作品一覧
ユーザーレビュー
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Posted by ブクログ
ネタバレとある殺人を犯しそれをきっかけに自身の成功を得た人物を描いた作品。
殺人という罪に対して単純に勧善懲悪を課すのではなく、その背徳性を解いているのが特徴です。彼自身が無神論者であることもかなりのキーワードではないでしょうか。
あとは主人公との対比が目を引く部分でしょう。まさに真反対な真っ直ぐさ、ときには月並みな野次馬心など、読者としてはともに心を揺さぶられる存在としてピッタリだったように思えます。
多少哲学的な意見のぶつかり合いのシーンもありますが、かなり読みやすい小説でした。
ただ、殺人事件を取り扱っているものの、推理小説的な要素はあまりありませんでした。社会派の小説と呼ぶ方がしっくりきそう -
Posted by ブクログ
『罪と罰』に影響を与えたに違いない哲学心理小説!19世紀パリ、かつての貧乏暮らしから急に生活が豊かになり社交界の中心人物となった無神論者のクレマンと病気の妻ロザリ。ある夜サロンで判事が語った殺人事件の話にクレマンは露骨な動揺を見せる。描かれるのは「神が存在しなければ全てが許される」と考えた当時の反神思想と神の存在を否定しきれない不安というキリスト教社会的なジレンマであり、殺した男の面影が後に生まれた子供に現れるという雨月物語的な恐怖。そこに結論はなく、まるでありきたりの人生同様に悲劇と幸福が哲学的なモヤモヤと共に訪れる。ある人には幸福が、ある人には不幸が、それはサイコロを振って偶然出た目のよう