作品一覧
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4.3
ユーザーレビュー
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Posted by ブクログ
ネタバレ解説を読むとめちゃめちゃ面白かった。
翻訳の文体が分かりにくいのかと思ったけど、完全犯罪が破れて追い詰められたゲルマンが、芸術作品として創造した手記という額縁小説のような形になっているから分かりにくい。一回通読してから読み返すと、あああの話ね、とつながる。
読み返してみれば、たしかにフェリックスと似ていると言っているのは語り手のゲルマンだけで、フェリックスだって2人が似ていると自分から言ってはいない。一人称小説だからゲルマンの主観で書かれており、アルダリオンもかなりヘボな人物に描かれているけど、ゲルマンに描かれたアルダリオン像と、引用されたアルダリオンの手紙=ゲルマンの主観ではなく、本人の言葉 -
Posted by ブクログ
初めて手にしたナボコフであり噂通り強烈な印象を残した「ロリータ」と、この「カメラオブスクーラ」で作者の著書は2作目です。
あとがきにもありましたが、読みはじめ辺りから感じるこの気持ちの悪さは読んだ覚えがあるなぁなんて思っていましたが、「ロリータ」と流れが似ている。
私はなぜ、大人の男性の狂おしいまでの想いに少なからず違和感を覚えたのか、読みながら考えていました。
おそらく、彼が求めていた少女と実際に接触するまでの男性の内面の描写が、女である自分には馴染みのないものだからかな、というのが読み終わってから気づいた私なりの気持ちです。
美術評論家であり、妻子とともに裕福な暮らしを送るクレッチマーは -
Posted by ブクログ
一言でいうと、中年の妻子持ちの男が、16歳の少女にのめりこみ破滅していくさまを描いた話だが、裏テーマは、性的魅力のない妻を持った妄想男の行く末、と読んだ。
(とはいえ、ロリータよりだいぶ以前のこの段階では作者が未成熟の女性に興奮する性向を隠したいがために性的魅力のない妻を利用した、とも読めるが、自分の都合で前者と解釈することにする。)
妻/母を長いことやっている私は、いいお母さんだけれど日々の生活でもベッドの中でも大人しく、徹底的に退屈でセクシーじゃなく描かれている作中の妻を、反面教師とした。
妻/母を長いことやっている私はまた、主人公の男が、いけないとわかりながらも性的嗜好に翻弄されてあ