中村真一郎の作品一覧

「中村真一郎」の「回転木馬」「源氏物語」ほか、ユーザーレビューをお届けします!

作品一覧

  • 源氏物語の世界(新潮選書)
    -
    千年の昔、一人の女性の手で書かれた五十四帖の壮麗な物語。宮廷ゴシップ、恋愛模様、権力闘争――ほの暗い御簾の陰に潜む人間ドラマと、失意と孤独を抱えた作者・紫式部その人の内奥に、名うての読み巧者が光を当てる。『枕草子』など同時代の傑作も縦横に併せ論じ古典を読む悦びを語り尽くす、知的興奮に満ちた文学案内。
  • 源氏物語
    -
    1巻1,100円 (税込)
    紫式部は平安時代の藤原氏一門の全盛時、京都に生きていた女流作家です。当時の日本は、中国の先進文明と我国の風習とを巧みに調和させた、前後にも類のないような優美繊細な文化を作りあげていました。『源氏物語』の完成に生涯をかけた紫式部はまさに天才で、この物語のなかに、いわば彼女の生きた時代そのものを、全て封じこめてしまおうという野心を抱き、それを実現させてしまったのです。だから、この物語のなかには、数百人の様々な男女が、それぞれの出身階級や家庭やの考え方、感じ方をもって登場します。特に人間生活の永遠の主題というべき愛欲に喜んだり苦しんだりする姿は、私たちにも、ありありと感じられるように見事に描かれています。『源氏物語』は私たち日本人にとって、最大の魂の故郷であり、また己れを写す鏡というべき作品です。しかし、一方で、千年前の貴族の女性の言葉で書かれたこの作品には、言葉の違いという厄介なものがあります。私はまず、この複雑極まりない内容を持つ大ロマンを、近代的な小説として読めるようにしようと思いました。そうして、物語の中心をくっきりと浮き上らせるように試みました。…中村氏はこう述べています。
  • 1946・文学的考察
    -
    ここにあるのは若気の過ちではなく、若気の夢、――軍国主義を呪い、詩を愛した日本の青年の知的な客気である。――<「あとがき三十年後」より>。1946年・敗戦翌年、<マチネ・ポエティク>のメンバー 加藤周一・中村真一郎・福永武彦の共同執筆により「世代」に連載された時評は、新しい時代の新しい文学を予告した。時代を超えた評論は日本近代文学史上必読の書となり、なお不動の地位にある。戦後日本文学はここに出発した。
  • P+D BOOKS 四季
    -
    1巻715円 (税込)
    喪われた時を取り戻そうとする二人の男たち。 太平洋戦争を示唆したと思われる「戦慄すべき時期」「精神の衝撃」のために、青年期の記憶をほとんど失ってしまった主人公の〈私〉。そして、定年間際の銀行マンで、流されゆく人生に疑問を抱いてしまった〈私〉の学生時代の友人〈K〉。 50代になったふたりが、30数年前に輝くようなひと夏を過ごした高原の避暑地を再び訪れ、青春時代の記憶を辿って歩く。短くとも濃密な旅を終えたふたりに宿った思いとは――。 『夏』『秋』『冬』と続く4部作の第1作目にして著者の代表作。作家・加賀乙彦氏の解説を再録。
  • この百年の小説 人生と文学と
    -
    1巻1,980円 (税込)
    西欧文学に100年以上遅れて出発し、そのエッセンスを学びながら追いかけてきた日本の近代文学。明治期の誕生以降、発展を続けているその歴史を、漱石、鴎外、露伴、谷崎、芥川、川端、三島、大江、石原らの代表的な作品を取りあげながら概観し、青春、恋愛、少年、心理、老年、歴史等々、「人生と文学」の断面から照射した、壮大かつ心揺さぶる精神のドラマ。博覧強記の小説家が遺した名著。
  • 死の影の下に
    -
    1巻1,562円 (税込)
    無意識の記憶の突然の喚起をきっかけとして、主人公の城栄は、静岡県の田舎で伯母に育てられた牧歌的な日々の回想に誘いこまれる。早くも「喪失」の意味を知った少年は、伯母の死後、冒険的実業家の父親と暮らし始め、虚飾に満ちた社交界をつぶさに観察することになる。新しいヨーロッパ文学の方法をみごとに生かした、戦後文学に新たな地平を拓き、戦後文学を代表する、記念碑的長篇ロマン。
