作品一覧

  • 黄昏の彼女たち 上
    4.0
    1~2巻1,324円 (税込)
    1922年、ロンドン近郊。戦争で男手を喪い、母とふたりで暮らすフランシスは、生計のため広すぎる屋敷に下宿人を置くことにする。広告に応じたのは若い夫婦、レナードとリリアンのバーバー夫妻だった。家の中に他人がいる生活に慣れないフランシスだが、ふとしたきっかけからリリアンと交流を深めていく。公園でのピクニック、『アンナ・カレーニナ』の読書、そして互いの過去を知りあうことで……。いつしかふたりの女性に芽生えた感情は、この物語をどこへ運んでいくのか? 心理の綾を丹念に描いて読む者を陶酔させる、〈このミス〉〈週刊文春〉第1位作家・ウォーターズの傑作!
  • 夜愁 上
    3.6
    1~2巻896円 (税込)
    1947年、ロンドン。第二次世界大戦の爪痕が残る街で、人々はしぶとく毎日を生きていた。戦争を通じて巡り合ったケイ、ジュリアとその同居人のヘレン、ヴィヴとダンカンの姉弟たちも。今日もまた、一日が終わり――夜が来る。彼女たちが積み重ねてきた歳月を、容赦なく引きはがす夜が。想いは過去へとさかのぼり、隠された真実を、心の傷を、さらけ出していく。『半身』『荊の城』で示したたぐい稀なる語り口にはさらに磨きがかかり、読者をとらえて放さない。ウォーターズが贈る、めくるめく物語が、いまここに。ブッカー賞、オレンジ賞最終候補作。
  • エアーズ家の没落 上
    3.9
    1~2巻968~1,018円 (税込)
    この地方で、かつて隆盛を極めたエアーズ家は、第二次世界大戦終了後まもない今日では斜陽を迎え、広壮なハンドレッズ領主館に逼塞していた。かねてからエアーズ家に憧憬を抱いていたファラデー医師は、ある日メイドの往診を頼まれたのを契機に、一家の知遇を得る。物腰優雅な老婦人、多感な青年であるその息子、そして令嬢のキャロラインと過ごす穏やかな時間。その一方で、館のあちらこちらで起こる異変が、少しずつ、彼らの心をむしばみつつあった……。悠揚迫らぬ筆致と周到な計算をもって描かれる、たくらみに満ちたウォーターズの傑作。ブッカー賞最終候補作。
  • 荊の城 上
    4.1
    1~2巻968円 (税込)
    19世紀半ばのロンドン。17歳になる孤児スウは、下町の故買屋の家に暮らしていた。ある冬の晩、彼女のもとに顔見知りの詐欺師がやってくる。さる貴族の息子というふれこみで、〈紳士〉とあだ名されている、以前スウの掏摸の腕前を借りにきたこともあった男だ。彼はスウにある計画を持ちかける。とある令嬢をたぶらかして結婚し、その巨額の財産をそっくりいただこうというのだ。スウの役割は、令嬢の新しい侍女。スウはためらいながらも、話にのることにするのだが……。CWAヒストリカル・ダガー受賞&第1位「このミステリーがすごい! 2005年版」海外編ベスト10。
  • 半身
    3.8
    1巻1,119円 (税込)
    門をいくつも抜け、曲がりくねった小径をたどった奥にある石の迷宮――ミルバンク監獄。1874年の秋、テムズ河畔にそびえるこの牢獄を慰問のために訪れたわたしは、不思議な女囚と出逢った。19歳のその娘シライナは、監獄じゅうの静けさをかき集めたよりも深い静寂をまとっていた。なぜこんな人が、こんなところに? すると、看守から聞かされた。あの女は霊媒なの。戸惑うわたしの前に、やがて、秘めやかに謎が零れ落ちてくる……。魔術的な筆さばきの物語が終局に至って突きつける、青天の霹靂のごとき結末。サマセット・モーム賞など多くの文学賞に輝く本書は、魔物のように妖しい魅力に富む、絶品のミステリ!
  • 半身

    Posted by ブクログ

    ミルバンク監獄に慰問に訪れる令嬢と女囚の交流と思って読み始めた。何度も私が囚人でないことは恵まれていただけで現実や社会に馴染めない私こそ其処に居るべきだと思った。読み進めていく内にそのような物語でないことに気付きながら目を瞑ってマーガレットと共に甘美な夢を見た。結果として酷い喪失感が有る。一日で読み終えていたらシライナの名を直ぐに忘れられただろうか。半身が居たらと思うものの誰もそれぞれの独房から出られないのだろう。

    0
    2024年05月14日
  • 荊の城 下

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    昔、少しだけ読んで読むのを
    やめていた本。

    田舎の泥棒一家が金持ちを夢見て
    その夢をスウに託して…

    モードの夢見る脳内お花畑っぷりに
    スウは可哀そうにと憐れみを浮かべる
    そして私も笑
    それは次第に同情に変わり
    モードを見る目も変わってくる。
    男女、女女、とにかく
    人と人の絡みが、文章によって
    こんなに濃密なエロスになるとは…

    サラ・ウォーターズもだが
    中村有希さんの翻訳力にも脱帽である。

    上巻最後の天地がひっくりかえる
    どんでん返しは見もので
    下巻にすぐさま手が飛びます。

    下巻も渦巻く陰謀に
    早くその答えを知りたくて
    ページを捲る手がとにかく止まらない。

    最後に明かされた答えは

    0
    2023年10月25日
  • 半身

    Posted by ブクログ

    これはなかなか読み応えがあってね。
    いや文字多いわーってことでへこたれそうになるかと思いきやなんか上手いこと読ませてきて。そんなドラマチックな展開があるわけでもないようにも思うんだけど。。アレだ、言葉の魔術師。てきな。
    で、何が読ませるって老嬢と呼ばれてしまう30女の悲哀というかもう男も女もこの年までモニャモニャしてるとろくな事にならないというか厨二病的な情けなさを持って同じく厨二病を患う読者の心にグイグイくる。
    最後もまぁ酷いというか切なくなるわけで、こういう暗いというかパーティーピーポーには分からないぜこの気持ちみたいなのは小説の醍醐味ではないか。

    0
    2023年09月16日
  • 荊の城 上

    Posted by ブクログ

    すべてが終わった後に回想しているような描写がされている
    スウがお嬢様に添い寝するシーンの「睫毛が羽のように咽喉をなでる」て表現めちゃめちゃ良いな・・・
    初読なんですけど『お嬢さん』で大筋知ってるので実質2回目みたいなもんなので、これ初回と2回目で全然印象かわるだろうなってシーンばっかりでうわーうわ~おもしれ~~って読んでます(普段ミステリ小説を全然読まない人)
    変態という名の紳士が少女の涙だけを集めて作ったインクがほしいですなみたいなこと言い出すの最高に気持ち悪い

    0
    2021年05月21日
  • 荊の城 下

    Posted by ブクログ

    上巻より続く
    しかし下巻を読んだらなるほどミステリであった
    山場の帰還場面は手に汗握る
    大変素晴らしい
    全体として充分高水準の娯楽読物として力作だが
    もうひとつ欠点目につく出来でもある
    それぞれの描写は作者にとって必要だろうから書いたのだろうけれども
    作品にとっては必要だったのだろうか
    あまりに細かくでなく無駄ではないにせよ
    多くを描きでなく書き過ぎ
    核であるミステリ仕掛けは良いものだし
    最後まで引っ張る力は第一流あるけれども
    ディケンズ作品と比較してしまう
    比較できるほどすごいといえばすごいのだが

    0
    2019年01月10日

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