作品一覧
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-銀色ロケットの遊具、妖しいネオン、白い鳩の羽、水浴びするワニ。はじめて見る場所なのに、ちょっとだけ懐かしい。 ひなびた町の片隅に、ポップな色彩がはじける、著者初のカラーフォト&エッセイ集。 「今、私はあの世から、この世に戻って来たところだ。そして、この世の景色を眺めているのだ。はじめて見る場所なのに、ちょっとだけ懐かしい。知らない……町を歩いていると、ふいに、そう思うことがある」 ショウウインドーの中を覗きこむ。ここに陽が当たってたら、いいのになあ。 夕方、また寄ってみると、上空から一条の光線がビビビー。 「お待たせしましたあ。太陽でございます」「ありがとね」お礼を言いながら写真を撮る。 真っ青な空の下のボウリング場。 公園のロケットの遊具。 廃工場にある鳩小屋、舞い飛ぶ白い羽根。 雑居ビルの中の妖しいオレンジの壁。 水浴びするワニ、きらきらした日射し。
ユーザーレビュー
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Posted by ブクログ
一日遅れの「猫の日」記念、ということで。猫の写真といえば、ともあれこの人を挙げたい(『猫・陽のあたる場所』なども)。30年以上前のものも含めて全編モノクロの、町の猫たち、この文庫オリジナル編纂。背景となる風景もまた、時代的にもとても懐かしい。さて、カヴァーに「モノクロームの懐かしい情景のなかで、いつか、どこかで出会った気になる物言わぬ隣人=癒しのネコたちをポケットに!」とあるけれど、これだけが、ちと気に入らない。物言わぬなどとんでもない、どの写真の猫たちも、みな雄弁にいろんなことを語っている(「黙して語らぬ」の態度も含めて)のに。それに、こういう写真はひたすら眺めていたいけれど、そこに「癒し」