  • 田園交響楽
    -
    1巻440円 (税込)
    「もし盲目なりせば、罪なかりしならん」――スイスの片田舎の一牧師と盲目の少女、牧師の妻と長男の4人の愛情の葛藤を中心に、人間の自由と宗教の戒律の相剋をきびしく追求――自らの時代をもっとも誠実に生きた、巨星ジッド円熟期の名作。
  • 回転木馬
    -
    1巻495円 (税込)
    昭和十年代の初頭、正義と愛に基く「人類の未来の会」で語りあった純粋な青年たちに、20年後は、堕落と世俗化という変貌が待っていた。彼らは、大学助教授、流行作家、一流カメラマン、会社の責任者、公務員、町会議員、新聞記者になっている。この変貌を通じて現在の日本人の姿を活写し、日本人の親子関係を描き、人生の真意を問うた野心作。
  • 頼山陽とその時代 上
    5.0
    1~2巻1,430~1,595円 (税込)
    名は襄、字は子成、通称久太郎。安永9年、儒者頼春水の長子として大坂に生まれる。後に、天賦の詩才と史書の叙述で天下に令名を馳せる頼山陽(1780‐1832)である。その一代の文章は、幕末期に尊王攘夷運動の原動力ともなった。作家中村真一郎は、この人物の内面を丹念に掬い上げながら、生涯の全貌と時代の知的風景を余すところなく描き出す。発表後、山陽のみならず、江戸漢詩文の再評価をもたらした傑作評伝。上巻では、精神の異変と、脱藩事件や遊蕩によって始まる山陽の生涯、一族のあり様、西遊中の交際などを扱う。芸術選奨文部大臣賞受賞。
  • 堀辰雄/福永武彦/中村真一郎
    4.3
    1巻2,860円 (税込)
    西欧文学を学び、日本の古典に赴いた知の作家たち。豊かな言葉をもって、巧みな手法と仕掛けで物語を紡ぐ。堀辰雄「かげろうの日記」、福永武彦「深淵」、中村真一郎「雲のゆき来」他。 [ぼくが選んだ訳] フランス文学を学んだ者がその富を創作に応用する。しかし彼らはフランス文学を学んだのではなく文学の普遍を学んだのだ。だから日本の古典を自在に用い、現代の日本を舞台にした巧緻な中篇を作り、また江戸期と今の京都を行き来する国際的な雰囲気の名作を書くことができた。――池澤夏樹 解説=池澤夏樹 年譜=鈴木和子 月報=堀江敏幸、島本理生
  • 文章読本
    4.0
    文章を書くというのはどういうことか。現代における文章とはどのようなものか、また、その望ましい姿とは。――森鴎外・夏目漱石など明治の作家から、安部公房・大江健三郎・井上ひさしら現代作家まで、豊富な文例をあげながら、近代百年の口語文の歴史のあとを辿る。文章を素材にした近代日本文学史であると同時に、文章表現の心構えを分りやすく説いた、万人のための文章講座。
  • 女体幻想
    -
    1巻550円 (税込)
    生来の快楽主義者であり、病気のなかにさえ愉しみを見いだすと、友人たちから冷やかされていた作家もいまは70歳。そして、老作家の過去は少しずつ年と共に死んで行き、女体への追憶による彼の魂は、壮年のそれから青年に、少年に、幼児にと時間を遡る。乳房・背中・髪・脣・瞳・茂み・臍・掌・腰・顔……それらは彼に記憶された女体。眩い光と濃い影の性愛の世界へ誘う幻想小説。
  • 狭き門
    5.0
    1巻330円 (税込)
    ジェロームのアリサへの愛は、「頭脳の恋」であった。相手のなかに自己の理想の反映を見出し、偶像として祭り上げてしまったとき、それを知った相手は「あるべき姿」を負担に思うようになる。アリサの死後、ジェロームに贈られた遺書「アリサの日記」はその心の葛藤を生々しく語る。「この作品はまことに平易な文章で綴られている。それなのに、その行間がもたらす緊張感とこの作品を読みながら促される思索の一貫性については、まったく類がないほどの質になっている。まさにアンドレ・ジッドの彫琢だ」…松岡正剛。

