作品一覧
ユーザーレビュー
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Posted by ブクログ
203年前に出版されたフランスの作家コンスタンによる『アドルフ』
三島由紀夫が「コンスタンの『アドルフ』こそは、再読三読に堪える小説である」と言った恋愛小説。
以前、こんなエピソードを何かの本で読んだ気がする。
もう役目を終えたと思ったそれまでずっと元気だった老婆が「もういいかな」と言い死ぬことを選び、老衰して死んだというもの。
この小説を読んでも、人は実は死に時というのは自分で選べもするんじゃないだろうかと。
それほど人間の意志の力は肉体に影響するものなんじゃないかと。
フィクションだが、
コンスタンの実体験を織り交ぜ込んであろう物語。
破局的な恋の行方は痛切だ。 -
Posted by ブクログ
18世紀末から19世紀初頭のフランスの作家コンスタン(1767-1830)の唯一の小説、執筆は1806年、初版は1816年。
本作品はフランス心理小説の先駆けと云われ、人間心理の動きをどこまでも細密かつ合理的に記述しようとしている(逆に、本作中には心理描写以外の情景描写などは殆どない)。その巧みさは見事なもので、自分自身が言語化できずにいた己の内面の運動を表現してくれているように読めて、ああ自分があのとき感じていたこと考えていたことというのはこういうことだったのか、と気づかせてくれる描写が数多くある。幸福の有頂天にあるときの表現もなるほど確かにそういうものだと思わせるが、それ以上に痛切に身に -
Posted by ブクログ
ネタバレストーリーがアドルフの目線で語られるので、アドルフが自分の都合のいいように自分の行動や心の動きを正当化しているのが手に取るようにわかる。女性の読者は、相当不快に思う方もいるのではないかと。はっきり言って男性目線でもアドルフは救い難いやつだなと思う反面、アドルフ程ではないにしろ少なからずそういう人間的弱さが自分にも必ずあることを否定できないし、そういう弱さがあることを常に意識して、間違っても「自分はアドルフのようには決してならない」などと高を括ることはしないようにしなければならないと思う。
【あらすじ】
恋愛をすること自体を目的とする実験の開始 → 籠絡するつもりが気が付けば女性の魅力にハ