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ユーザーレビュー
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Posted by ブクログ
ネタバレ「悪童日記」の続編だけども、表現の仕方がガラッと変わる。「悪童日記」は子供の世界「ふたりの証拠」は青年から大人への世界。登場人物に名前の無い、肩書や属性や特徴だけだった世界に、名前とともに個性が与えられて、それぞれのしがらみで、分かたれた双子の片割れであるリュカを浮き上がらせる。もう片方のクラウスの人生が対比で語られるのかと思いきや、終盤まで出てこないばかりか、イマジナリーフレンドだったのではないかという疑念が湧いて、そう言えば「悪童日記」での靴屋のおじさんの受け答えは不自然だったかもしれないなと思い至る。
著者は、物事が人間の成長や変化に与える影響を、すごくよくわかっている人だと思う。
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Posted by ブクログ
「主観を一切まじえずに書かれた本がある」と勧めてもらったのがこの本だ。
僕らは悲しい気持ちになった。とは言わず
僕らは涙を流した。と客観的事実のみで構成される。
不思議な本だった。
双子の主観から捉えた世界なのに、主観的な表現がひとつもない。
双子の目に映る世界の追体験ができるが、感情は全て委ねられる。
漠然と、何か他のものにも応用が効くんじゃないかと感じた。
日本語版タイトルは『悪童日記』だが、原書は『大きなノートブック』とでもいうのが近いらしい。
日本語版のタイトルの掴みは素晴らしいものであるが、読み終わると原書タイトルが、当然ではあるのだが、最も本書を言い表していると感じられる。