作品一覧

  • 光の護衛
    4.0
    1巻2,200円 (税込)
    疎外された者の絶望と孤独を優しく照らし、現代社会に問いかける小品集 私たちは生きるのに精一杯で、誰かの痛みに関心を持つことは難しい。でもその痛みはいつか自分に降りかかるかも知れない。困難な時代に痛みが弱者に集中せずに、分散して和らぎ健やかな社会へと向かうには、「他者」の痛みに寄り添う営みが必要だ。無関心は残酷さにも気付けないが、誰かに救われた記憶は、また誰かを救う。傷ついた記憶すべき人々を忘却から引き戻し共感へと引き寄せる、優しくも力強いこの短編たちが誰かの希望となり、強者に押し込められた孤独から、救う者と救われる者を護り照らす一筋の光になることだろう。 【目次】 光の護衛 翻訳のはじまり モノとの別れ 東の伯の林 散策者の幸福 じゃあね、お姉ちゃん 時間の拒絶 ムンジュ 小さき者たちの歌 解説 彷徨う存在の記憶と光(文学評論家・韓基煜) 作家のことば 訳者あとがき
  • かけがえのない心
    4.4
    1巻1,760円 (税込)
    お母さん、聞こえますか? 私はこうして生きています。 幼少期、海外養子縁組に出されたナナは、フランスで役者兼劇作家として暮らす。 そんな彼女に突然、人生を変える2つの知らせが届く。 別れた恋人との間に子どもを妊娠したことと、韓国から来た、自分の人生を追ったドキュメンタリー映画への出演依頼と。 生みの親を知らないナナは、生まれてくる子どものためにも自分が“誰なのか”を見つけようとソウルへ向かう。そして、思いもしなかった人たちとの出会いから、35年前、駅に捨てられた暗い記憶の糸が少しずつほぐれていき……。 海外へ養子に出された子どもたち、米軍の基地村で生きた女性たち……。 現代韓国の歴史の中でなきものとされてきた人たちに、ひと筋の光を差し込む秀作長編小説。 第27回大山文学賞受賞作 韓国系国際養子のルーツ探しというこの小説の「特殊な」主題が、日本の読者の方々に「普遍的な」ものとして届くようにと、そして誰かがこの作品を読んでいるとき、生命への尊重や人と人との絆への信頼という明かりが灯ってくれたらと願っています。(「日本の読者のみなさまへ」より)
  • かけがえのない心

    Posted by ブクログ

    この本を読むまで、韓国の国際養子縁組という社会問題のことを全く知らなかった。
    国籍、そして生みの親を失うという二重のアイデンティティの喪失と、どこへ行っても避けられない差別と偏見。「私は何者なのか」と問い続ける人生の悲哀。

    不可逆性を多分にはらみながらも、少しずつ重なり合う登場人物たちの人生、その構成の緻密さが圧巻。生命に敬意を持ち丁寧に描く著者の眼差しが温かく良い読後感でした。

    0
    2024年03月03日
  • かけがえのない心

    Posted by ブクログ

    原題『단순한 진심』


    “でも、何より恐れていることは別にありました。ウジュが私に似ること、私の一番さびしくてかよわい姿に似ることでした。”(p.233)

    0
    2021年10月20日
  • 光の護衛

    Posted by ブクログ

    取り残されたり棄てられたことさえも忘れられてしまった人たちの物語
    「光の護衛」「じゃあね、お姉ちゃん」が
    好きだ
    韓国の複雑で過酷な近現代史を改めて知る
    『天使たちの都市』の著者の短編集は読む者のこころに深く沈む

    カバーデザインもすばらしい

    0
    2023年10月12日
  • かけがえのない心

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    正しい答えを示すのではなく、
    迷いながら主人公たちが自分なりの答えを選んでいくところがいい。
    だから読んでいる私自身も、私だったらーと考えられる。
    テーマは重いのに、決して派手な展開にせず、どこかドキュメンタリーのように物事が淡々と進んでいくのも、読み手に考えさせる余白が生まれてよい。

    自分の過去を探すため、というところから始まっていながら、いつしかそこから話が転がりだし、展開していくのもいい。

    養子とか、韓国が舞台とかそういうのとは関係なく、
    「わたしがいることの意味」を考えさせてくれる良作だと私は思う。


    ※蛇足だが、唯一苦しかったのが登場人物の名前。
     似た名前が多くて、頭の悪い私

    0
    2023年10月02日
  • かけがえのない心

    Posted by ブクログ

    ナナは、別れた恋人の子供を妊娠していた。そしてその子供に「宇宙」(우주)という名前を付けようと決めた。そしてその日、ソヨンという韓国人の女性から二通目のメールが届いた。その女性は、ナナのインタビューを読んで、フランスに養子に出されるまで過ごした場所や、そので会った人たちを探しながら、最終的にはナナの昔の名前である「ムンジュ」の意味を見つけ出すまでの過程を映画にするという。妊娠初期に飛行機で韓国まで旅をするなんて、常識では断るべきものだったが、ナナはどうしても断れなかった。ナナは、子供の頃に線路で泣いているのを、それに気が付いた機関士が拾い上げ、一年間も世話をしてくれたという。なんとしてもその機

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    2022年07月09日

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