作品一覧
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-中高年が主人公のショートストーリー集。 ――私の見てきた商売の裏側を、洗い浚い書いちゃおうと思うの。今お偉いさんになっている連中が、実名で、ばんばん出てくるのよ。みんな、青くなるな、きっと……―― 夜の店のママが、客の行状を洗いざらいぶちまける回顧録を書いていると聞いて、やましいところのある元常連たちが“対策協議会”を開く「近火御見舞」をはじめ、妻の浮気が原因で別れたのに、浮気相手に捨てられると元夫に秋波を送る女性に振り回される「あとの祭」、社員からも恐れられ、“財界の狼”と異名をとる男が、ひょんなことから海辺の町の女性と出会い、心癒される「狼男」など、中高年男性を主人公にした17のショートストーリー。 P+D BOOKS『曲がり角』に続く、味わい深い短篇集。
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3.0人生の曲り角を迎えた中高年を描く17篇。 ――世間というものはおそろしいな……庭をちょっと作り変えれば、どこかおかしいと思われるし、他愛のない絵を描けば変態扱いか……そういう自分たちの、どこが正常だと思ってやがるんだろう―― 定年前後の男たちが、庭の作りかえや裸婦画、プラモデル作りなどに熱中するが、周囲にはまるで理解してもらえない悲哀を描いた「積み木あそび」、ナイフやフォークを持つときに相手が小指を立てていたという一事で見合いが流れてしまう「小指」、病気で倒れたお偉いさんのため、好物だという鰻を熱々の状態で届けたが、どんでん返しに遭う「鰻」などなど、中高年の悲喜劇17篇を収録した名作短篇集。
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ユーザーレビュー
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Posted by ブクログ
17編からなる、料理または料理を出す店にまつわるエッセイ集。
登場する男女ともに、慎ましやかで、大人である。
失われた、良き時代というかんじで、このような作品が、読みやすい文庫で復刻されたことはとても嬉しい。
文章も美しく、本当に一編が短いのだが、読み終えたあと、しみじみとした満足感がある。
食べ物の描写も、上品で、おおげさな書き方をしていないのだけど、つばがわいてくる。
連れ合いを失った人物が多いきがする。
失った時代を懐かしむ話も多い。
そんな、ちょっとした、ほろほろとくずれるようなもの悲しさがただよっているようなところも魅力だ。
いろいろと、ほどよい。
解説が、私の感じたこと -
Posted by ブクログ
表紙買いで
こんなにも上質の短編集に出会えると
自分の感性を褒めたくなります。
それはそれは美味しそうなものばかり。
アルミの弁当箱にぎゅうぎゅうに
詰められ 米粒がつぶれた白飯までが
神吉さんのペンにかかると
もう一度食べたくなる珠玉のごちそうに。
今はなき鎌倉書房がかつて出していた
季刊雑誌「四季の味」に
掲載されていたものをまとめて
新潮社から出されたのが1987年。
光文社さん
よくぞ文庫にしてくださった。
上質な言葉が品よく
落ち着いて並んでいる。
大人であることの
優越感を味わわせてくれる。
こんな心地よい一冊に出会えたことは
幸せの一語に尽きる。