作品一覧
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4.1欧州最後の独裁国家ベラルーシ。その内実を、小説の力で暴く。群集事故によって昏睡状態に陥った高校生ツィスク。老いた祖母だけがその回復を信じ、病室で永遠のような時を過ごす一方、隣の大国に依存していた国家は、民が慕ったはずの大統領の手によって、少しずつ病んでいく。10年後の2009年、奇跡的に目覚めたツィスクが見たものは、ひとりの大統領にすべてを掌握された祖国、そして理不尽な状況に疑問をもつことも許されぬ人々の姿だった。時間制限付きのWi-Fi。嘘を吐く国営放送。生活の困窮による、女性の愛人ビジネス。荒唐無稽な大統領令と「理不尽ゲーム」。ジャーナリストの不審死。5年ごとの大統領選では、現職が異常な高得票率で再選される……。緊迫の続く、現在のベラルーシの姿へとつながる物語。
ユーザーレビュー
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Posted by ブクログ
奈倉さんの訳という事で触れた当作。思った以上の素晴らしい内容、展開、心が打たれた。
読みながらも胸のビブラードがふるえ、サーシャの心中、タチヤーナの本懐がすれ違う様で、クロスして行くプロセスに、笑えない現実の重さを感じさせられた。
彼女が経験してきた人生航路の壮絶さは語りの軽やかさと反比例して居るだけに、圧倒されんばかりの熱が地中で迸っている・・静かなるマグマの様に。
ただでさえ「鉄のカーテン」が惹かれたソ連、外務省、翻訳という業務・・・そして捕虜名簿。
フィリペンコという冷たく熱い才能の作家を知れたことは幸い~「理不尽ゲーム」を是非読みたいと思った。
この数年、ロシアは遠くて未知の国と -
Posted by ブクログ
「赤い十字」に続いて、フィリペンコのデビュー作である本書を読む。
ベラルーシの現実に暗澹たる気持ちになる。
ルカシェンコ大統領の強権による虐殺、統制管理の残虐さは、同じ地球に生きていて申し訳ないと思うほど。
ツィスクの昏睡は民主主義のメタファーだ。ツィスクの目覚めを信じて語り続け励まし続ける祖母の最後の手紙で泣けた。肉親としての愛と、ベラルーシへの愛。
奈倉有里さんの訳もすばらしい。訳者後書きもまた。(これを読めばベラルーシの現状もこの本の読み方も全てわかる)
本屋大賞の「同志少女よ敵を撃て」のおかげで、ウクライナ侵攻の現状や歴史に、関心が移ってきた。奈倉有里さんと逢坂冬馬さんが姉弟だと