『ビジネスの名著を読む』マーケティング編
時間効率 ☆☆☆☆☆
読みやすさ ☆☆☆☆☆
●本書の特徴
「ビジネスの名著を読む」のタイトルのとおり、評判が高い著書20冊の要約版です。要約に加えて、解説・解釈が添えられています。
●こんな人にお勧め
マーケティングを勉強したい。でも、どこからどのように?という方向けに適当かと判断します。理由は、前述のとおり20冊分の容量をまとめ読みできるからです。
●本書と学び
1.競争優位の戦略
【A;内容】
差別化またはコスト戦略を採用することで、競争優位の位置が確立しやすくなること。
<コスト優位戦略の作り方>
自社と相手方の関係を構築すること。
その相手は、
①取引先
②資本関係があるグループ会社
③川上・川下の取引先である。
<コスト優位戦略。
利益につなげるには?>
自社のコスト削減に加えて、以下のいずれかの要素を満たすこと。
・買い手側のコストを下げること。
・買い手側の実績(売上)を上げること。
<対リーダー戦略>
①持続的な優位性をつくること。
②リーダーの強みを生かせないようにすること。
③リーダーによる報復ができないようにすること。
【B;解釈】
<手順>
①自社が所属する業界がどこなのか?を知ること。
※業界の定義は、顧客、提供サービスで類似が多い領域を選定すること。
②①に所属する事業会社(プレイヤー)を調べること。
・定量(売上、利益、シェア)
・定性(ユーザー評価;〇・▲。機能;強み・弱み)
②②と自社の比較
勝てる(ユーザーに支持される)領域・理由
勝てない(ユーザーに支持されない)領域・理由
③②のうえで、戦うのか?戦わない(販売市場・対象を変える。または、協業する。)のか?
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2.良い戦略・悪い戦略
【A;内容】
良い戦略とは、
①論理構造が明確なこと。
②自社がなすべき重要なことが網羅されていること。
【B;解釈】
1.の競争優位の戦略を自社風に編集し、図式・文書化すること。
<①戦う場所・領域>
やりたい*勝てる*儲かるの3要素を満たす範囲はどこか? それはなぜか?
↓
<②次に戦術・どう戦うのか?>
経営資源(ひと・もの・かね・情報)をどのように投下して、市場シェア拡大を実現するのか?
最前線の営業活動で、顧客または見込み客が納得する(価値を見出す)内容なのか?
↓
①②が誰でも理解できる・実行できるレベルで文書化・図式化すること。
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3.フラット化する世界
【A;内容】
①範囲の選択
自社でやらなくてよい=コモディティ領域は、低労働コストの国へ委託する選択肢をもつこと。
②委託後の運営
結果指標のモニタリングよりもプロセス指標をモニタリングすること。
例;営業活動ならば、売上・成約件数ではなく、そのインプット情報(商談先、商談件数、見積もり件数など)
【B;解釈】
労働集約的要素が高い(アウトプット=1名あたり工数(時間)*稼働人数)
①製品は何か?
②①のうち、製造プロセスはどの範囲か?
↓
自社で継続するメリット・デメリット(失うもの)はなにか?
↓
デメリットがない、または経営インパクトが少ない場合は、委託候補のプロセスとなる。
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4.コークの味は国ごとに違うべきか?
【A;内容】
コークの味は、国ごとに差異があるのが事実である。
この事実から学べることは、グローバル活動には、ローカル(展開先の国)視点が必要であること。
①本国と展開先の国の差異はなにか?そして、その差異の「程度」はどの程度の影響なのか?
②展開先での経済メリット。売上が増える、コスト削減になるという足し算以外の経済価値がなにか?
【B;解釈】
何が違うのか?その違いは、現地のどのような生活習慣・価値が源泉なのか?
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5.企業変革力
【A;内容】
外的環境の変化にあわせて、内的環境(事業、顧客、組織)を変化させる必要があるとき、どのような手順で実施することが望ましいのか?
