『とんがり帽子のアトリエ』人気の秘密を徹底考察!!

現実世界に魔法なんてロマンチックなものは、残念ながらありません。けれど、多くの漫画好きに魔法をかけた壮大なファンタジーの傑作であれば、心当たりがある…。

漫画『とんがり帽子のアトリエ』(白浜鴎 先生)です。

漫画『とんがり帽子のアトリエ』とは

2016年7月に連載開始され、瞬く間にSNSを中心に話題となった壮大な魔法ファンタジー漫画です。

『とんがり帽子のアトリエ』白浜鴎 / 講談社

とんがり帽子のアトリエ 1巻

とんがり帽子のアトリエ 1巻

小さな村の少女・ココは、昔から魔法使いにあこがれを抱いていた。だが、生まれた時から魔法を使えない人は魔法使いになれないし、魔法をかける瞬間を見てはならない……。そのため、魔法使いになる夢は諦めていた。だが、ある日、村を訪れた...

漫画『とんがり帽子のアトリエ』あらすじ

小さな村の少女・ココは、昔から魔法使いにあこがれを抱いていた。だが、生まれた時から魔法を使えない人は魔法使いになれないし、魔法をかける瞬間を見てはならない……。そのため、魔法使いになる夢は諦めていた。だが、ある日、村を訪れた魔法使い・キーフリーが魔法を使うところを見てしまい……。これは少女に訪れた、絶望と希望の物語。

『とんがり帽子のアトリエ』シリーズ一覧

王道のファンタジー超大作です。読み始めた瞬間の高揚感、今でも蘇ります。子供の頃に一度は夢見た「魔法のある世界」が確かにそこに広がっていて、その世界観に没入するように読み入ってしまうんですいます。大人になった今でも、こんなにワクワクできるんだと、自分でもビックリ…。

月刊「モーニング・ツー」(講談社)にて連載中!

漫画『とんがり帽子のアトリエ』は、月刊「モーニング・ツー」(講談社)にて連載中です。

連載開始は2016年9月号から(2016年7月22日発売)。単行本は2018年12月現在で既刊4巻まで発売中です!

月刊モーニング・ツー 2019年1月号 [2018年11月22日発売]

月刊モーニング・ツー 2019年1月号 [2018年11月22日発売]

モーニング・ツー2019年1号、表紙は累計1500万部(電子含む)、ピッコマTVにて動画配信中の『聖☆おにいさん』がラッパー姿で登場! 巻頭カラーは第4巻が11月22日(木)に発売する『1122』!

作者・白浜鴎(しらはまかもめ)先生ってどんな人?

東京藝術大学デザイン科を卒業後、フリーのイラストレーター、漫画家として活動。「マーベル・コミック」や「DCコミックス」、「スター・ウォーズ」等のアメリカンコミックスの表紙も手がけている。他作に『エニデヴィ』(全3巻)など。

白浜鴎作品一覧

漫画『とんがり帽子のアトリエ』の前に『エニデヴィ』という作品でデビューされています。こちらは天使と悪魔の女子コンビが世界中の都市を巻き込みながら喧嘩するという物語。2作に共通するは、ファンタジーの世界を形にする発想力と、その圧倒的な画力が持つ説得力…スゴい先生なのです!

2018年、多くの漫画賞にノミネート!

発表されて以降、多くの漫画好きの度肝を抜き、数々の賞にノミネートされています。

"本のプロ"である書店員が選出する賞として知られる「全国書店員が選んだおすすめコミック2018」において、一般部門の第1位に輝いています!一部の書店員アンケートでは、「面白かった」と回答した人が100%になったと話題になりました。(驚異的数値…)

また、「このマンガがすごい!2018」オトコ編6位にもノミネート!

いずれも漫画ファンが注目する賞であり、この漫画が読者から圧倒的な支持を得ていることがわかりますよね。

累計発行部数は100万部を突破!

第4巻の発売(2018年9月21日)を前に、累計発行部数は100万部を突破しています!連載中の月刊「モーニング・ツー」(講談社)でも、表紙&巻頭カラー付きで登場するほどの推され具合なのです。今後もファン拡大すること間違いなしですね!

大人気につき原画展も開催!

この人気ぶりは止まる事を知らず、なんと初の原画展まで開催されました!場所は東京・青山のギャラリー「GoFa」。《白浜鴎『とんがり帽子のアトリエ』原画展》と題して、約1ヵ月弱の期間で開催されました。まるで魔法の世界に入り込んだかのような空間、またの開催が期待されます…!

まるで魔法!トリッキーなコマ構成に脱帽!

漫画『とんがり帽子のアトリエ』は、そのコマの使い方で大きな話題となりました。百聞は一見にしかず、ぜひ幾つかご覧頂きたい。

繋がる梯子階段

主人公・ココが、屋根裏部屋から梯子階段で下に降りるシーン。

『とんがり帽子のアトリエ』第1巻p13

今降りんとしているココを描いたコマの真下に、まるで絵を繋げたかのように、ココが降りたあとの階下の空間が描かれ、この2つのコマが梯子で繋がっているように見えるんですよ。新しい漫画の表現技法を見た気がしますよね。

見開きコマを利用した曲がり角

また漫画の見開きを巧みに利用したコマもあったりあります。

ココや他の見習い魔法使いの仲間たちが、街角を歩くシーン。

『とんがり帽子のアトリエ』第12巻p182

見開きの右側下のコマで、曲がり角を曲がろうとするココたちですが、なんと左側のコマではその曲がり角に続く道が展開されているのです。確かに紙の本だと実施に折り曲がっているわけで、現物の立体感を応用した構成に度肝を抜かれます。(電子書籍でも十分その構成の面白さは伝わりますよ…!)

