≪2023年8月号≫月刊 書店員すず木

≪2023年8月号≫月刊 書店員すず木
この道10年以上のプロ書店員・すず木です!
前月に配信された新作マンガで実際に読んで面白かったものの中から<少年・青年マンガ><少女・女性マンガ>それぞれ1作品を勝手に「今月の書店員すず木賞」としてご紹介!

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今月の書店員すず木賞

少年・青年マンガ

      • シバタリアン 1

        シバタリアン 1

        【デジタル版限定!「少年ジャンプ+」掲載時のカラーページを完全収録!!】中学3年生の春。桜の下に埋まっている柴田を見つけた。一緒に映画を鑑賞し、柴田と友情を深めていく。そんな中、文化祭の展示作品として映画を撮ることになったのだが…。柴田を知る人は、校内に誰もいなかった…。 誰も知らないシバタを...

        一体これは何なのか…!?我々は何を目撃しているのか!?何か得体のしれない、本能的な恐怖を感じる圧倒的シュールホラー!!

        中学3年の春、佐藤 一(さとう はじめ)が桜の木の下に埋められている柴田 元(しばた はじめ)を見つけたことで物語ははじまります。
        柴田の家で連日一緒に映画鑑賞し仲を深めていくふたり。
        そんな中、文化祭の展示品としてクラス委員長の渡 美知花(わたり みちか)と3人で映画を撮ることに。
        しかし上映するための視聴覚室はサッカー部によって奪われ使用許可が下りなかったのです。
        絶望する佐藤は「次の映画は大量に増えた柴田が復讐のために学校の奴らをぶっ殺す話だ!!」と息巻きますが…。
        最初は不条理系のショートストーリーかな?と思って読み始めました。
        しかし、まさかの連載作品。
        せっかく面白いのにいいところで終わってしまった!!と思うことは多いですが「え、続くの!?」と思うことは中々ありません。
        しかも読み進める内にえも言えぬ恐怖が増していくのです!
        度肝を抜かれました。

        物語の途中からどうも柴田という存在が「何かおかしい」と気づくことでしょう。
        誰も柴田を知らないのです。
        佐藤以外に見えていない存在…つまりは存在しないのでは!?と思うようになります。
        ですが映画上映ができなくなった事件後、佐藤の前から姿を消した柴田が5年ぶりに姿を現します。
        今度は他の人にも見える存在となって…。

        最初のうすら寒い概念的な恐怖から、柴田の増殖という物理的恐怖へのスイッチは見事です。
        同じ顔がたくさんいるというのは、思っている以上に恐怖を感じます。
        ページいっぱいにいる柴田の特徴のないうつろな顏!!
        そこかしこにシバタシバタシバタシバタシバタ…!!!
        柴田の妙なコミカルさがよりシュールで本能的な怖さを感じさせます。

        柴田とは一体何なのか!?
        どうすれば柴田から逃げ切れるのか!?
        そもそも柴田を殺すことはできるのか!?

        読み終わったらあなたも柴田になっているかもしれません。
        ご注意ください。

少女・女性マンガ

      • 氷の城壁 単行本版【フルカラー】 1

        氷の城壁 単行本版【フルカラー】 1

        人と接するのが苦手で、他人との間を壁で隔ててしまう氷川小雪。高校では誰ともつるまずに1人で過ごしていたけど、なぜかぐいぐい距離を詰めてくる雨宮ミナトと出会い――? 孤高の女子・小雪、学校の人気者・美姫、距離ナシ男子・ミナト、のんびり優しい雰囲気のヨータ。どこかちょっとこじれた4人の、もどかしい...

        タテヨミマンガで大ヒットした作品が単行本版に!それぞれが抱える心の傷に共感すること間違いなし!!

        人と接するのが苦手で、他人との間を壁で隔ててしまう氷川 小雪(ひかわ こゆき)。
        中学時代のトラウマのせいで高校では誰ともつるまずに1人でいることを貫き、無表情さと目つきの悪さから周りからはクールなちょっと怖い人と思われています。
        彼女の唯一の友達は幼馴染でクラスでは女神のようなアイドル的存在の安曇 美姫(あずみ みき)。
        それ以外の人間に対しては壁を作って関わらないようにしてきましたが、グイグイ距離を詰めてくる雨宮 湊(あまみや ミナト)や、のんびり優しい雰囲気の日野 陽太(ひの ヨータ)と次第に仲を深めてゆきますが…。
        メインで登場する4人は、タイプは異なりますがそれぞれ心に複雑な思いを抱えています。

        周りの人のちょっとした行動や発言に対する不快感が積み重なって心の奥底に溜まっていくことありませんか?
        小雪はその積み重ねに耐えられなくなり人との間に壁を作ってしまっています。

        ミナトは誰とでも仲良くなれ1人でいる人に積極的に関わるタイプですが、ある日美姫から「可哀そうだからと話しかけるのは傲慢だ」と指摘されハッとします。

        美姫も本来の自分とクラスメイトが抱いている自分とのギャップに悩んでいます。
        更に大切な友達の小雪が辛い時に力になってあげられなかったという思いも…。

        一番人当りの良いヨータも、親の再婚により家庭に自分の居場所のなさを感じています。

        高校生の青春ストーリーかと思いきや、それぞれの心の機微が丁寧に描かれておりどの登場人物にも「わかる…」と思うシーンがあります。
        あの時のあの感情はこういうことだったのか!!と気づきを得る方も多いのではないでしょうか。
        どの年齢の方が読んでも共感すること間違いなしです!

        元々タテヨミマンガとして描かれた作品ですが、単行本版として再構成されております。
        描くのは『正反対な君と僕』の阿賀沢紅茶先生。
        “今らしさ”と“普遍的”を描くバランスが秀逸です。

        恋愛部分も展開が気になるところ。
        気付きと共感の物語をお楽しみください。

こちらもオススメ!!

惜しくも今月の書店員すず木賞からは漏れたものの、オススメの作品をご紹介!!

書店員すず木

2005年より電子書籍サイトの仕事に携わる、この道10年以上のプロ書店員。
年間に読むマンガの冊数は2000冊以上。
「面白いマンガを多くの人に読んで欲しい」をモットーに、オススメのマンガをご紹介します。

最近の書店員すず木:最近サウナハットを購入したのですが、あまりの快適さにビックリしています。サウナ入るならサウナハットあった方が良きですよ!!!

日経ウーマン 2023年9月号』の書店のマンガ担当が太鼓判を押す「泣けるマンガ」特集に参加させていただきました!!
イチオシの泣けるマンガを紹介しておりますので、チェックしてください♪

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