<手順>
①危機感を高める。
②連帯チームを構築する。
③ビジョンと戦略を生み出す。
④ビジョンを周知徹底させる。
⑤従業員の自発を促す。
⑥短期的成果を実現する。※長期的取り組みのため。成果→動機付けのサイクルが必要。
【B;解釈】
①を実施するためには、定量的に簡単に説明すること。また、時間軸で業容の変化とその理由(根拠含める)があると、合意形成がやりやすい。
③のビジョンと戦略については、ビジョンが何を実現したい(提供価値)のか?
そして、なぜ実現させたいのか?必要である。
この実務では、事業会社の経営理念と関連づけて考えることも有効だろう。
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6.インテルの戦略
2024年.インテルの業容は▲の様相を呈している。しかし、それ以前の「インテル入っている」のモデルで圧倒的なシェアを確立したことは事実であり、分解・解釈するに値する。
【A;内容】
インテルは、部品供給(プロセッサーメーカー)の視点から、最終製品(PC)へ視点を上げたこと。
アップルでいえば、スマホ提供から、アプリで生活を楽しくする(上位プラットフォーム/Apps)に視点を上げたこと。
【B;解釈】
視点をあげるとは何か?
①自社の製品・サービスが購買する顧客がどこに多く存在するのか?
②①に対して提供すると喜ばれる価値は何か?
③②のうえで、自社はどこまでを提供領域とするのか?
を決めること。
アップルは、利用者が便利なアプリが増えれば、生活はよりスマートに、スタイリッシュになると考えた。
そのため、アプリは第三者につくらせて(コモディティ)、自社はその場(プレイス)を提供すると考えた。
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7.静かなリーダーシップ
【A.内容】
靜かなリーダシップとは、組織の目的、目標達成に向けて、3つの要素を保持している状態である。
①自制
②謙遜
③ねばり強さ
【B;解釈】
組織(全社、本部、部、課)が置かれている状況を整理すること。
↓
整理して評価すること。
↓
評価したうえで、論点(解決できる課題、小力で解決できる課題、メリットが実現しやすい課題)を抽出すること。
↓
やり方(ひと、もの、¥、時間)を計画すること。
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8.ブラックスワン
【A;本書】
スワン・白鳥は白い。黒いスワンは基本的に存在しない、しづらい。これはビジネスに転換すれば、「発生しづらい事象・リスク」に該当する。それを特定し、備えること。
【B;解釈】
「リスク・危機感管理委員会」等が想定するリスク・危機をピックアップする折に「もし、??であったらどうする?」という??を具体化する作業である。
事業、顧客、財務そして投資という4つの区分(バランススコアカード的)で整理するのも有効かもしれない。
解決策のどうするの部分においては、実行できること・水準であることが重要である。
実行できないことを列挙しても、コントロールできない結果となるから。
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9.倫理の死角
【A;本書】
企業は、基本的に倫理(法律・正しいこと)を守って事業活動を展開する。しかし、後から振り返れば、その基準から逸脱したために、社会的制裁を受けることも少なくない。
倫理の死角とは、企業側で、
①気づけていない
または
②気づけているが見過ごしてしまうが原因で、
社会的制裁を受ける状況を招くことを指す。
倫理には、必ず死角が存在する。なぜならば、判断するのは「人間」だからである。したがって、必ず漏れ・ミスジャッジは発生する。では、それをわかったうえで企業はどう対峙するのか?
【B;解釈】
ステイクホルダーを書き出すこと。ステイクホルダー別にメリット、デメリットを記述すること。とくに、デメリット(不利益)の有無、あればその影響力の大きさを計測すること。
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10.BMW物語
【A;本書】
①オール5を目指さない。負けない範囲を決める、そして極める。他は平均点以上でよしとする。
②ビジョン「駆け抜ける歓び(JOY)」。営業部門、マーケティング部門、管理部門すべてが意識、実践すること。
【B;解釈】
ヨーロッパ型の経営は、沿革・ブランド・ビジョンという定量ではない、定性的情報に重きをおく。負けてもよい範囲と負けてはいけない範囲を区別して、モノづくりをするということ。だから、エッジが効いている。万人受けを狙っていない。