作品一覧

  • 蒼衣の末姫
    4.3
    冥凮と呼ばれる怪物が跋扈する世界。空を飛ぶもの、地を這うものなど様々な種がいるが、そのどれもが無作為に人間を襲う習性を持っていた。人々は身を護るために砦を築き、軍事、工業、商業、農業などそれぞれ個別の役割を持った六つの共同体に分かれて暮らしている。少女キサは、この世で唯一冥凮を滅ぼす能力を持つ蒼衣の家系に生まれながら、力を使いこなせず、役立たずの捨姫と蔑まれていた。冥凮討伐に失敗し毒の川に落水したキサは、一人の少年に命を救われる。彼もまた大人たちから切り捨てられた孤独な存在だった。ひとりぼっちで生きてきた少女と少年が手を取り合い、過酷な運命に立ち向かう傑作ファンタジイ。
  • 記憶翻訳者 みなもとに還る
    4.3
    1巻950円 (税込)
    過剰共感能力を生かし記憶翻訳者として働く珊瑚は、勤務先の〈九龍〉に持ち込まれた仮想空間コンテンツをきっかけに生活共同体〈みなもと〉を訪れる。そこで珊瑚を待っていたのは、自身の母親だと名乗る女性・都だった。すでに亡くなっていると思っていた“母”は精神的支柱として生活共同体をまとめる日々のなかで、過剰共感能力の異常発現ともいえる症状があらわれて苦しんでいた。珊瑚は原因を探るべく、都の記憶データに潜行するが……第5回創元SF短編賞受賞作「風牙」に始まる、記憶をめぐる傑作SFエンタテインメント連作集、第2弾。/【収録作】流水に刻む/みなもとに還る/虚ろの座/秋晴れの日に/あとがき/解説=香月祥宏※本書は、『風牙』(2018年10月刊行)を再編集・改題し、書下ろし2編を加えたものです。
  • 記憶翻訳者 いつか光になる
    3.4
    1巻950円 (税込)
    過剰共感能力者とは、他人の感情に共感しすぎてしまう特異な体質のために、社会生活に支障をきたしてしまう人々。生きづらさを抱える彼らの共感能力を生かし、本来はその持ち主にしか理解できない記憶を第三者にも分かるようにする“記憶翻訳”の技術を開発したのが九龍という企業だった。珊瑚はその中でもトップクラスの実力を持つ記憶翻訳者だ。依頼人の記憶に寄り添い、その人生を追体験するうち、珊瑚は幼い頃に失った自身の一部について思いを馳せるようになる──第5回創元SF短編賞受賞作「風牙」を収録。心を揺さぶる連作短編集。/【収録作)風牙/閉鎖回廊/いつか光になる/嵐の夜に/あとがき/解説=長谷敏司※本書は、『風牙』(2018年10月刊行)を再編集・改題し、書下ろし2編を加えたものです。
  • コーラルとロータス-Genesis SOGEN Japanese SF anthology 2019-
    -
    1巻314円 (税込)
    過剰共感能力――他人の感情を過剰に感じとる生来の特質で、社会生活に支障を来たしてしまった少女・珊瑚16歳。だが彼女にこそ務まる技術職があった。依頼人から抽出した記憶を、他者が体験できるよう再構築する「感覚情報翻訳」である。珊瑚は抜きん出た才能を発揮するが……慕っていた3歳年長の同僚カマラが失踪した。『風牙』『追憶の杜』に連なるシリーズ短編。※本電子書籍は、『Genesis 白昼夢通信』(東京創元社 2019年12月20日初版発行)に収録の「コーラルとロータス」のみを電子書籍化したものです。『Genesis 白昼夢通信』全ての電子書籍版ではございませんのでご注意ください。
  • Genesis 白昼夢通信
    3.5
    1巻2,200円 (税込)
    ベテランから日本SF界の未来を担う新鋭まで、現代SF界を牽引する7名が集結! 新時代を創る書き下ろしアンソロジーシリーズ、第2巻。【収録作】高島雄哉「配信世界のイデアたち」/石川宗生「モンステリウム」/空木春宵「地獄を縫い取る」/中村融〔エッセイ〕「アンソロジーの極意」/川野芽生「白昼夢通信」/門田充宏「コーラルとロータス」/西崎憲〔エッセイ〕「アンソロジストの個人的事情」/松崎有理「痩せたくないひとは読まないでください。」/水見稜「調律師」/ちいさなあとがき/編集部より
