作品一覧
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3.9
ユーザーレビュー
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Posted by ブクログ
面白すぎる。素晴らしかったです。
そしてタイトル邦訳があまりにも美しい。
三代にわたるSF年代記。
核によって生殖能力を失い滅びゆく人類のうち、サムナー一族だけがクローン技術という慧眼によって生き延びます。
しかし、クローンたちは旧人類にはない共感能力を有しており、やがて旧人類を排除するようになりました。
クローンの中でも孤独を経験することで「私」を獲得した女性による第二部、谷で唯一クローンの兄弟を持たない少年による第三部。
共感能力に優れたクローンたちが、やがて創造性を失っていく展開に圧倒されました。
芸術とは、表現とは、共感によってのみ評価されるのでも理解されるのでもないんだと思います -
Posted by ブクログ
環境破壊により不妊が蔓延した人類は滅亡の危機に瀕していた。クローン技術に活路を見出すも、異変が起こり……。
都市は滅び、動物たちが姿を消し、氷河期が迫るという世界観。人類の存続のために生み出されたクローンの人間たちは強い共感力を持つが、同時に個として生きる力を失っていく。徐々にディストピア化していく世界の変遷が切ない。三部構成のそれぞれが異なる趣を持ち、味わい深いものがある。科学と文明がもたらすもの、人間と自然の調和というようなテーマ性。ラブストーリーを基調に三代に渡って展開する壮大な物語。手塚治虫を彷彿とさせると誰かが言っていたが、確かに。タイトルの名訳から受ける印象通りの傑作だった。 -
Posted by ブクログ
地球上のあらゆる生物が生殖機能を喪失しつつあることを知ったデイヴィッドは、クローン技術をつかい種の保存を画策する。仲間とともにシェナンドアの谷に研究所を創設し、研究に明け暮れる彼は、ついにクローン人間を誕生させる。クローン人間はオリジナルと寸分違わない容姿と申し分ない才能を発揮。研究所を発展させ、人類存続の要となるはずだった。だが、クローン人間はオリジナルとは相容れない存在であることを悟ったデイヴィッドは…
人類がクローンを生み出す一部、クローンだけの谷で異端児が生まれる二部、逼迫するクローンの谷とその行く末を描く三部構成で描かれる本書は、ヒューゴー、ローカス、ジュピター三賞を受賞したケイト -
Posted by ブクログ
「共感」と「自我」は相対するものなのか……。
1976年のSF小説
出だしは“ある田舎の集落”で育った少年の成長が描かれている。
でもその陰には伝染病、不妊、飢饉、戦争などで人類の終焉が忍び寄っている。
成長した少年とその一族は、人類維持のための医療・研究とともにひそかにクローン研究を始める。
生存率、生殖率が「劣化する」というクローン技術の研究は、当初人間(原種)が行っていたが、次第に「クローン」自身の手で行われることになる。
クローンには従来の人間とは別の特徴があった。
同じ元からクローン培養された子供たちは「兄弟」「姉妹」として、同じ外見のみならず互いに共感しあうことで精神の安定を図