作品一覧

  • P+D BOOKS 草を褥に 小説牧野富太郎
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    1巻660円 (税込)
    「植物学の父」とその糟糠の妻を描く。  小学校中退ながら、ほぼ独学で植物の研究に生涯を捧げ、輝かしい業績を残した牧野富太郎と、想像を絶する生活苦にもめげず夫を支えた妻・寿衛子の生涯を、富太郎と同郷の著者が丹念に描く。  裕福な商家に生まれた富太郎は、父母を亡くしたにもかかわらず、研究と趣味のため湯水のように金を使ったので、たちまち困窮。なおも高利貸しから借金を重ね、借金取りに追い回されるのが常態となる。そんななかでも、寿衛子は13人の子ども(成長したのは7人)を育て上げ、待合の女将として働き、富太郎の夢を叶えようとした。  夫婦の手紙を紐解きながら、「植物学の父」とその糟糠の妻の素顔に迫った名作。
  • 忍びてゆかな 小説 津田治子
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    1巻770円 (税込)
    少女時代にハンセン病を発病した津田治子は、終生その苦しみの中に生きた。現代では特効薬が発見されてハンセン病は治る病気となったが、彼女がその恩恵に浴するには発見が遅きに過ぎたというほかはなかった。みずからの生命に精いっぱい執着し、聖書と短歌を支えに、痛ましくも強い生涯を終えた女流歌人を描く、感動の名作。
  • 建礼門院右京大夫
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    1巻770円 (税込)
    今をときめく平家の若武者・資盛との運命的な出会い。芸術に生きんとする隆信との恋。二人の恋人の間で、女として成長していく右京大夫。しかし時は移り、平家滅亡という無惨な現実が彼女を待ちうけていた。……恋に生き歌に生きた建礼門院右京大夫の生涯を、歴史の巨大な波に翻弄される女の運命として描く、力作長篇。
  • 婉という女・正妻
    5.0
    1巻1,650円 (税込)
    土佐藩執政、父・野中兼山(良継)の失脚後、4歳にして一族とともに幽囚の身となった婉。男子の係累が死に絶えた40年後、赦免が訪れ、自由となったものの、そこで見たのは、再び政争の中で滅びてゆく愛する男の姿であった……。無慙な政治の中を哀しくも勁く生きた女を描き、野間文芸賞、毎日出版文化賞を受賞した名作「婉という女」に、関連作「正妻」「日陰の姉妹」の2篇を付し、完本とする。
  • アブラハムの幕舎
    3.3
    1巻1,430円 (税込)
    主人公・田沢衿子は20代後半の独身女性。母親の言動に振りまわされ苦痛を感じているが、断ち切ることができない。ある日、彼女の15階だてのアパートで、祖母を殺した少年が投身自殺した。強者に支配される少年と自分とを重ね合せ、彼女は母親から逃れるため行動をおこす。〈イエスの方舟〉を背景にして、弱者の生き方を追究、魂の漂流をいきいきと描いた、著者の代表長篇小説。
  • クラシック リバイバル 日本名城紀行1
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    1~6巻605円 (税込)
    文豪たちが描いた日本の「名城紀行」が復刊。 1977~78年に小学館より発刊された「探訪日本の城」シリーズに掲載された作家の紀行文の復刊。 第1巻は森敦、藤沢周平、円地文子、杉浦明平、飯沢匡、永岡慶之助、奈良本辰也、北畠八穂、杉森久英の9名の文豪たちが個性豊かに描く日本各地の名城紀行である。 視点も作家により様々で、ガイドブックとはひと味もふた味も異なる城案内。史料をベースにまとめる作家もいれば、自分や家族とのかかわりから展開していく作家もいて、実にバラエティに富んでおり、時間が経っても色あせない名文揃いで、城マニアにもお勧めの一冊。
  • 婉という女・正妻

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    江戸時代の学者、野中兼山の娘と妻の話。女性は、強くはなくとも、堪えることの上手な生き物だ。古い時代の情景が浮かぶような描写。婉の風変わりな姿が印象に残る。

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    2010年09月27日
  • 婉という女・正妻

    Posted by ブクログ

    「婉という女」では、与えられた境遇の中でじっと耐えることしかできず、己を抑えて生きることしかできなかった女 婉(えん)が、幽閉が解かれたことをきっかけに「生きよう」と決心し、自分の人生を築いていきくお話。ここに登場する女性は強いです。「正妻」は、兼山の妻市(いち)が主人公。正妻でありながら、夫婦の交わりを結ばずに終わった空しい女の一生です。妾とその子供達は一族とみなされて幽閉されたのに、市は幽閉の人数にいれてもらえなかったかわいそうな人。わしはこっちのお話のほうが面白かった。

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    2009年11月10日
  • アブラハムの幕舎

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    弱者の魂の漂流と「イエスの箱舟」の存在感。20代後半にもなって「母親が煩く逃れられない」と縷々述べられてもなぁ、と思うのは強者の視点と責められるか。しかし、追い詰められるからこその祈りにかける衝動は胸に迫る。貧相な「幕舎」の設えに「引くわ〜」とはならないわけで。弱者と強者の対立ではなく、共存にして孤存とでもいうのか、そこに愛しさと哀しみを覚える。
    この作品での「イエスの箱舟」の扱いは素晴らしく効果的。

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    2013年11月30日
  • アブラハムの幕舎

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    母親に忖度する癖が、骨の髄まで染み渡っており
    自分自身の人生を生きている実感がなかった
    自分の考えを通そうとして、勝手なことするなと怒られるのが怖いんだ
    それで、人間関係が上手くいかず
    いい歳なのに結婚もできない
    良識にもたれかかって、自分では世故長けたつもりでいる母親に
    言いたいことは山ほどある
    しかしそんな権利を自分に認めることもできず
    暗い日々を送っている女があった
    それでいっそのこと失踪・蒸発してやろうかしらん、という計画が
    具体的に煮詰まってきたある日
    マンションから飛び降り自殺する中学生を目撃したことで
    やりきれない気分になって
    前々から気になってた宗教団体「アブラハムの幕舎」に足

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    2018年07月02日
  • アブラハムの幕舎

    Posted by ブクログ

    千葉にある母の病院へ行くのに、新宿から黄色い車体の総武線各駅停車に乗った。もっとも速く、到着地へ着くという経路を選ぶことが億劫になったからだ。各駅で行くという考えが心をスローダウンさせてくれる。

    総武線の中で読みさしの林真理子の「花」を読みはじめた。芸者の祖母と、母、そしてキャリヤウーマンという女三代の物語だ。冒頭のところに、なさぬ仲だった、祖母の手記を孫娘が読むところに、祖母が80歳を越して、母親のことが恋しくて恋しくて仕方がなくなるという件があった。

    ぼくは、最近、父を失った。その父親の不在を、明確に記憶として認識できない状態の母親の中で、一人息子であるぼくの記憶もうしなわれはじめてい

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    2011年02月19日

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