「哲学史」でもあることを明らかにするのです。 本訳書では、アドの解釈の画期性をよりよく理解できるよう、気鋭のウィトゲンシュタイン研究者である古田徹也氏の重厚な「解説」を収録しました。さらに「訳者後記」では、合田正人氏がアドという人物を中心にした知的ネットワークの広大さを深い思い入れとともに綴っています。本書の中で、これまで知らなかったウィトゲンシュタインの顔を見ることができるでしょう。 今後のウィトゲンシュタイン研究にも大きな一石を投じることになる重要著作の邦訳を選書メチエの1冊としてお届けいたします。 [本書の内容] 序 ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』における言語の限界についての考察 ウィトゲンシュタイン 言語の哲学者 I ウィトゲンシュタイン 言語の哲学者 II 言語ゲームと哲学 解説 ウィトゲンシュタイン哲学の「新しい」相貌(古田徹也) 訳者後記
  • ウィトゲンシュタインと言語の限界

    Posted by ブクログ

    哲学者ピエール・アドによる、ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』の読み解き。両者をヒントに自らの思考が深まる。張り合う訳ではないが、やはり哲学そのものが無意味な造語を弄ぶスノビッシュ、或いは文系学問の聖域化に流されている見方が拭えない。くだらない。故に、よりシンプルな現象論からこの世界を覗いてみた。

    以下は私自身の咀嚼した思考になるが。

    言語とは。
    「実存する事物の名称化」と「実存しない観念の名称化」、「それらを組み立てる文法」に分けられる。目が見えない人が事物を名称化するが如く、形の見えない観念を名称化する事も可能。

    思考の限界は言語の限界、というのは誤りだ。

    文語と口語に対し、思考

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    2024年01月06日
  • ウィトゲンシュタインと言語の限界

    Posted by ブクログ

     本書は2004年に出版された、フランス哲学者によるウィトゲンシュタイン(以下LW)評論の翻訳本。著者は既に鬼籍に入っているが、フランスにLWを紹介した最初の人物だという(ということは、それまでの現代フランス哲学はLWを何ら参照することがなかったのだろうか?)。専門である神学や古代ギリシア哲学、新プラトン主義の文脈からLWを論じているが、本文と解説で丁寧な解説がなされているためそれらの知識がなくとも読み進めることは可能。むしろ最近の哲学書のような重厚長大さがなく、本文も150頁程度とコンパクトであり読み易い。古田徹也氏による解説も充実しており理解を助けてくれる。

     内容に関しては古田氏も指摘

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    2022年09月19日
  • ウィトゲンシュタインと言語の限界

    Posted by ブクログ

    ヴィトゲンシュタインの標準的な理解を得るためになにか読もう、という人にまず勧めるようなものではないが、さすがにアドの書くものなだけあってふつうにおもしろい。というかアドがヴィトゲンシュタイン読んでたのを知らんかった。

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    2022年07月29日

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