作品一覧
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4.31巻1,210円 (税込)水俣病患者認定運動の最前線で闘った緒方は、なぜ、認定申請を取り下げ、加害者を赦したのか? 水俣病を「文明の罪」として背負い直した先に浮かび上がる真の救済を描いた伝説的名著。
ユーザーレビュー
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Posted by ブクログ
「はじめに」を読んで、あっ、これはあんまりちゃんとした文章を書く力のない人の書いたほんじゃないかな。
読むのよすか…
と思ったが。
文章が粗であることを、大きく上回る思索、悩み苦しみ。胸に迫る迫力で、涙ぐんでしまった。
考えれば考えるほど、ものごとはつながりこんがらがる。
もっと手応えのある思考をしようとすると、結局自分に跳ね返ってくる。
その不器用なまでの誠実さに、心打たれる。
仕組み、組織、社会は狂う。
例外なく。
それらに損なわれつつも、それらから離れられない。
そんな苦しみに真正面から向かい合う姿は、決して他人ごととは思えなかった。 -
Posted by ブクログ
水俣病に家族を奪われ自身も水俣病になった作者が、最初は水俣病を引き起こしたチッソや国を相手に責任を強く追及していたが、賠償金で解決することや、相手の対応者が次々に変わっていくことで、誰を相手に戦っているのかわからなくなり、また魂は救済されないと感じ、最後は自分自身も社会のシステムに組み込まれている一部と気づき、自分自身がチッソであったと悟る。この悟りはとても深い考えの行き着いた先に出てきたものだと思うが、このように考え苦しませてしまうのはやはりチッソや国が被害者に対して誠実に謝罪をしなかったことがよくなかったと思う。制度で解決することは公正に課題を処理する上で必要だが、気持ちの面でも納得しても