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作品一覧
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-1巻660円 (税込)「この本を読む前に、あなたは静かに発狂するがよろしい。それがこの本を完全に楽しむための唯一の方法である。あなたが現代人であり、合理主義者であり、不可知論者であり、科学精神のもちぬしであることを忘れなさい。あなたの心の奥深く隠れたもろもろの本能を、原始的な欲望を、解き放ちなさい。あなたの礼儀作法という名のバンドをゆるめ、あなたのスーパー・エゴの抑制を解きなさい」このグロフ・コンクリンの言葉に尽きる。
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3.0
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4.0
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3.9
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4.0無類に面白い短篇小説選集。 1930年代の大不況時代、そして第二次大戦、さらには傷だらけの戦後を背景に、アーウィン・ショーは数多くの短篇小説を書いた。もっとも有名な「サマードレスの女たち」(「夏服を着た女たち」)は「ニューヨーカー」に掲載され〈都会小説〉の名作として日本でも多くの読者を得てきた。しかし、時代順に配列され、まるで長篇小説のように編集された本書を読むとまったく別の像が浮かんでくる。 三十年代のアメリカ人の群像(タクシー運転手、保安官助手、フットボール選手など中産階級以下の民衆)が生き生きと描かれ、第二次大戦下の兵士たちは困憊し、惑乱している。そして戦後――最後に収められた「いやな話」はまるで悪化した「サマードレスの女たち」のようだ。 《「時代」の歩みが、この作家の鋭敏なレンズを透過して屈折し、現実の情報よりも遥かに現実的なかたちで、あなたの胸に像を結ぶだろう》 劇的な構成力と、無類に面白い筋の展開を堪能できる傑作短篇集成、待望の文庫版を電子化!
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3.0
ユーザーレビュー
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Posted by ブクログ
何が好きかって、彼の作品のキャラは作者に踊らされていない
それぞれの人の欲望や信念が丁寧に描かれている
天才なんだなと思う。
何故、女性の機微をここまで理解出来るのだろうか
彼は時々、熱病そのものだったのではないかと勘繰ってしまう
そしてドストエフスキーの作品における
純粋無垢が故の悪漢
中々に気持ちが悪い
こういった気持ちの悪い人間が幾重にも重なるのだが
作品にメッセージがあるなら、幸せの所在は
狂ったかのような熱病や情動に動かされるのではなく
今ある幸せを軽視する事なく見つめ直せと
喝破されているようだ
個人的に好きなのが伯爵と主人公が対峙して露悪的な心情を吐露するシーン
伯爵が金 -
Posted by ブクログ
ネタバレ最初どうしてもイメージできない描写がひたすらに続き、これ読み切れるかなと心配していたのだが年代が進むにつれて加速度的に読みやすくなる。でも文明のうつろいを描写で感じることになるとは……。
「優しく雨ぞ降りしきる」のスピード感と「火の玉」における信仰対象への解釈の話がいっとう好き。こういう話、自分で思いつきたかった!というタイプの面白さ。
私にはまだ言語化が難しいところがたくさんあるのだが、先に同作者の華氏451度を読んでいたのでこの辺りは作者のテーマなのかなと思った。たまに殴りかかるような風刺が飛んでくるのでまったく油断できない。
ホラーっぽいなこれ…という描写もちょくちょくあったが、巻末の -
Posted by ブクログ
ネタバレ火星がどんな風に侵略されたか、地球はどんな状況なのか、地球人は何を考え火星へやってきたか、それらをいくつもの短編を読んでいくことで把握できるようになっているのが面白かった。喉元にナイフを突きつけられたような恐怖を味わう話もあったし、心を押しつぶしてくるような話や、詩的で美しい話もある。
目線が変われば見えてくるものも違っていて、それぞれの立場で真実を見せてくれるのが良い。これが一人の主人公の語りであれば偏った情報しか得られないからだ。
いくつか印象的な短編があった。第三探検隊が懐かしさの中で殺された話。地球人の愚かさに抗おうとしたスペンダーの話。火の玉に出会った神父たちの話。死んだ家族を造った -
Posted by ブクログ
無実はさいなむ
女性資産家の殺人事件。逮捕されたのは養子の息子(ジャッコ)。息子は獄中で半年後に亡くなり、しかしアリバイを主張していたが、確認されなかった。二年後、事件の起きたアジール家にキャルガリという学者が訪れる。彼は二年前の事件当日、屋敷から離れた場所で逮捕されたジャッコを車に乗せた事実を伝えにやってきた。
事件当時は交通事故に巻き込まれ、その後僻地での仕事の為、彼が逮捕されたことを知らず。せめて死後であっても彼が犯人ではないという事実を明らかにする為にアジール家を訪問する。
殺人の罪で逮捕された無罪の男。彼のアリバイを持ちながら不幸により証言できず、良心の呵責を持つ学者。犯人と -
Posted by ブクログ
地球の人間が火星を訪れ、人間のための世界を作り、去っていく経過を描いた連作短編集。そしてブラッドベリやっぱりすごい、登場人物は皆生き生きと動き回り、情景がくっきり浮かんでくる語り口。時にファンタジー、時にホラー、時にコメディ。滑稽であったり、無常感を纏っていたり、とにかく生々しく感情の色々な部分を揺さぶってくる短編の数々。
特に良かったのは穏やかな夏の夜を楽しむ火星人たちが人間の到来を知らずの間に知覚してしまう『夏の夜』、火星に到着した探検隊の夜を描く『月は今でも明るいが』、大焚書であらゆる本が焼かれた地球を抜け出してきた男が、火星にポーの作品に出てくる陰鬱な館をこしらえる『第二のアッシャー邸