作品一覧

  • 幼な子の聖戦
    3.8
    1巻638円 (税込)
    東京で挫折、信じかけた新興宗教にも失望した史郎は、故郷に戻り村議となり、人妻との逢瀬を楽しんでいた。幼なじみの仁吾が村長選に立候補すると、改革の理想を語る彼への応援を約束。が、県議から人妻の件で決定的な弱みを握られ、仁吾落選のための不正工作に加担。心を引き裂かれた史郎の、破壊的衝動を描く「幼な子の聖戦」(第162回芥川賞候補作)。ビルの窓拭きを専門にする会社に転職した小春は、仲間同士で命を預けて仕事をする緊張感にのめり込んでいる。ある日、ビル内の盗難事件が原因で責任者を下ろされてしまった権田にひそかに憧れていた小春は、思い切って彼を焼き鳥に誘うが……「天空の絵描きたち」。話題の2編を収録。
  • 海猫ツリーハウス
    3.6
    1巻946円 (税込)
    【第33回すばる文学賞受賞作】現代の太宰治? 大いに悩む! 25歳の亮介は、服飾デザイナーを目指しながらも、故郷の八戸で実家の農業を手伝いながら「親方」のもとでツリーハウス作りに精を出す毎日。人気者の兄・慎平が都会から「自給自足」の暮らしを求めて帰郷してきたことがきっかけとなり、平穏だった田舎町のつかの間の均衡が崩れはじめる……。青春の苦悩を南部弁を駆使して鮮やかに描き出した、注目の俊英デビュー作。
  • 野良ビトたちの燃え上がる肖像
    4.2
    1巻1,408円 (税込)
    河川敷で猫と暮らす柳さんは、アルミ缶を集めて生活費とキャットフード代を稼いでいる。あちこちでホームレスが増えてきたある日、「野良ビトに缶を与えないでください」という看板を見つける。やがて国ぐるみで野宿者を隔離しようとする計画が……。ほんの少しだけ未来の日本を舞台に、格差、貧困、差別の問題に迫る新鋭の力作。
  • 聖地Cs
    3.8
    1巻1,496円 (税込)
    わたしは、もう、イヤなんです。死なせるのはもう。だから、なかったことには絶対しない──。原発事故による居住制限区域内で被曝した牛たちを今も飼い続けている牧場で、東京からボランティアに来た女性が見たものは──。原発事故問題を真正面から見つめて真摯に描いた表題作と「猫の香箱を死守する党」の二篇を収録。
  • 海猫ツリーハウス

    Posted by ブクログ

    2昔前に出た小説を今更読む。
    ずっと視界に入るところにあって、引っ越してもそれは変わらなくて、もうこれは読むしかないだろと。

    青森の海の近くの実家暮らしの25歳の亮介。頻繁に見る、ヘリコプターに吊るされぶらんぶらんと揺れている自分の姿の妄想に悩まされている。高校のあと弘前の服飾専門学校に入ったが卒業を待たずに中退して以来、ずっと中途半端な状態。いつかは洋服づくりで身を立てたいと思うものの具体的な行動を起こさぬままに祖父母の農業と地元の先輩のツリーハウスづくりや雑用に紛れる日々。そんなとき、兄の慎平が帰ってきて。

    兄弟の関係、地元のみんなとの関係、家族との関係などなど、丁寧に描いているのに重

    0
    2023年07月30日
  • 幼な子の聖戦

    Posted by ブクログ

    心に残る話だった。
    表題作は主人公が性格的に救えなくて共感できず中々話に入り込めなかったが、社会への怒りの部分は全く共感でき、男性優位社会において弱者である主人公が暴発するところは不思議とスカッとした。現状維持や保身しか考えない「オヤジ」は、日本の諸悪の根源と言ってもいい気がする。
    もう一つの収録作品、ガラス拭きの話も面白かった。こちらも社会への課題認識は表題作と同じで、さらに職人から仕事をする尊厳も奪い取ってる点も深刻に描かれていてリアリティがあった。クマさんが居酒屋で語る、人は生まれ死に今目の前の人と一緒にいることは流れの中では奇跡的に居合わせてるだけということを意識すれば人への見方が変わ

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    2023年04月01日
  • 海猫ツリーハウス

    購入済み

    地方舞台の青春小説の傑作

    八戸を舞台に、南部弁丸出しで、青春まっただ中の若者の苦悩を描いています。
    そうそう、こんな鬱屈を抱えながら、田舎でくすぶっている若者っているよなあ、自分もそうだったなあ、と共感することしきり。
    家族の中でも居心地悪いし、兄弟で比べられるし、田舎の人間関係もけっこう複雑で、悩みは深まるばかり。

    ここではないどこかへ行きたいんだけど、どこへ行ったらいいのかわからない。そんな悩みを一人で抱え込んでいる若い人にお勧めしたいと思います。

    0
    2019年04月12日
  • 野良ビトたちの燃え上がる肖像

    Posted by ブクログ

    読み進めていくうちに息苦しく怖くなってきた。今の日本も着実にこのようになっていくんではないかと予感させるフィクションであるのにノンフィクションのような小説。昔から格差を作り上にいる人達は下のやつらを蔑み搾りとり優越感に浸る。そういう事は行われてきたけど、平等を謳う今のこの世もまたそこに戻っていくのだろうか?不気味でならない。私もホームレスを見れば社会の落伍者って見てしまっている所があるけれどいつ自分がそうなるかもわからない。この本を読んでホームレスも柳さんみたいにルールを守りながら猫と共存していっている人達もいるんだってわかったし、何とかそういう人達の居場所を私達も作ってあげないといけないのに

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    2017年05月22日
  • 野良ビトたちの燃え上がる肖像

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    途中で近未来小説と気が付く。ロヒンギャの書き方とかちょっとうーんというところもあるけれど。若い世代の人なんだろう。最後のイメージは私には説得力があり美しかった。

    0
    2017年01月29日

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