 またトリッキーなだけでなく、見開き全体にキャンパスのごとく最大限の規格で描いたコマも魅力的。なんといってもそのスケールの壮大さに圧倒されます。1分間はその見開きをずっと見続けていられるほどに、吸い込まれるような迫力がありまするんです!こちらも代表的なコマをご紹介。

大迫力のドラゴン出現

ココたちの前に、巨大なドラゴンが現れるシーン。

『とんがり帽子のアトリエ』第21巻p200

もう何かを説明するまでもありません。この圧倒的なスケールよ…。(詠嘆)ドラゴンを見上げるようなアングルもまた、その大きさを引き立てますよね。ココたちが感じた圧迫感や絶望感が、ダイレクトに伝わってきます。

これらのシーンをはじめとする幾つものトリッキーなコマの描き方がこの漫画独特の魔法の世界観を形づくり、知らず知らずのうちに読者はその世界に引き込まれてしまいます。正直、とんがり帽子だけに「脱帽」なのです!(忘却の魔法を使って頂きたい…。)

魔法を「唱える」のではなく、「描く」という発想!

魔法は勝手に「唱える」ものかと思っていたんですましたが、固定観念でした。この漫画において、魔法は「唱える」ものではなく、「描く」ものなのです。

『とんがり帽子のアトリエ』第1巻p45

作品タイトルの「アトリエ」とは、魔法を描くことから来ているんですね。具体的に「描く」魔法の仕組みをご紹介します!

魔法陣の円が閉じるとき…

物語のなかでよく登場するこの円。

『とんがり帽子のアトリエ』第1巻p113
『とんがり帽子のアトリエ』第1巻p114

魔法使いが描くことで魔法が立ち現れる、これを「魔法陣」と呼びます。

中央を「紋」その周りに描かれる線を「矢」この2つを囲う円を「陣」と呼び…

引用:『とんがり帽子のアトリエ』第1巻p113

それぞれの要素が、魔法の種類や形を決め、最終的に陣を閉じると魔法が発生するわけです。こんな面白い魔法、見たことない…。

世界的魔法ファンタジー『ハリー・ポッター』と比較してみた!

魔法を「描く」という点で、様々な魔法使いの物語と一線を画しているこの漫画ですが、あの世界的魔法ファンタジー『ハリー・ポッター』と比較しながら、この漫画の世界観をご紹介していきます!

杖をペンに持ち替えて…

『ハリー・ポッター』では、杖を振りながら呪文を唱えると魔法がかかりますよね。ザ・オーソドックスなタイプです。これに対し『とんがり帽子のア_2トリエ』の魔法使いは、ペン(※)を持っています。(※「魔描の杖」と呼ばれていますが、ペンです。)このペンに魔法のインクをつけて魔法陣を描くわけですね。

『とんがり帽子のアトリエ』第1巻p110

ちなみに空を飛ぶ際も、箒ではなく両足の靴の裏に魔法陣を描くことで浮かび上がります。絵心がないと、なかなか務まりません…。

魔法学校へ入学…するのではなく、弟子になる!

魔法学校・ホグワーツへ入学し魔法のいろはを学ぶのが、ハリー流。でも『とんがり帽子のアトリエ』では、魔法使いの弟子として修業を積むのが一般的。

『とんがり帽子のアトリエ』第1巻p64

主人公・ココも、キーフリー先生のもとで修業を積んでいます。

魔法使いは、一般人を何と呼ぶ…??

『ハリー・ポッター』においても『とんがり帽子のアトリエ』においても、基本的に魔法使いは、一般人に対して魔法の力をおおっぴらにはしていません。明確に魔法使いと一般人とを区別する言葉があります。

『とんがり帽子のアトリエ』第1巻p78

『ハリー・ポッター』では、一般人のことを「マグル」
『とんがり帽子のアトリエ』では、「知らざる者(=ふつうの人)」と呼んでいます。

魔法道具の調達先に心躍る!

ハリーが杖を買ったのは、杖職人・オリバンダーのお店。無数の杖がうず高く積まれていたあの店の世界観にワクワクしました。『とんがり帽子のアトリエ』でも、ペン(魔描の杖)などを購入する「魔材屋」があります。

『とんがり帽子のアトリエ』第1巻p184

主人公・ココもハリーと同じように、店全体を見渡し心躍らせるのです。

なかなか、「魔法」を扱う物語においても、共通点/相違点がありますよね!「描く」という発想から派生して、他の魔法ファンタジーにはないオリジナリティーを生み出すこの作品に、ファンが多いのも納得です…!

漫画『とんがり帽子のアトリエ』終わりに

「もし魔法が使えたのなら…」と想像力をフルに働かせた幼少期。頭の中に広がるファンタジーの世界にワクワクしたことを思い出します…(遠い目)。けれど大人になった今でも、こんなにも心躍るような瞬間って訪れるんだなと。この漫画を読んで、そう思えたことが嬉しいのです。きっと皆さんもそうだと思いますよ…!

大人になった私たちを一瞬で惹き込んでしまうファンタジックな世界観と圧倒的な画力、そしてオリジナリティー溢れる構成力。この読書体験は、魔法のよう。

  • とんがり帽子のアトリエ(1)

    とんがり帽子のアトリエ(1)

    小さな村の少女・ココは、昔から魔法使いにあこがれを抱いていた。だが、生まれた時から魔法を使えない人は魔法使いになれないし、魔法をかける瞬間を見てはならない……。そのため、魔法使いになる夢は諦めていた。だが、ある日、村を訪れた魔法使い・キーフリーが魔法を使うところを見てしまい……。これは少女に訪...