作品一覧
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4.11巻704円 (税込)小説家を志して実家を飛び出し、生駒山麓のアパートに籠もっていた「私」は寺の参道で謎めいた女性に出会う。その女性は万巻の書物に囲まれて暮らしていたが、厳しい読み手でもあった。私は彼女に認められたい一心で小説を書き続けるが……(表題作)。斑鳩の里に現れたひとりの青年、ベトナム戦争からの帰還兵ランボーは、己を戦場へ押しやった蘇我氏への復讐を胸に秘めていた(「ランボー怒りの改新」)。奈良を舞台に繰り広げられるロマンと奇想に満ちた4篇。本書を発表したのち沈黙を続ける鬼才の唯一の著作。仁木英之による解説、森見登美彦との対談を収録。(『ランボー怒りの改新』改題)
ユーザーレビュー
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Posted by ブクログ
ネタバレ――
きんてつ、の発音よ。
だいたい大きな駅のあたまには「近鉄」と付いているんだけれど、概ね主要な街ではその「近鉄」は発音されないで、逆にJRの方にわざわざ付いてない「JR」ってー冠詞を付けるのが習わしになっている。子供のころからそのことに疑問を感じていたオレは多分根っからの体制派なんだろう。
いやー、傑作である。ちょっと奈良について調べる機会があったのでここぞとばかりに読んでみたのだけれど、ほんとに。
モチーフの使いかたも、削り出しの方法も見せかたも抜群で、技術的なのは間違いないのだけれど…それ以上にちょっとしたワーディングとか、展開のさせかたとか言葉の飛躍がすっぽりとハ