林京子の作品一覧
「林京子」の「希望」「上海・ミッシェルの口紅 林京子中国小説集」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「林京子」の「希望」「上海・ミッシェルの口紅 林京子中国小説集」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
Posted by ブクログ
被爆の痛みを知らず、また、忘れ、日々を安らかに生きる私たちにとって、林京子の徹底した“傷を負った者”側からの描写はあまりにも痛くて重い。まるで「被爆について、誰もがあまりにも無知に日々を過ごしすぎる」と言ってるように感じられる。または「被爆者が精神的にも肉体的にも深く負った傷を、自分のものとして受け入れることが、現代に生きるすべての人間に課された宿命である」とでも言うように。
『「どこの女学生さんじゃろか。可哀そうか。」…洋子は死んでいた…膝を抱いたまま、死んでいた。女の一人が「かわいそうに、ハエのたかって」と横顔に群がるハエを、手で払った。…太陽に向って飛んで行くハエを見おくりながら、洋子
Posted by ブクログ
思えばかつて大田洋子『屍の街』『半人間』=原民喜『夏の花』=林京子『祭りの場』=中沢啓治『はだしのゲン』=『原爆の図』丸木位里・俊=峠三吉『原爆詩集』=井伏鱒二『黒い雨』に対して、何故?巨大な原爆に立ち向かうのにこんなにも数少ない作品でいいのかしらと疑問に思いながらも夢中になっていた頃、おそらく表現と告発の違いもまだ解っていなかったのでした。
それに、ほとんどの人がこういう傾向のものに何の興味も示さないことも。
「人間にハエがたかる。うじ虫がわき人間をつつく」
このとき、林京子の『祭りの場』は、私には、被爆という残虐な悲惨極まりない稀有な体験をありのままに書いている私小説としてだけでなく
Posted by ブクログ
被爆から数十年を経て、原爆症ではなく「老い」による死を間近に感じた著者は遍路に出立する。
それは行方をくらました友達カナの意志を遂行する道程であり、あるいは著者とは異なる戦後を歩んできた被爆者との出会いを想起させる旅でもあった。
「長い時間をかけた人間の経験」では、身体に放射能を抱え込んだまま生を歩むことが問題化されている。
「トリニティからトリニティへ」は、ヒロシマナガサキへの原爆投下に先立って世界ではじめての核実験が実施されたニューメキシコ州トリニティ・サイトへの旅を綴ったものである。
日本人、被爆者、被爆する前の自分、そしてまた被爆者へと著者の意識が移り変わっていく場面が印象的だった。