  • Too Short Notice-Time : The Anthology of SOGEN SF Short Story Prize Winners-
    -
    1巻220円 (税込)
    死の間際、男は仮想空間に招かれ、残りわずかな時間を“最も価値のある時間”として使うためのサポートサービスが開始された。アシスタントについたのは“絶世の美女”、しかしどんな風に美しいかがまったく分からない――第5回創元SF短編賞を「風牙」で受賞した著者が贈る時間SF短編。※本電子書籍は、『時を歩く 書き下ろし時間SFアンソロジー』(創元SF文庫 2019年10月31日初版発行)に収録の「Too Short Notice」のみを電子書籍化したものです。『時を歩く 書き下ろし時間SFアンソロジー』全ての電子書籍版ではございませんのでご注意ください。
  • 時を歩く 書き下ろし時間SFアンソロジー
    -
    1巻950円 (税込)
    【東京創元社文庫創刊60周年記念刊行】創元SF短編賞正賞・優秀賞受賞者、佳作入選者が競演。〈時間編〉には松崎有理(第1回正賞)、空木春宵(第2回佳作)、高島雄哉(第5回正賞)、門田充宏(第5回正賞)、石川宗生(第7回正賞)、久永実木彦(第8回正賞)、八島游舷(第9回正賞)の7名の傑作を収録。正統派のタイムリープものから、古典落語をモチーフにした幽霊譚、全人類がみなバーチャル世界で生きる未来での引っ越し騒動まで。2020年代のSF界を牽引する“東京創元社生まれ”の気鋭作家たちが贈る、書き下ろしテーマ・アンソロジー。【収録作】はじめに 東京創元社編集部/「未来への脱獄」松崎有理/「終景累ヶ辻」空木春宵/「時は矢のように」八島游舷/「ABC巡礼」石川宗生/「ぴぴぴ・ぴっぴぴ」久永実木彦/「ゴーストキャンディカテゴリー」高島雄哉/「Too Short Notice」門田充宏/ちいさなあとがき
  • 追憶の杜
    4.0
    1巻1,833円 (税込)
    人間の記憶をレコーディングし、他人にもわかるよう翻訳する技術を生みだした会社・九龍。創業者の不二が病に倒れてからも事業を拡大し続けていたが、記憶データをめぐって起きたいくつかの事件により、世間から非難と疑いの目が向けられていた。九龍に所属する記憶翻訳者の珊瑚は、恩師の不二と大切な居場所である九龍を守るため、真相を探ろうとするが……。デビュー作『風牙』に連なる中編集。/解説=森下一仁
  • 風牙-Sogen SF Short Story Prize Edition-
    4.5
    1巻220円 (税込)
    インタープリタとは、顧客の心から抽出した記憶データを“翻訳”し、他者に理解可能なよう立体的に再構築する技能者である。今回、若き女性インタープリタ・珊瑚が受けた仕事は前例のないものだった。“潜行”する先は、彼女自身の会社の社長。しかも先立って送り込まれたインタープリタは、3人たてつづけに社長の記憶の中で正体不明の存在に襲撃され、病院送りとなっていた。社長の記憶世界で何が起こっているのか。豊かな情緒性と卓越した娯楽性を評価され、応募総数461作から大森望・日下三蔵・瀬名秀明が選出した期待の新人作品。第5回創元SF短編賞受賞作(高島雄哉「ランドスケープと夏の定理」と同時受賞)。*本電子書籍は、『さよならの儀式 年刊日本SF傑作選』(2014年6月初版発行)に掲載の「風牙」を電子書籍化したものです。同名の書籍(『風牙』 創元日本SF叢書版 2018年10月初版発行)の電子書籍版ではございませんので、ご注意ください。

