作品一覧
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-「植物学の父」とその糟糠の妻を描く。 小学校中退ながら、ほぼ独学で植物の研究に生涯を捧げ、輝かしい業績を残した牧野富太郎と、想像を絶する生活苦にもめげず夫を支えた妻・寿衛子の生涯を、富太郎と同郷の著者が丹念に描く。 裕福な商家に生まれた富太郎は、父母を亡くしたにもかかわらず、研究と趣味のため湯水のように金を使ったので、たちまち困窮。なおも高利貸しから借金を重ね、借金取りに追い回されるのが常態となる。そんななかでも、寿衛子は13人の子ども(成長したのは7人)を育て上げ、待合の女将として働き、富太郎の夢を叶えようとした。 夫婦の手紙を紐解きながら、「植物学の父」とその糟糠の妻の素顔に迫った名作。
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ユーザーレビュー
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Posted by ブクログ
母親に忖度する癖が、骨の髄まで染み渡っており
自分自身の人生を生きている実感がなかった
自分の考えを通そうとして、勝手なことするなと怒られるのが怖いんだ
それで、人間関係が上手くいかず
いい歳なのに結婚もできない
良識にもたれかかって、自分では世故長けたつもりでいる母親に
言いたいことは山ほどある
しかしそんな権利を自分に認めることもできず
暗い日々を送っている女があった
それでいっそのこと失踪・蒸発してやろうかしらん、という計画が
具体的に煮詰まってきたある日
マンションから飛び降り自殺する中学生を目撃したことで
やりきれない気分になって
前々から気になってた宗教団体「アブラハムの幕舎」に足 -
Posted by ブクログ
千葉にある母の病院へ行くのに、新宿から黄色い車体の総武線各駅停車に乗った。もっとも速く、到着地へ着くという経路を選ぶことが億劫になったからだ。各駅で行くという考えが心をスローダウンさせてくれる。
総武線の中で読みさしの林真理子の「花」を読みはじめた。芸者の祖母と、母、そしてキャリヤウーマンという女三代の物語だ。冒頭のところに、なさぬ仲だった、祖母の手記を孫娘が読むところに、祖母が80歳を越して、母親のことが恋しくて恋しくて仕方がなくなるという件があった。
ぼくは、最近、父を失った。その父親の不在を、明確に記憶として認識できない状態の母親の中で、一人息子であるぼくの記憶もうしなわれはじめてい