作品一覧

  • P+D BOOKS 幼児狩り・蟹
    3.0
    1巻825円 (税込)
    中年女性の屈折した心理を描く「蟹」他6篇。 外房海岸を舞台に、小学一年生の甥と蟹を探し求めて波打ち際で戯れる中年女性の屈折した心理を描き、第49回芥川賞を受賞した「蟹」。 ほかに、知人の子供や道端で遊ぶ子供に異常な関心を示す、子供のない女性の内面を掘り下げた「幼児狩り」。 夫婦交換による男女の愛の生態を捉えた「夜を往く」、「劇場」など、日常に潜む欺瞞を剥ぎ取り、その“歪んだ愛のカタチ”から、よりリアルな人間性の抽出を試みた、筆者初期の短篇6作を収録。
  • 考えられないこと
    4.0
    1巻1,936円 (税込)
    大阪大空襲で生家が焼けたことも知らず、終戦から半年後に復員してきた兄。混みあった電車のなかで、「君、結婚は?」と声をかけてきた兄の友人は、すでに戦死していた。誰にも言うなよと言って聞かされたその話を、語っておきたい――。若き戦没者たちを哀しむ表題作など八十七歳で書かれた三つの短篇に、詩三篇、日記を付す。
  • 逆事
    3.5
    1巻1,320円 (税込)
    人の生死は潮の満ち引きに同調すると、子ども時分に聞かされた。引き潮どきに逝った谷崎潤一郎。いわれに逆らうように「満ち潮どき」の死を択んだ三島由紀夫。相次いで逝った父と母、戦没した息子を思いつづけた伯母の死は……。亡き面影をたどり、生と死の綾なす人間模様を自在な筆致で描きだす「逆事」ほか珠玉の全五篇。

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  • 逆事

    Posted by ブクログ

    リアリスティックでミステリアスな短編集。ごく普通の日常の風景の中に存在する微妙な空気や突然襲ってくる恐怖が、読者の前に繰り出される。いやいや、繰り出されるというより、放り出される、といった方が正しいかもしれない。そして、目の前に放り出されておろおろする読者の様子を、著者はどこかで微笑んで見ているような気がする。

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    2018年11月18日
  • 考えられないこと

    Posted by ブクログ

    表題作.このような戦前と戦後間もない時期の話を書ける人がいなくなった.こういう時代があったことを忘れないことが大事だ.「歌の声」ではオペラへの愛着が迸り出た文章だ.淡々と話が進む中で,ふと考えさせられる件がとても快適だ.

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    2015年12月06日
  • 逆事

    Posted by ブクログ

    いずれも著者の経験と小説の中間にあるような日常小説。ごく普通の日常が実は非凡さに満ちていることに、我々読者は衝撃を受ける。そのことを一人密かに感じ取る主人公の感性に驚かされる。高齢の著者の最近の作品であるのだから、半分の年齢の我々は、心して感性と向き合わねば、と思う。

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    2011年11月20日
  • P+D BOOKS 幼児狩り・蟹

    Posted by ブクログ

    河野多恵子という人は
    暴力を介してしか愛情を実感できない人々について多く書いた
    谷崎潤一郎からの影響を自認していたようだが
    時代のコメディアン谷崎とは決定的に異なる薄暗さを抱えていた
    敗戦によって失われた父性信仰への憧れを
    そこに重ねることもできよう

    「幼児狩り」
    10にも満たない男児ばかりに性的な目を向けてしまう女
    なぜそうなったのかよくわからないが
    夜は残虐な夢を見て楽しんでおり、いろいろ拗らせていることが窺える

    「劇場」
    オペラ劇場で出会った美女
    彼女の夫は、見た目に彼女とは不釣り合いなせむし男だった
    主人公は彼女らの佇まいに性的なシンパシーを受け
    マゾヒズムに目覚めてゆく

    「塀の

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    2018年11月04日
  • 逆事

    Posted by ブクログ

    河野多恵子さん、初挑戦。
    エッセイのような、小説のような。
    泥棒に入られたことが間違いなくあるだろうなと思いました。
    たぶんあれはエッセイで、小説にもしたんだろう。
    すごく色々なことを思って書いたんだろうなと思いました。

    私にはなんとなく難しくて、たぶん河野さんが伝えたいことのいくらも分かりませんでした。
    他のも読んでみたいです。

    0
    2011年10月04日

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