作品一覧
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4.7音楽ではなく、譜面を通してそれまで「不在」であった音楽とのあいだに通路を開き、広く交歓を可能にする想像力を持つ者である。 音楽は演奏家を抜きに現実化しない。人間によってしか血の通った音楽を、楽譜の向こう側にある音楽を蘇らせることはできないのである。 本書は芸術大学で指導する一方、演奏家としても第一線で活躍中のフルーティストによる、演奏という観点から見た音楽論である。つねにその瞬間瞬間の現れとしての音楽を生み出す者だからこそ得られる洞察、そこから個性と普遍という大きな問題へも視野を広げていく。 [本書の内容] 第一章 音を奏でる人類 第二章 「音楽そのもの」との交歓 第三章 音楽に表れるのは個性か普遍性か 第四章 音符の奥に立ち上がる音楽 第五章 響かせること、響きを合わせること
ユーザーレビュー
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Posted by ブクログ
芸術が持つ役割は、既存の価値観に対して、それが全てではないと声を上げること(P120より)という点は、なるほど確かにと思わされた。
作曲の役割は、「思いを表現する」という点でわかりやすいが、では、演奏家の役割とは、と考えると一概に答えるのが難しいように思えます。
「作曲者の曲を、間違えることなく届ける」という答え方をすると、演奏家は必ずしも人である必要もないですし、「独自の解釈をすることで演奏家の個性を出すことが大切」とすると、聞く側からすれば、同じ曲が全く違うふうに聞こえて、作曲者の意図が伝わりにくくなる。
実はその間の矛盾、外から見るとまるで一つの正解があるようで、実はいろいろな正解