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Posted by ブクログ
「鎖国」下の徳川幕府による「異国船」対策、沿岸警備・海防体制の変容・変遷を長崎の状況を中心に明らかにしている。一般に近世の海防問題が自覚されるのは、せいぜいラクスマン来航以降、少し物知りでも「ハンベンゴロウ」事件以降で、江戸時代前期・中期は偶発的な漂流民を除けば、対外的な緊張関係はなかったように錯覚しがちだが、本書を読むとそうではないことがよくわかる。「鎖国」完成後もポルトガル船や英国船の貿易再開を目指す動きや、カトリック宣教師の潜入に対する危機はあり、また明清交替後は中国船の「海賊」行為が問題となり、 特に享保期には密貿易の「唐船」に対する武力行使や囮捜査による拿捕が敢行されるなど、「異国
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Posted by ブクログ
この本は、「一七世紀前半から一九世紀前半における幕府対外政策のなかでも異国船対策」(P.7)について述べている。この分析により、「ロシア船来航以後の新たな時代的課題に対応するために、どういった準備が幕府にできていたのか、逆に準備できていなかったのかが明らかにされる」(P.10)。「この時期にも、通商を目的としたポルトガル船、イギリス船の来航があった」(P.7)のであり、常に外国との接触の可能性はあったのだ。
要約するに、
「①キリスト教禁止の徹底にともなうなかで沿岸警備体制を充実させていった段階、②実際の異国船対応から明らかになった課題を克服して沿岸警備体制を再構築した段階、③民心交代後