    試し読み

    フォロー
  • 頼山陽とその時代 上

    Posted by ブクログ

    ☆4.5 頼山陽は精神病だった
     吉田松陰を知るにあたり、松蔭が影響を受けた頼山陽の伝記を読まうとおもった。

     精神病視点で頼山陽を捉へるこころみで、中村自身の鬱病的経験を踏まへてゐる。さう照し合はせてみると、かなり的を射てゐる。そして精神病にもとづく推測が剴切に思はれてくる。

     徳川期の遠い時代といふ印象の人物が、いつのまにかわれわれに卑近に迫ってくる感じだ。両親の厳しさと甘やかしは、いまと変らない。

     徳川期になかった概念(当時は狂人扱ひしたもの)を、近代の精神病として捉へることで、頼山陽の実像が理解できる。
     私としては、頼山陽は発達障害をかかへてゐたのではないかとおもった。

    0
    2024年01月14日
  • 堀辰雄/福永武彦/中村真一郎

    Posted by ブクログ

    同名のアニメですっかり有名になってしまった『風立ちぬ』でなく、「かげろうの日記」とその続篇「ほととぎす」を採ったのは、大胆な新訳が売りの日本文学全集という編者の意図するところだろう。解説で全集を編む方針を丸谷才一の提唱するモダニズムの原理に負うていることを明かしている。丸谷のいうモダニズム文学とは、
    1 伝統を重視しながらも
    2 大胆な実験を試み
    3 都会的でしゃれている
    ということだが、堀辰雄の「かげろうの日記」は、「蜻蛉日記」の現代語訳ではなく歴とした小説である。言葉遣いこそ王朝物語にふさわしい雅やかな雅文体をなぞっているが、主人公の女性心理はまぎれもなく近代人のそれであり、自意識が強く、

    0
    2015年04月13日
  • 堀辰雄/福永武彦/中村真一郎

    Posted by ブクログ

    堀辰雄の「かげろうの日記」と「ほととぎす」。
    ここにはヨーロッパ仕込みの見事な「平安文学の心理小説化」がある。前回配本の森鴎外からもう一歩進んでいる?

    平安貴族の生活が生き生きと描写されて、物忌みや、待っていることしか出来ない貴族女性の立場、子供のような道綱(藤原道綱)の振る舞い、揺れ動きながらたまに男を手玉にとる道綱母の行動など、なかなか興味深い。

    道綱も成人したころに、夫は他の女に産ませた「撫子」という少女を連れてくる。次第に情が移ってきちんと育て始めたころに、頭の君が撫子を求めてひつこいぐらいに道綱に連絡する。「まだほんの子供ですから」と「いや一目だけでも」何度も何度も同じやりとりを

    0
    2017年12月23日
  • 堀辰雄/福永武彦/中村真一郎

    Posted by ブクログ

    高校時代に、図書同好会というサークルに入っていたが、1級上の先輩が福永武彦を愛読していた。当時は特に惹かれるものはなかったのだが、今読んでみると、意識の流れの描写が洗練されていて上手いと思う。
    堀辰雄のかげろうの日記も楽しく読んだ。中村真一郎もそうだが、昔の作家はきちんと古典に学び、吸収していたのだなと感心する。

    0
    2016年06月12日
  • 堀辰雄/福永武彦/中村真一郎

    Posted by ブクログ

    長編というか、いろいろなタイトルがおさまっていて
    500P弱を読み終わりました。
    堀辰雄氏・福永武彦氏(池澤夏樹氏の父)・中村真一郎氏
    3人の作品。
    堀辰雄氏の「かげろうの日記」「ほととぎす」は
    いまいちわかりませんでした。
    福永武彦氏の「深淵」「世界の終り」「廃市」は
    3作品ともとてもよかったと思います。
    狂気・退廃・情念などがにじみ出ていたと思います。
    中村真一郎氏の「雲のゆき来」は漢文や漢詩
    古文詩などが多くあって、読みづらい部分が多く
    ありましたが、それを差し引いてもとてもよかった
    と思いました。
    やっぱり自分の知らない作品それも古典的な作品
    に出逢える機会は大切だと思います。
    この全

    0
    2015年05月17日

新規会員限定 70%OFFクーポンプレゼント!