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  • Genesis 白昼夢通信

    Posted by ブクログ

    東京創元社のSFアンソロジーの二巻目。二〇一九年十二月刊行。まだコロナ禍やリモートばかりの生活を知る前の作品だけど、「あれ、なんだか今っぽい」と感じられるものもあって、フィクションの奥深さを思った。一巻を読んだときに比べて私のSF受容力も上がったのか、どれもそれぞれ大変楽しめた。

    ■高島雄哉『配信世界のイデアたち』
    昔、かこさとしの『ほしのほん』シリーズを読んで、宇宙には「銀河」というものがたくさんあるということを知ったとき、もしかしたらはるかかなたの銀河のどこかに、私みたいな女の子がいて今同じように宇宙の本を読んでいるかもしれない…という想像をした。そんなことを思い出した。
    ■石川宗生『モ

    0
    2022年05月13日
  • 蒼衣の末姫

    Posted by ブクログ

    私なんて どうせ 囮にしかならない捨姫だし

    とか 僕なんか 能力がないと捨てられた身だしという生

    そんな子たちが 自分にしかできないことがある

    と 思えていく物語り

    いじらしく 懸命に生きていく

    肉と味噌を甘辛く炒めて 餅にくるむ なんて美味しそうなものもでてくる。

    好きなお話しでした。

    0
    2022年01月16日
  • 蒼衣の末姫

    Posted by ブクログ

    冥凬(みょうふ)という怪物が跳梁跋扈し、廃滅に全勢力を注ぐ世界を描く、正統派ハイファンタジー

    主人公蒼衣の姫「キサ」と、棄錆の少年「生(いくる)」が数多の偶然でめぐりあい、仲間とともに持てる力を存分に発揮し明日への一歩を踏み出す爽やかな作品です


    *緻密かつ壮大スケールの世界観*

    滔々と流れる凬川(ふうちゅあん)、愛くるしいキャラ仔凬(つあいふ)音からも優しくオリジナルの異世界に誘われます

    巨大生物がゆらゆらと空中を浮遊し、メインになる建築構造物は凝っていて想像するのも楽しい


    *剣でも魔法でもない新戦闘*

    「蒼衣」の戦い方が独創的で渾身の戦闘シーンはまさに圧巻です
    キサならいつか

    0
    2021年10月03日
  • 記憶翻訳者 みなもとに還る

    Posted by ブクログ

    上巻「いつか光になる」に続く分冊版の下巻。今作は珊瑚の生い立ちにスポットが当てられている。序盤から早くも涙腺が緩む「流水に刻む」に始まり、表題作「みなもとに還る」でミステリーの謎解きと家族愛のドラマを存分に味わう。その前日譚「虚ろの座」は前章の余韻を一気に覆す悲愴感に満ちているが、エピローグの「秋晴れの日に」が文字通り晴れやかな幕引きを飾る。近未来お仕事SFと心震わすヒューマンドラマが織りなす極上のハーモニー。私は全編涙なしに読めなかった。あとがきにて垣間見える著者の実直な人柄も好印象。大満足の一冊です。

    0
    2021年02月28日
  • 風牙-Sogen SF Short Story Prize Edition-

    Posted by ブクログ

    色んな作家さんのSFで、面白いことが確約されてて、しかも短編集、ってなんと私に向いている一冊でしょう。

    面白かった!!
    特に好きなのは冲方丁「神星伝」ですなーやっぱり。分かりやすくわくわくする上になんとそそる世界観!宇宙に平安とはいいごった煮!!I.Gさんあたりに是非ともアニメ化してほしい…!!!!
    あと草上仁「ウンディ」はモフモフ好きにオススメ。円城塔「イグノラムス・イグノラビムス」も思いの外分かりやすく面白い。創元SF短編賞の門田充宏「風牙」も良かったなあ…!

    0
    2014年10月08日

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